サンタクロースパイ

COLK

28.実は、読書家な少女

「君の名前は何?」
「私は、〝河合愛かわいあい〟」




(まるで可愛いモノを愛しているかのような名前だな)




「良い名前だね!!」
「ありがとう!!お兄ちゃんの名前は?」
「俺は〝網田謎留あみだなぞる〟」
「へ~!カッコ良い名前!!ミステリアス!!!」
「え?君は〝ミステリアス〟の言葉の意味を知ってるの?」
「うん!私が読んだ小説に書いてあったよ!!
私、小説、大好きなんだ!!」
「へ~!その年で小説をいっぱい読むなんて偉いね!!
俺、小説なんて、昔から全然読まったから」
「そうなんだ!でも、お兄ちゃん、私が一番好きな小説の主人公に良く似てる!!」
「そうなの?」
「うん!!ファンタジーが大好き!!!でも、その小説は、
今言ったのじゃないんだけどね」
「そうなのか」




「今言った〝ミステリアス〟って言葉が書いてたのは、タイトル忘れちゃったんだけど、
お兄ちゃんに似てる人が出てくるのは、
〝私の幻想はホントにあった〟だよ!!どう、
お兄ちゃん、普段小説を読まないみたいだけど、読んでみる?
私はもう、何回も読んじゃったし!!」




愛は、その小説を本棚から取り出し、霧河に渡そうとする。




だが、霧河は・・・




「良いよ。君の大切な本なんだろ?それに、
俺はサンタクロースだから、他人からモノをもらわない事にしてるんだ。そうじゃないと、サンタクロースって言えないだろ?」
「そっか~・・・うん・・・」
「でも、気持ちはありがとうね!!だから、
その小説は、今度、本屋で探して、自分で買うよ!!」
「うん!!ぜひ、読んでみてね!!」
「読むよ絶対!!じゃあ、愛ちゃん、これからも頑張ってね!!!」
「うん!!謎留お兄ちゃんも頑張って!!!」
「おう!!!」




そう言って、霧河は去っていった。

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