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幼馴染を追って異世界へ 〜3億課金した最強アカウント × 【超重力属性】を使って〜

甲殻類

31話 バカ対チビ


 
 俺は少し考えていた、この火を消すことは出来なくもないがバルトの戦いに手を加えることになるし、もし戦いの最中やってしまうと二人に影響を与えてしまいかねない。
 もっと早くに判断しておけばよかったと俺は今更ながらに後悔する。

 ユイも手段を考えているが未だ思案中だ。


 すると、2回目の爆炎が上がる。今度は炎の柱が空まで登りさらに周りの炎の勢いがまし、今いる場所も危なくなってきた。

「『治癒衣/リジェネレイト』が発動していない……」

 ユイは焦った口調で言う。

 それが本当ならやばいな、『治癒衣/リジェネレイト』が効かないとなるとーー魔法の不発なのかそれとも誰かの能力……ポーションだけじゃなく魔法も効かないのか。恐らくだが他者からの魔法なら治せるが『治癒衣/リジェネレイト』になるともうあれは他者という判定ではなくバルト自身に発動しているもとして扱うようになり効かなくなるんじゃないか。

 一応あるっちゃあるがそんなことがあるのだろうか、あれはレベル80以上じゃないと発現できない属性だぞ。

「どうするアキト」

「今はバルトを信じて待つしかない。悔しいが俺たちにできるのはそのくらいだ」


 俺がそう言うとまた爆炎が舞い今度は火属性の……ここからだとスキルや魔法を断定するのは難しいな。

 俺達はバルトがどんな状況でも対応できるよう予めユイと対応手段を決めておく。




ーーーーーーーー




 離れているウタゲ先公の方へ俺は走り出していた。今は剣もないさっきよりも速くウタゲ先公の目の前まで詰め寄る。フェイントもスキルも魔法も入れずにただ突っ切っていた。
 ウタゲ先公は俺が近くまで全く動こうとしない、受け止める気だろう。

 だが、

 俺は片手が使えないが、攻撃手段は手だけじゃないんだよ。

 ウタゲ先公の目の前で急ブレーキをかけ体制を低くしつつ体を全力でひねり旋回する、その勢いのままウタゲ先公の足元を狙い薙ぎ払う。それを読んでいたのかそれを垂直に両脚跳びで回避する。だが、その両脚跳びだったのはただ避ける為だけじゃなかった、その両脚跳びの体勢のまま足を屈ませ俺の顔面めがけドロップキックを放つ。

 俺はその攻撃に反応仕切れなかったが勘だけでそれを左手で往なし体勢を立て直す。ドロップキックを躱されたウタゲ先公は足が地面と交わる瞬間、足を綺麗に曲げ地面との入射角が大きくなく小さくなく絶妙な角度で入り、最速で反動を軽減し俺の方へ反転しようとする。その少しの硬直の時間で俺はウタゲ先公の元まで詰め寄っていた。

 そこに勢いをつけて詰め寄った反動を使い力一杯の頭突きをかます。そこまで速く俺が体勢を立て直していたのを予想できなかったのかウタゲ先公の頭と俺の頭が直撃する。ゴリっという骨と骨が重なり合ったような音がなる。

 ここまでの戦いの中で一番手応えがあった攻撃がこれになるとは思ってもいなかったけどな……

 そう考えながら俺達二人は頭突きの衝撃で後方へ弾き飛ばされる。

「てっきりさっき言ってた秘策でくると思っていたんだがね」

 頭突きをした頭を抑えながら、こちらを睨みつける。言葉に怒気が含まれており完全に怒らせたようだ。少し出血し血が垂れている。

 俺は石頭には定評があるのでなんともないーーと思ったがかなりの衝撃だったのか若干瘤ができていた。


「はっそんなもん当たらなきゃ意味ねぇ!使うとは言ったがタイミングぐらいは見計らうぜ!」


「なら発動できなよう全身をバラバラにしてやるよ!!」


 さっきまで自分から動くことはなかったウタゲ先公が自分から攻撃を仕掛けてくる。

 ひと蹴りで、俺の目の前まで接近され、ハッと息を呑む。今までに見せたことないスピードに俺は焦ってしまい咄嗟にスキル『火流怒/カリウド』を後ろに跳びながら放つ。火の矢約15本がウタゲ目掛け時速100kmで向かっていく、かなり近づいていたのでウタゲも全部は避けきれはしないが、そんなの御構い無しに俺の方へ突っ込んで来ている。


