幼馴染を追って異世界へ 〜3億課金した最強アカウント × 【超重力属性】を使って〜
23話 試験の始まり
俺は今颯爽と野山を走っている。息を乱さないようペース配分を考えながらそう自分に言い聞かせなんとかこの焦りを落ち着かせようとしている。
如何せん俺はこの辺りの土地勘がないのでシロネに教えてもらいながら駆け抜けているんだが、途中で何度か道を間違えたりして今日の試験時間に間に合うかギリギリだった。
クッソ結局ギリギリまでレベル上げしてたせいで遅刻しそうだ、それに寝ていないので全身が気だるい。
そして街に入ったのが試験集合時間の10分前、急いで街の試験会場、ルィン魔導学園に向かっていた。
シロネには一旦宿屋に戻ってもらいホルドさんに特訓が終わった報告と朝ごはんを食べずにきたため持ってきてもらうことにした。
なんとか1分前というギリギリで会場に入り俺は受付で試験案内を受け取り、必要事項を記入して入学試験の受験資格を得た。
入学試験には年齢、性別は関係なくお金さえあれば誰でも受けることが可能である。
俺はレベル上げ終わりにそのままきたので身なりはボロボロで髪も砂漠地帯にいたので結構痛んでいてボサボサだ。
周りの奴らはいかにも貴族のボンボンみたいな男女が結構な人数おり俺よりも年下っぽいやつらまでいた。
なんか、もの凄い周りから浮いてる気がするが……まぁそんなことはどうでもいい。
試験説明が始まるまで結局30分くらいあるのでその間に適当な中庭で朝ごはんを食べていた。中庭と言ってもかなり広く学園自体敷地面積が名古屋ドーム10個分くらいの大きさがある、施設も学校案内を見る限り豊富そうで、戦闘訓練が行える闘技場や食堂、学校付属の寮などがある。
今いる中庭も手入れが行き届いていて真ん中にある巨大な噴水が居心地の良さを増す役目を持っている。
(なんかキラキラした装飾つけたやつばかりじゃの〜)
シロネは周りの貴族をみて文句をずっと言っていた、なんか恨みでもあるんだろうか……
そのキラキラしたアイテムは恐らくだが見た目的に態勢を付与する装飾品だ。OOPARTSオンラインでも装飾品はあったが、あそこまでしょぼいのは久しぶりに見た気がする。
目が眩しくなるくらい煌びやかなやつもいたっけ、ただそういう奴って大概強かったんだよなぁ。
俺は昔を懐かしみつつ朝ごはんを黙々と食べていた。
そういえば俺以外に平民はいないのだろうか。俺はあたりを探して見たが、それっぽい人は見つからなかった。
どうせなら平民同盟くらい組みたいものだが、みんなやっぱり隠れてるんだろうか……
(シロネ、俺の他に平民いたか?)
シロネも俺と同じく影の中で食事中なのでちょっとしたラグがある。
(さっき…ちらほら……見た…のじゃ)
どうやらいるにはいるらしが、俺がただ運悪く、見つけられてなかっただけらしい。
(ま、平民だろうが貴族だろうが実力があれば関係ないからの楽にやるのじゃ)
まぁそうだな結局俺は学園を卒業して冒険者になれればいい、あとはレベル上げとこの世界の知識を増やす、この3つをこなしてればいい。
と、朝ごはんを食べながら考えていると何やら庭の真ん中の方が騒がしい。
貴族の女性達が一人の男に群がっている。見るからにイケメンで、恐らく身なり的に貴族より上公爵家とかその辺だろう、上流階級とかよくわからんがな……
学園説明欄には学園に入るものは身分関係ないからそういった作法もやらなくていいと書いてあったが果たして……どうなるのやら
(おそらくあやつがこの場で一番強いんじゃないかの)
(へぇ〜)
シロネが言うのだほぼほぼ間違いないだろうが、イケメンで実力あって権力もある。最強じゃないか…
俺は人間としては勝てんなぁと思いつつ、その様子を傍観していた。
そして試験が始まる5分前俺たちは800mトラックが丸々入るくらいの大きさの運動場に集められていた。
運動場に行くまでに何人かにクスクス笑われ、バカにされていたらしい(シロネ情報)
まぁこんな身なりのやつが会場にいたら俺でも笑うからなそいつらを責めることはできん。
そして俺は後ろの方で待機していた。周りを見て見るだけでざっと100人以上は確実にいることが分かる。
すると、後ろからちょんちょんと誰かに突かれる。
俺は振り向くとそこには女性が立っていた、すらっとした身体、少し暗い緑色の髪を腰の位置まで伸ばしておりロングウェーブ、ジト目でどこかお淑やかそうなイメージを感じさせる。
