幼馴染を追って異世界へ 〜3億課金した最強アカウント × 【超重力属性】を使って〜

甲殻類

10話 和衷協同



「で、お主はまずどこに行くつもりなんじゃ?」


 うん.....これは聞かれると思った。
 ただなぁ真面目にマップすら開かないというかこの世界に対応しているかも分からん。
 女神に確かめておけば良かったと後悔している。


「あははは.....」


「つまりノープランということじゃな」


 シロネは呆れた様子でこちらを見てくる。
 はぁーとため息をつく。


「この森を北へ行けば街があるからそこで情報集めするとよい」


「え…でもこの森全然抜けれないんだけど」




 そう、そのせいで何日も歩き続け死にかけたんだからな。




 そう言うとシロネはハッと驚いたあと、すぐに顔をそらした。




 おっと〜これ犯人分かっちゃいましたねぇ。




「どういうことかお聞かせ願いたいんだが」




「話せば長くなるがいいかの?」




 どうせ夜はまだ始まったばっかですぐには明けない、問題はないだろう。
 俺は首を縦に振り続きを促す。


「まず、わしは人間種ではない吸血鬼≪ヴァンパイア≫なのじゃ」


 なんでこんなに幼い子がこんな森にいたのか疑問だったが、これなら納得がいく。


 OOPARTSではよく戦ったものだ、確か寿命が無限設定で年齢が高ければ高いほど強かったイメージがある。


「こう見えて、わしは年齢が100歳を超えておる」


 ドヤ顔で言い放ってはいるが、俺は内心あまり高くなく驚いている。


 OOPARTSでは殆どの吸血鬼種は1000歳を軽く超えており、中には1000000万歳とかもいた、逆にボス系になると年齢が極端に小さかった。




「こほん、まぁしかしだな吸血鬼種といってもわしは人間とのハーフでないろいろ大変なのじゃ」




 あんまり驚かない俺に気づき、ドヤっていた自分が恥ずかしくなったのか照れ隠しで咳払いをしながら話題の矛先を変える。




「成る程ね、色々合点がいった…だがそれと森のことは関係ないんじゃないか?」




「まぁ、そう答えを焦るでない、まだ続きがある。さっきも言ったじゃろ話が長くなると」




 そう言って、沸かしていたお湯を使いシロネはお茶を入れてくれる。
 夜は寒くなるからとてもありがたい。


「ありがとう。あっちぃ」


 沸騰したばかりなのでとても熱い、だがこれがいいのだ。
 お茶を啜り話の続きを聞く。


「そいでな、わしは元Sランク冒険者でもあるのじゃ」


 おぉ今度こそドヤってもいいんでもなかろうか。


 冒険者は確か依頼を受け、その依頼をこなし報酬をもらう職業で、その依頼内容は様々とかなんとか。ある程度の知識は入っているがやっぱり自分の目で見てみないと分からない部分は多いな。


 一瞬シロネの表情が曇るがすぐに元の表情に戻り話を続ける。


「まぁそのSランクだったのも昔の話でな、今はこの森で自分の魔法やスキルについて研究しているのじゃよ」


 成る程、この知識欲は人間種とのハーフの賜物なのだろう。


「じゃあこのスケルトンは……」


「そう、わしの死霊術者ネクロマンサーじゃ!」


 やっぱり……
 OOPARTSでも死霊術は人気だったなぁ。
 魔法に特化していて、スキルも優秀なものが多かった。ただ防御面は脆かったので後ろで前衛のサポートをしてるイメージだった。


 だが、研究と言っても一人では難しいのではないだろうか。


「一人で研究をしてるのか?助手t」




 と、言いかけた瞬間




「ずっと一人じゃよ」




 おい、そんな悲しそうな目をするんじゃない……こっちまでうるっとくるじゃないか。
 分かる、分かるぞぼっちは辛いよな。
 俺もけんがいなかったら絶対ぼっちだったし、けんが死んでからは家族以外と殆ど会話なんてして無かったからな。