 そのまま俺は空中で防御姿勢を取るがウタゲの木刀での横振りの斬撃を避けることができず、両腕を攻撃に合わせてガード姿勢を取る。

「うぐぅっ」

  木刀が腕に直撃し、大量の出血と痛みで、俺の身体中の毛穴から冷や汗が吹き出し、そのまま意識が飛びかける。

 そのまま吹き飛ばされ、燃えかけている大木にそのままの勢いで直撃する。背中の骨も何本か折れ、誰が見ようとも重症と言われるほどの傷を負ってしまう。


 ウタゲ先公は俺の姿を見かねて、ゆっくり近づきながら言う。


「どうする、ギブするかー?」

 倒れて意識があるのないのかわからない俺に話しかける。

 
 このまま意識を落とせばどれだけ楽だろうか……そう俺は考えるが、その瞬間あの兄貴の顔が浮かんでくる。そして、俺はこの学園に来た理由を再度確認しーー


 ゆっくりと背中を庇うように倒れていた体勢から膝をつき足の力だけを使い背中に負担がいっさいかからないよう垂直に立ち上がる。

 そこまでの一連の動作が異様だったのかウタゲ先公は俺の行動に見入っていた。

 全身痛む、もうどこが痛いのかよく分からん。

 これならこっからどんだけダメージ受けても変わらんな!と自分でボケを入れ奮い立たせる。

 そして、俺は顔をウタゲ先公の方を直視する。
 はっきり返答してやるよ。

 痛みが全身に走る中言葉を少しずつ探り出しはきだす。

「断る。……俺は……しつこさと…タフ…なのが売りなんでな」

 もう、正しいいつもの姿勢さえ保持できないほどフラフラしていた。もう上半身は限界に近い。こんなになったのは初めの頃の修行以来だ。


 これならもっとは早くあの技使っておけばよかった。そう自分の中でもう遅い後悔をし、目を瞑り意識を集中させる。

 そう今の俺は隙だらけだ、だがこれはもうこうなっては止まらない。ウタゲ先公も俺の攻撃の準備を理解したのか楽しそうに言う。

「いいぜ!どっちが強いのかはっきりさせてやる」

 すると、ウタゲ先公が徐々に炎に飲まれていく。最初は足先や手先体の先端部分から徐々に炎が飲み込んでいく、ゆっくりと……

 
 この技を使うとなると残り全てのSPを使うことになり、使用後全身疲労が約1週間続くまだ未完成な技だ。

 一か八かやるしかねぇんだ!!

 そう言い聞かせ俺は脳が止めろと指令を出すのを喉元あたりで全てシャットアウトし、体だけが勝手に構えを取る。

 今の俺はただ突っ立っているだけ……これが本来の構え、この技を出す為の構えとなる。

 俺達二人の周辺の温度がさらに上昇し、サウナの中にいるような暑さとなる。

 大きく2度深呼吸をし、跳ね上がりそうな心臓の鼓動を落ち着ける。つーっと額から汗が流れ鼻を経由し唇まで流れてくる。それを俺はひと舐めし少しの塩気を舌で感じとり、笑う。


 こんな状況でこの技を試せる嬉しさは過去最高に、それこそ魔法を使えるようになった時以上だ。

「準備OKすか先公」

「私はとっくに完了済みだ」


 二人向かい合い二人とも奇妙に笑う。お互い楽しみなのだろう今からの攻撃のぶつけ合い。そしてこれに俺は全てを賭ける。はたから見たらたかが試験にこんな命がけ無意味だろと笑われるかもしれない……だがな

 俺はバカなんだよーー


「太陽スキル『天輪豪火/サンインフェルノ』」
 
 スキルを発動すると小さな火の玉が上空に出現する。そしてそのまま膨張し、徐々に大きくなり、直径約70m程まで膨れ上がる。中でガスが爆発し外層にはコロナができ、まるで太陽の小型版のようになる……筈だった。


 そう突如その火の玉が水の幕に覆われ消し飛ばされたのだ。いつのまにか周りで燃えていた火も消火されており、この辺りにだけ雨が降り出す。

 

 そして、それを行っただろう犯人がウタゲ先公を抱きかかえている。ウタゲ先公の頭に胸を乗せその大きさがより際立っている。そしてそれを重そうに嫌そうにウタゲ先公は暴れていた。


「たくもう……ウタゲちゃんやりすぎだよ〜♪あの子ボロボロじゃない」


 俺はどうやら助かったらしいーー


 その場に倒れこみ雨で湿った地面を背に空を見上げる。

 もう一歩も動けなさそうだなこりゃ。


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