伝説の遊騎士

ノベルバユーザー327952

試験~臙城・風花side2~

私は抜いた刀を振り上げ黒い繭を切りつける。
しかし、刀は繭をすり抜けて何にも傷をつけることが出来なかった。
何度か繰り返してみるも何も変わらない。


肩で息をしながら私は1度冷静になろうと落ち着こうとする。
目を閉じて繭のエクアの動きに意識を向ける。
「・・・・?」
しかし、いくら繭に意識を集中してもエクアを感じとる事ができない。
訳が分からず目を開き確認してみると確かに目の前に術は発動されている。
しかし目の前からエクアは感じられなかった。
そんなおかしな感覚に少しばかりの混乱をしながらも頭の中であり得る可能性を考えていく。
いや、実際には考える必要などなかった。
私の頭には1つの答えの様なものが頭に浮かんでいたから。
ただ私はその答えを受け入れることを拒絶していたのだ。
なぜならその答えを認めてしまえば勝てる見込みがなくなってしまうから。
なぜならその答えを認めてしまえば私はまたとんでもない行動に出てしまうかもしれないから。


だから必死になってそれ以外の方法を考える。
考える・・・考える・・・。




考えて考えて、出した答えは最初から頭にあった答えになってしまった。












ならば、と私は刀を1度鞘に納める。
そしてエクアを自分の手から刀に流し込む。
「・・・炎竜Ⅰ(えんりゅう)」
刀に溜めたエクアを鞘の中で解放しながら抜刀する。
すると刀身が炎を纏った刀に変わっていた。
抜かれた刀を私は体の中心に持っていき構え直す。
刀を振った場所にはその軌跡を残すかのように火の粉が漂う。
その様子はまさに名前の通り竜のように見えた。


正面に構えた刀を大きく頭の上に振り上げ一息に振り下ろす。
刀身は確かに目の前の黒い繭を横切ったが変化はなかった・・・見た目には。
臙城はその変化を感じとる。
それは少しでも気を抜いていれば感じ取れないような微妙なエクアの動きだった。
ただ臙城はその気配を感じとったのだ。
(・・・いける!!)
そう思い込む。
まだ確実にこの状況を打破できる手段が見つかったわけではない。わけではないが、その兆しは見えた・・・見つけたのだ。


だから思い込む。
いける!成功する!!と。
そう信じて臙城はまた刀を振り上げた。





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