伝説の遊騎士

ノベルバユーザー327952

試験~VS黒夜4~

甲高い音が鳴り響く。
黒夜と臙城の間には銃身を盾にして剣をはじく楓がいた。
間に合ったのだ、間一髪のところで。


弾かれた衝撃でよろめきながら後退する黒夜に、すかさず楓は追い討ちをかけるように攻撃を仕掛ける。


「ッ!!」
苦虫を噛み潰したような顔をする黒夜だったが、一撃も当たることなくギリギリの所で全ての弾をかわしきる。
が、それでも攻撃は終わらない。
最後の攻撃を黒夜が避けた直後に今まで響いていたメロディーが曲調を変える。
テンポが早くなり、さっきまでの曲より強く、大きな音が増える。
音による精神的影響も【守られる】から【守る】ように、自信を後押しされるような、好戦的な感覚に変わる。
そして楓に代わって風花の追撃が始まる。
今まで臙城の盾として使っていた量とは比較にならない程のの砂を操っての攻撃は次々と黒夜に向けて放たれる。
無数に地面から伸ばされる棘はいくら黒夜といえども全てを避けきることは出来なかった。
一本の砂の棘で腕を負傷する。
かすり傷程度のダメージだ。それでも楓たちが勢い付くには十分だ。
さらに奏の攻撃が続く混乱のなかに楓が弾を乱発する。


楓の攻撃は避けられるが、それでも奏の攻撃は確実に当たる回数を増やしていく。


「あんまり調子に乗ってんじゃねぇーぞ!!」
言葉と同時に黒夜のスピードが加速する。
狙いの先にいるのは・・風花だ。


「キャッ!!」
数十メートルの距離を簡単に詰められて腹部に蹴りを決められる。
風花の体は地面を何度か転がって止まった。
「風花!!」
「奏ちゃん!!」
呼び掛けるも返事はない。


「黒夜ー!」
エクアの装填を済ませて、楓は黒夜に向かい距離を詰める。
「あぁ!?中長距離用の武器使ってる奴がそう簡単に近づくんじゃねぇよ、バカが!」
そう言って楓の方に向き直る。
 

二人の距離が五メートル程になって楓が黒夜に向けて三発発砲する。


黒夜には全てかわされてしまう。
だがこれで良かった。
この短い距離での三発はほんの少しの隙をつくる。
楓はその隙を見逃さず、黒夜のふところに飛び込んだ。
黒夜もその追撃を止めようと魔術で槍を造りだし攻撃してくる。


真正面から黒夜に向かっている楓にその術を避けるすべはない。
足に腕に顔にかすりキズが増える。
それでも楓は止まらない。
「うおーー!!!」
そして楓は思いっきり、黒夜の顔面を殴り飛ばした。
     


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