幼馴染を追って異世界へ 〜3億課金した最強アカウント × 【超重力属性】を使って〜

甲殻類

26話 共闘





 ユイは少し遠くの草むらに隠れ息を潜め、バルトは敵が来るであろう方向で毅然と待ち構えている。俺はバルトの隣に一緒に並んでいる。




「どうするよアキト」


「うん? 普通に迎え撃てばいいだろうな」




 だって隠れもせず一直線でこっち向かって来るからな。


(ほんとなっとらんのぉ〜)


 シロネも呆れている。子供を面倒するおばあちゃんのように嘆く。


 こっちが気づいていることわかっていないのかそれともわざとやっているのか……後者だとしてらよっぽど実力に自信があるのかもしくは愚者だな。




「こういう頭使わなくいいのは分かりやすくて好きだぜ」




 夜の森は真っ暗で、今頼りになる光源は焚き火の残り火だけ。それももう少ししたら消えてしまう。そうなる前に敵を視認できると良いんだが……


 この薄暗がりの中、聞こえるのは俺とバルトの呼吸音、そして誰かわからない者達の近づいて来る足音だけがこの辺り一体を制している。




「ユイのやつこの暗がりで見えてんのかね?」


 ユイの能力は自然属性、ここは森、使うには絶好の場所だろうな。確か自然魔法には木陰同化や新緑視界といったこういう場面にはぴったりな魔法やスキルがあったはず。


 まぁ使えるかは知らんがな……それもこれも含めてどんな技使うのか楽しみだ。




「大丈夫なんじゃないかーー」


 俺達は再び近づいて来る者たちの方へ向く。あと30秒ってとこか……




 徐々に近づいて来る足音。バルトも先ほどまでの余裕は消えていた。




 すると茂みの中から3人の人が現れる。俺達は臨戦態勢を取り、警戒しつつそいつらを見る。


 その3人は男二人女一人と俺たちと同じ組み合わせで、恐らく……


 そして、男の一人、メガネをかけひょろっとした方が話を切り出す。


「夜、警戒している中すまなかった。少し話がしたいんだいいかな?」




 話か、交戦する気はないのか武器は持ってきていない。恐らくどこかに置いてあるのだろう。




 まぁそこまでしてもらって話さないわけにもいくまい。俺は頷くと、さっきまで灯されていた焚き火を真ん中に円を囲うように俺たちは座る。


 ユイも隠れていた後方から戻ってきている。曇っていた空が晴れ月明かりのみがこの場を照らしている。


 焚き火の炭の残り香が辺りを浮遊し、俺たちの鼻腔をくすぐる。少し煩わしいと感じながらも話の続きを聞こうとしていところである。




 さっきのメガネの奴が3人の内真ん中、左に短髪の癖っ毛で茶髪、タレ目が特徴的で杖を持っているので恐らく後方支援系でローブ羽織っておりまさに魔法使いといった格好な子。右には筋骨隆々、恐らくこちらは武闘派系スキンヘッドの本当に学生なのかという見た目(俺が言えんが)のやつが座っている。




 やっぱりこういう時の対話はメガネがするらしく、通称(俺の中で)メガネくんが話を切り出す。


「まずは自己紹介から、僕はエルそして僕の左手にいるのがトルス、右手にいるのがエーフだ。」


「よろしく」「よろしくね」




「じゃあこっちも自己紹介だな」


 俺は3人分の名前を告げ、自己紹介を済ませる。途中バルトの名前を言い間違いかけてバルトに肘で小突かれた。




「なぜ俺たちにコンタクトを?」


 そう、これが今回最大の疑問だ。てっきり襲って来るのかと思ったからなぁでもなんで敵意だと思ったんだろうか……まぁいいや。




 メガネくんが話を続ける。


「単刀直入に言うね。僕たちと協力しないかい?」


 メガネくんはメガネのブリッジを右手薬指でくいっと上げメガネの位置を正す。


「僕たち平民はここにいる僕たち6人しかいない。恐らく貴族達からの攻撃も受けるそうなった時3人より6人の方がいいと思うんだ。もちろん先生の試験はどっちのチームにも協力する形で……」




