伝説の遊騎士

ノベルバユーザー327952

試験~VS黒夜3~

状況は劣勢だった。
初めは対等の様に感じられた臙城と黒夜の実力だったが時間が経った今は最初の印象が嘘のように・・・圧倒的に臙城が押し負け始めた。
このままでは押しきられるのも時間の問題だろう。 
援護しようにも楓の実力では接近戦をしている黒夜だけを狙い撃つことは出来なかった。
俺にもっと実力があれば、そんな無い物ねだりをしてしまう。
(こんな遠い所からじゃ狙い撃ちなんて出来ないし、どうすれば・・・)
そこまで考えて1つアイデアが思い付く。
楓は悩むことなく実行に移そうと走り出した時だった。
とうとう体力が尽きたのだろう、黒夜の一閃で刀ごと臙城が吹き飛ばされる。




全力で走る。結果は見えていた。それでも諦める訳にはいかなかった。


「さよならだ、プリンセス」
黒夜のそんな言葉が聞こえてくる。
臙城はといえば倒れた場所から動くことなく、ただ黒夜を見上げているだけだった。
漆黒の剣が高々と持ち上げられる。そのときの黒夜の顔には、笑みがうかべられていた。


間に合わない!!
また自分の無力が悲劇を呼んでしまう、過去の嫌な記憶が蘇ってくる。
光が居なくなった時の絶望が込み上げてくる。
楓は足が動かなくなる感覚を覚えた。




と、急に気持ちが軽くなる。
さっきまで心に重く乗しかかっていた記憶が薄れる。
そして、そんな感覚と同時に心地よい音色が聞こえ始めた。
聞いた覚えのある、音に守られているような、落ち着くことの出来るメロディー。
それは楓の折れかけた心を・・・希望を繋ぎ止める。
(まだいける!!)
止まりかける足に力を込めて地を蹴り進む。


それでも到底、間に合う距離ではない。
それでも楓は走り続ける。




なぜなら・・・楓には、臙城を助ける事が出来る・・そんな気がしていたから。




 黒夜の剣が振り下ろされる。
だが、その動きとほぼ同じタイミングで地面の砂が臙城を隠すように包みこんだ。


「!?」
一瞬驚いた表情を見せた黒夜だったが、すぐに視線が厳しくなる。
そのまま、黒夜は剣を振り抜いた。


黒夜の一振りで砂の防壁は簡単に消しとばされる。
さらに、二撃目を繰り出そうと剣を持ち上げる。
そして振り下ろした。
だが、剣を持ち上げる・・・このほんの数秒で楓にとっては十分だった。


 






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