伝説の遊騎士

ノベルバユーザー327952

試験~VS黒夜9~

背中にあった重みが消える。
代わりにさっきまでは感じなかった甘い匂いがする。
そんなことを感じていると急に視界に映る景色が変わった。


「楓!楓!!」


まだ目が霞んでしっかり認識することはできなかった。
ただその声で誰が居るのかが分かる。
その声を聞いた瞬間に自分の心が落ち着き出したのが分かる。


「ひ・・かり・・・」
それでも信じられず口に出して確認する。
「うん、そうだよ・・僕だよ」
光の声がまた聞こえる。
それでも信じられず手を伸ばす。
伸ばした手は光の短めの髪に触れた。
それだけのことで妙に落ち着く。




「ハハ・・まさかあそこから出てくるとはな・・」
黒夜がゆっくりと立ち上がる。
その顔からは驚きや興奮の感情が見てとれた。
「・・・」
光はそれを無言で睨み付け手を向ける。
その行動に合わせて周囲のエクアが動き出す。
手を囲むように光の玉が創りあげられ完成と同時に黒夜に向けて飛んでいく。


黒夜は全ての術を難なく避けながら笑う。
「ハハハ、楽しませてくれ!楽しませてくれ!!」
笑いながら指を振る。
その動きに合わせてエクアが動き、槍のような形を創り飛んでくる。


しかし、光は気にしない。
上げていた手をそのまま地面に付ける。
すると無数の十字架が黒夜との間に壁を作るように集まった。
そこまで見て楓は体を持ち上げられる。
「ひ・・かり?」
「ゴメンね、少し待ってて・・」
それだけ言って飛ぶ。




少しするとちょっとした衝撃がして、体を降ろされた。
「ちょっ!?楓くん!?」
臙城の声がする。
だけど何処に居るのかはわからない。
楓の目には光しか映っていなかったから。
その光が立ち上がる。
「行ってくるね・・」
そう頬に触れながら言って視界から消えた。




入れ替わりで楓の視界の中に臙城が入ってくる。
「あんた、大丈夫なの?」
「あ・・あぁ・・・」
顔を動かさずに答える。
楓の目は光の向かった・・・黒夜のいた方を向く。


目は少しではあるが見えるようになっていた。
体はまだ震えるが動かせないほどではない。
起き上がろうと体に力を入れる。


その瞬間、またエクアが一斉に騒ぎだした。
驚きで急に体に力をいれて起き上がったため全身に痛みがはしる。
「ッ~~~!!」
痛みで動かしにくい体を何とか動かし、エクアの騒いでいる・・・エクアのより濃い方を見る。


そこには黒夜と遜色無いほどのエクアを放つ光がいた。
黒夜のように服が変わったりはしていないものの、帯のような長い物が光の周りを浮遊していた。
その姿はまるで天女のように美しく神々しく見える。
さらに光の周りのエクアは、黒夜とは正反対で辺りを照らすように光っていた。




思わず見いってしまう。
光の操るエクアに。
光の纏っている光に。
光の姿に。


それは臙城も同じようで光の方から目を離せないでいた。






  


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