メガネかけたらよりグッジョブだなと思いつつ、声をかけられる。
「君平民?」
異世界はこんな会話の入り方なのか……なんか悲しくなってくる。
「あぁ俺は平民だよ」
その答えにホットしたのかほんの少し表情が明るくなった気がした。
だが、その答えを知って満足したのかそれ以上の会話は無かった。気まずすぎじゃないですかこれ。
それ以降はずっと俺の隣に並んでいる。シロネは影の中で俺たちの様子を見てゲラゲラ腹を抱えて笑っていた。なにがそんなに面白いのか……
すると、前の方に先生と思しき人物が何人か現れ、代表の一人が台の上に立つ。
俺はその人物を見て一瞬凍りついたように体が固まるが、すぐに平静を保つ。そうそこに立っていたのはあの森でのレベル上げの時に遭遇した赤髪のウタゲ・ミルだ。
少し身長が足りないのか台の上でもこちらからは若干見えるくらいだった。
そして先生の話が始まる。
「え〜みなさん本日は本校の入学試験に応募いただきありがとうございます〜」
もの凄いやる気のない声でだらだらと喋る。
「試験は一次試験と二次試験で合否を判定したいと思っています〜」
「ここでは貴族だろうが平民だろうが公爵だろうがみんな等しく人です〜身分は入学したいなら捨てなさい。ではこれから一次試験の説明に移りたいと思います……」
一次試験の概要は大雑把にこんな感じだ。
まず、あの俺達がレベル上げに使っていた森が舞台となっており、受験番号をランダムに3人ずつのチームに分ける、今回の応募人数は123人ちょうど3人ずつチームを組めるのであぶれるやつがいないので大丈夫だ。
そして、チームごとに魔法の属性が書かれたスクロールを一つずつ配布される。森の中には何人もの試験官が配置されていて、同じ属性を持った試験官と戦うことができる。
ここからが肝で先生からはお題が出される、そのお題は先生によって違うが例えば試験官が認めるだけのチームワークを見せろみたいなものらしい。そしてもう一つは先生と戦い倒すこと、これは問答無用でOKとなりこのどちらか2つをこなすと試験官からスクロールに印をもらえる。
その印をもらったスクロールを持って森の出口まで持っていけば一次試験突破となる。
もし、失敗してしまった場合は他の試験官を探しに行かなければならない。
もう一つ受かる方法があり、それは印のついたスクロールを奪い取ることだ、スクロールの奪い合は原則としてOKだが印のついていないスクロールは奪えないように魔法がかかっている。印がついたスクロールは奪い合OK。だが印がついたスクロールを奪った瞬間そのチームは一旦入り口まで戻される。なので取られた側も復讐可能だ。これはゴール付近で待ち伏せを防ぐものでもある。
ここまで聞けばまぁよくあるシステムだが、ここからが難題。この森には通常いないはずの魔物が解き放たれており、何も敵は人だけではない。それにこの森はとんでもなくでかいゴールまでは大人の試験官が全速力で最短距離を行ったとしても2日はかかる距離だ。
まだ魔法やスキルが未熟な俺たちではたどり着くのに早くて5日はかかる。
その間の水分、食料、野営などは全てその3人でこなさなくてはならない。
こんなことなら先に水や食料を持ってこればよかったなあと思っていたら周りの奴らもそこは同じらしく、みんな先生へ抗議していた。
俺はあったらいいな程度でだいたいはアイテムボックス内にあるので問題ない。それに俺は現地調達の方が好きなので恐らく使わないけどね。
ウタゲ・ミルは抗議するこちらを一瞥し、怒鳴る。
『お前ラァ!!ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!!嫌だったらパパとママのところにでも帰りやがれ!!!』
鼓膜が破けそうなくらいの大声で言い放った。
それはこちらも同意である、あちらがこうやれと言った以上これは覆ることはない。何が起きても対処できるように準備するべきでそれが試験だ。
大概の奴らは抗議しにいっていたが中にはそれが当然とばかりの奴らもちらほらいた。恐らくそいつらは警戒しておいた方がいい相手だろうな。
さっきのイケメンくんも全く動じていなかった。
結局ああ言われてしまった以上どうにもならないと知りみんな今は静かに簡単な注意事項の説明を聞いている。
そして、運命を決めるチーム決めが始まるのだった。
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