 まぁ確かにもし仮に試験官達から合格を貰えた時、一緒に守ってくれる人がいるのは心強いだろう。


 試験官から出される試験には3人でしか参加できないが別にそこまで難しいものでもない2回分になったところで6人いるっていう方がでかいだろう。




 あんまり初対面の奴らを信用するのはできないんだがなぁ……だがここで断って敵を増やすのも得策ではない。


 俺だけでもこの3人は警戒しておくべきだな。


「いいぜその作戦に乗せてもらう。よろしくな」


 突然バルトが答える。まあ俺もそう答えるつもりだったからいいけど……


「ありがとう。それじゃあまずは……」




ーーー「「「寝ますか」」」ーーーー




 そこは全員一致したらしい。そりゃこんな夜中まで起きてりゃ眠いに決まってる。俺達はさっきまでローテーションしてたからいいがあいつら3人は多分寝てないだろうに。


 しかも6人ローテーションだから一人頭の睡眠時間が多くなる、これはありがたい。




 俺達はそれからまたトラップ魔法と範囲系スキルを併用した罠を作り寝る場所から円を描くように設置する。




  じゃんけんをしてローテーションの順番を決め眠りについた。








ーーーーーーーーーーーー










「今回の試験どんな感じだ?」


「ぼちぼちって感じかな……あの子達大丈夫なの?」




「まぁなんとかなるだろ、6人で共闘するっぽいからな」




 そう言いながらその綺麗な真紅の髪を結ぶ。もう夜中だが、試験官は寝ることはできない。この試験中いつ何が起こっても対応できるように万全の状態じゃないといけないのだ。


「ふーん。貴族連中はほっといていいの?」




「はっどうせあいつらは誰かしら受かるんだ。こっちはあの6人の内何人かは絶対受からせないといかんからなーー面倒臭い仕事だ」




「意外と面倒見がいいのね♪」


「だから仕事だっていってんだろ茶化すな。まぁだからといってこちらができることは何もない、あいつらが自力で受かるしかない。こちらが介入できるのはあからさまな殺しを目的とした行為に及んだ時だけ……」




 お酒を飲んでいないのにも関わらずウタゲは顔が少し赤い。




「そうよね。こっちは平民を何人かは入れないといけないと必死になるけど受験生はそんなこと知らないものね。」




「ああ、だから毎年平民からの応募がどんどん減っているんだ。試験を受けたものが色々な仕打ちを受けそれを広めてる……その内誰一人来なくなるだろうな」


 真紅の髪をかき上げくっきりと映る星空を見上げる。今日は満天の星空だ。




「明日からは本格的に始まるだろう。ちゃんと準備しとけよ」




「分かってるって。明日は私はウタゲちゃんと一緒にいるからね♪」




「はぁ……別に構わんがちゃんと仕事はこなせよシェル」




 ため息をつくがいつものことなので受けれいてくれる。明日からは森の各地で試験官と生徒との間で試験が始まる。




 確かに不安要素はあるけど……やっぱり純粋にどんな生徒がいるのか楽しみだわ〜




「あ、あと当日に申し込みに来た平民の子がいたんだけどどうかしらね〜すっごい服装ボロボロだったんだよ〜」




「ふーん。興味ない」




「ウタゲちゃんはほんとそういうの興味ないよねぇ〜。この間はびっくりしたよーあんなダメージを受けたウタゲちゃん初めて見たんだから」




「その話はもうするな。思い出すだけでイライラしてくるんだ」


 そう言うと目つきが変わる。若干魔力が漏れ出して、危うく火がつくとこだった。




「ごめんごめん〜」


 そう言ってウタゲちゃんに私は抱きつく。こうやって抱きついてうりうりするのが癖になっている。




「は、離れろー!シェル」




 バタバタ暴れるがもう何度もやっているうちに簡単には抜け出せないように精度が上がっていた。




 これがウタゲちゃんの落ち着かせ方なのだ!!




 あの時のウタゲちゃんはすごく楽しそうだったあんなにダメージを受けて帰って来たのにも関わらずまだ未熟だったと言って特訓しに行っちゃうんだもの……


「おい、シェル」




 はっ




 私はつい深く思い込んでしまったようだ。いつのまにかウタゲちゃんも私から抜け出していた。




「ほらっ仕事はまだあるんだ行くぞ」




 そう言うと、ウタゲちゃんは森に入って行く。




 ウタゲちゃんをあそこまでダメージを負わせたのは誰かはしらない……けどっ




 負けないんだからね!!





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