伝説の遊騎士

ノベルバユーザー327952

試験~臙城side2~

振り下ろした刃は常闇の学ランに傷を残しただけで本人まで届くことはなかった。


「!?」
だがギリギリまで殺気を隠していた事が良いほうに転がった。
私の接近に気付くのが遅れた常闇は体勢を崩して刀をかわした。
「まだまだー!!!」
一度避けられても体勢を立て直す前に次々と斬りかかる。
その斬撃を紙一重で避け続ける常闇。


戦況は圧倒的に私の優勢だった・・・このときまでは。


「はぁー!!!」
淡々と刀を振り続ける臙城だったが動きがとまる。


「なっ!?」
違和感を感じる足下に視線を落とすと自分の足に黒い影が巻き付いていた。
いくら引っ張っても外れそうにない。
かといって物体がある影ではないので刀で切り裂く事もできない。
だが、迷っている暇はなかった。
「・・!!!」
意識を集中して足元でエクアを爆発させる。
爆発の威力に耐えられなかった影は無理矢理引きちぎられる形になって足から消える。
体勢を崩してしまったが立て直しているような暇はない。
そう感じた私は爆発で吹き飛ばされた勢いのまま常闇に近づき、刀を振る。




金属がぶつかったような甲高い音がなる。
(間に合わなかった)
後悔の念が最初に込み上げてくる。
初めは確実に決めなければなかったチャンスを逃してしまった。
今度は武器を持たせるような暇を与えてしまった。
悔やんでも悔やみきれない。
だからこそ私は気合いを入れ直した。






 常闇の手には黒い漆黒の剣が握られていた。
細いレアピアに似たような剣だ。
常闇はその剣で反撃を開始する。


「くっ・・・!」
「お前がそっちにいてくれて良かったよ。そのお陰でなかなか楽しめた」
バカにしたような笑みを浮かべる常闇に鋭い視線をぶつける。
だがそれも視線だけで上手く反撃の糸口を掴むことが出来ない。
もどかしい時間が続く。
相手への反撃の隙が見つからない。
そんな状態の中で私の心には焦りばかりが募っていった。






『焦るな』
幼少の頃から父に言われていた言葉だ。
心の中では十分に理解していた。
回りの人間がどんなに取り乱したとしても自分だけは冷静に対処しなくてはならないと。
周りに流されては自分までダメになってしまうと。
しかし、この時ばかりはあまりに状況が悪すぎた。
高校の合格を決するための戦い。
目の前で自分のチームが崩れていく現実。
相手があの常闇であったという大きな壁。


目の前には不敵に微笑みながら剣を振るう常闇の姿。
そして事態は動く。




ホントにほんの一瞬の隙をつかれ手に持っていた刀を弾き飛ばされてしまう。
余計なことを考えていたせいで戦闘に対する意識が薄くなってしまっていた。
自分の愚かさを恨みながら顔をあげると、そこにはつまらなそうに私のことを見下した常闇が剣を振り上げて立っていた。
「もう少し粘ってほしかったんだが・・・まぁ、仕方ないか」
そう一言呟いて剣は降り下ろされた。











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