「す、すまん。悪いことを聞いた」


「構わんよ。こうやって人と喋るのも久しぶりじゃからの」


 そう言って、シロネは笑ってみせる。


「それでの、研究を邪魔されたくないからこの森には結界を張ってある」




「他者からはこの森を認識できないようにする結界なんじゃが、お主はなぜか入ってきよったからの、スケルトン1体を監視につけたんじゃ」




 まぁ俺は女神に召喚された場所がたまたまここだっただけなんだが…


「わしの偵察用のスケルトン1体も倒せんとは思わなかったがの…」




 確かに、この結界を破って入ってきたとシロネは思っているんだ、それ相応の実力を持っている程で行動するのは当たり前だ。




「だが、いいのか?情報を俺にぺらぺらと喋っても」




「別に大丈夫じゃ…お主に何かされることもなさそうだし、わしの情報を仮にバラしたとしても意味なんてないからの」


「それに、お主からはなにか近しい物を感じた」


 うん…多分それはぼっちなところだろうね。
 あれだぼっち共鳴、ぼっちの気持ちはぼっちにしか分からん。




 だからこそ今のシロネの気持ちは痛いほど分かる。


「俺もそうだ久しぶりにこんなに人と喋ったよ」


 シロネは驚いたように瞳を見開く。


 すると照れくさそうにし、それを誤魔化すようにお茶を啜る。


 恐らくシロネもシロネなりに苦悩を抱えて生きてきたんだろう、つまるところ吸血鬼も人間も根本はそう変わらないのだ。




  1人ってのは寂しいーーー




 そして、俺は意を決する。


 2度深呼吸をして息を整え、シロネを視界内に捉える。




 この感じは、恐らく幼稚園以来だろうな。




 普通の人ならなんのこともない通例のことだ、我々みたいな特殊な人間がもっとも不得意なものでありそう思い込んでいるもの。


 俺が急に黙ったのでシロネはたじろぐ。


 元の世界で生きてきて、ゲームの中でしかできず現実では絶対にできなかったもの。


 母さんはそのことで毎回心配かけた、一葉にも何度も口すっぱく警告された。


 俺はいつまでも幼く、意地をはり、恐れていたのだ……それが壊れるのを。


 けんもそれを理解していた、ただただお互いにお人好しだっただけなのかもしれない。


 元いた世界ならここで踵を返し、去っていただろう。


 自分に喝を入れ、最後にもう一度深呼吸をする。








「シロネ」


「な、なんじゃいきなり」








「 俺と友達になってくれないか 」










 辺りが静寂を包む。聞こえるのは焚き火の火花が散る音とスケルトンの骨と骨が軋む音だけだ。


 シロネも何を言われたのか理解し難い様子で、口をあけたまま呆けている。




 これは失敗だな……


 そう俺のなかで何かが切り落とされた感覚に陥る。
 きついなこの感じは。






「すまん、今のは忘れてくれ」






「何を言っとる……」






 シロネは肩を震わせながら




「 ーーーいいに決まっておろうが 」




 その目にはたくさん涙を浮かべもう笑っているのか泣いているのか判断が全くつかない表情になっていた。


 シロネはそのまま着ている着物の袖で何度も目元をぬぐい目が腫れている。








 ♢








「落ち着いたか?」


 あれからまだ泣いていたので、逆に心配になってくるレベルだった。


「うsまん、おもdいじょうbう」


 うん、こりゃまだ時間かかりそうだ。


「ゆっくりでいいから落ち着きな」




 そう言って俺はステータスを確認していた。


 俺は今レベル10になっていた。


 あのこっぱずかしい友達発言の際、見たことないスキルが発現したのだ。


 エクストラパッシブスキル


 『和衷協同わちゅうきょうどう


 と、女神からの手紙も送られてきた。




 璃屠へ


   女神からの贈り物≪天命≫だよ、大切に使ってね。


   それとこの手紙は開いてから60秒で消えるのでよろしく。


   では、スキルの説明するね。


   このスキルはね君が心から友達になりたい人と友達になった時に効果を発揮するもの
   で、その友達の子の経験値がまず君に付与される。


   そして、友達が得た経験値が君にも入ってくる(逆も然り)


   一応このスキルは友達が1人増えるごとにレベルが上がっていくんだ、一応レベル上限
   3に設定してあるからね♪




   レベルが上がるごとにスキルの機能が増えるから、あと2つ楽しみにしててね♪




   頑張ってね


  以上、かわいい女神より♪




 そこまで読むとちょうど60秒たち手紙が消える。


 このスキル相手の意思関係ないのかよ……


 しかも女神のやつ俺が友達作れて3人だとたかをくくってやがる、まぁここは反論できないんですがね。




 だが、レベルがこんなに一気に上がるとは思ってもいなかった。


 OOPARTSオンラインではレベル上げが一番難しいとされていて、クエスト等で獲得できる経験値が少ないくせにレベル上げの為の経験値が阿保みたいに高い。


 それほどまでにシロネが凄かったと言うべきなのだろうな。


 レベル10はチュートリアルの範囲だ、確かレベル1をあげる為に1000000万の経験値が必要だったはず、そこからレベルが1上がるごとに1.05倍ずつ上がっていく。


 流石に、チュートリアル以降は必要経験値数は減るがそれでも法外だった。
 ちなみに一回で得られる最高経験値数は300程度だったはず。


 言っておくがあくまでも最高である。


 途中何回も苦情がきて運営もその度に調整してたなぁ……懐かしい。




 ぼーっと俺が考え事をしていた時だった。




「改めてよろしく頼むのじゃ」


 と、シロネが握手を求め目の前まで来ていた。


 俺は驚きながらも、差し出された手を取り握手を交わす。




「よろしくな」




 それからは、他愛のない話で花を咲かせあの長かった夜が明ける。



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