伝説の遊騎士

ノベルバユーザー327952

試験~VS黒夜5~

「風花!!」
黒夜を殴り飛ばした後にすぐ駆け寄る。
抱き起こしてみると、しっかり息もしていて大丈夫だったことが分かった。
ただ、いくら揺すっても起きない所を見ると、気絶しているのだろう。
それほどのダメージを受けても退場にならないということは、見た目ほどキツい蹴りではなかったのかもしれない。
確認をした楓は風花を抱え臙城のいる場所まで下がり、ゆっくり地面に寝かせた。
「奏ちゃんは?」
心配そうな顔をして体を引きずりながら臙城が近づいてくる。
「大丈夫だよ、気絶してるだけだと思う」
「そっか!よかった~」
楓の返事を聞いて、ようやく臙城の顔に安堵の表情が生まれる。
「その様子ならお前も大丈夫そうだな」
「おかげさまで平気ですよ!」
苦笑まじりで返事をする臙城。
(こりゃ、動けはしても黒夜ともう一戦ってのはダメそうだな。) 
臙城の表情からそう悟った楓は振り返り黒夜を見据える。
未だに黒夜は起き上がろうとしていない。
(さて、どうしよう・・・)
そう考えてとりあえず黒夜と反対側にある影の繭に向けて弾を発砲する。
案の定、繭に当たった弾は何も破壊することなく通り過ぎていく。
(やっぱダメか・・・)
この状態ではどうやっても勝ち目がない。
そう考えた楓は、臙城に寄って、耳打ちする。








「分かった!」  
話を終えると何も言わず臙城は承諾してくれる。
そうしてゆっくりではあるが奏を背負って黒夜から離れていった。




「よぉ・・・なかなか効いたぜ」
いきなりの背後からの声に驚きその場から飛び退く。
背後には誰もおらず、黒夜はまだ寝そべっていた。
不審に思い周りを見回しても誰もいない。
「それで?一人になったら俺に勝てるとでも思ってるのか?」
再び声が聞こえてくる。




声の主は・・・黒夜だった。
黒夜はゆっくりと体の感覚を確かめるように起き上がり楓を睨み付ける。
「お前・・やっぱり面白いよ!」
静かに抑揚のない声でそう言われる。
「そりゃどーも!学年1位に言われるなんて俺もまだまだ捨てたもんじゃないかもな!」
「そーだな・・・だから・・・もっとお前の力を・・全てを魅せてくれ!!!」
その言葉と同時に黒夜の足下から黒い影が勢いよく飛び出し黒夜を包む。


「!?!?!?」
濃すぎるエクアにより楓は目を開けていることも、息も出来なくなる。




エクアにより生まれた突風が弱まり、目を開けれるようになった楓の目に飛び込んできたのは、さっきまでの学ランを着た黒夜ではなく黒い・・・漆黒という言葉を越えてしまうような暗黒さをもった色の服に、同色のマントを身につけた黒夜であった。


「な!?なんだよ・・・それ・・・」
思わずそんな訳の分からない事を口にしてしまう。
いや、実際混乱していたんだ。
なぜなら黒夜の身に付けているマントや服から信じられない程に大きく濃縮されたエクアを感じとったから。


今までの倍・・・下手をしたらそれ以上の量だ。


身体中に緊張が走る。
脳が逃げろと命令してくる。


初めて感じるエクアの量。
あまりの濃さに気分が悪くなってくる。




だが楓は・・・笑った。
いや、無意識に笑みが漏れてしまう。
怖いはずなのに。
どうしようもないほど怖いのに・・・笑みが消えない・・むしろワクワクしていた。



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