伝説の遊騎士
試験~臙城side~
「裏切りのお嬢様まで一緒とはね!」
常闇の言葉に予想以上に反応してしまう。
別にバレても構わない事だったが、思わず隣に立つ楓くんの顔色を伺ってしまった。
楓くんは特に気にした様子もなく常闇の方を睨み付けている。
 常闇は楓くんの視線は気にしていないのか、さらに言葉を続けてきた。
「こっちの・・俺のチームに来なくていいのか?こ っちなら確実に勝てるぞ!」 
そう言ってまた笑う。 
「ッ~~~~」 
何か言い返してやりたかったが、その言葉が見つからない。
自分の情けなさにイライラする。
そんな事を考えていると、楓くんが声を掛けてきた。気のせいかその声音には苛立ちが感じられる。
「おい、臙城!お前あいつと知り合いか?」 
「あ~・・そっか知らないんだね!あいつがさっき 光が言ってた常闇だよ!常闇黒夜」
楓くんはその言葉を聞くと、少しだけ、ホントに少しだけ笑っていた。
「ふーん、こいつが今年一番の実力者か・・」 
外していた視線を、また常闇の方に戻す。
その眼に宿る光は今までのような苛立ちだけではなくなっている気がした。
そして状況は一変する。
楓くんがいきなり常闇に向かって攻撃を仕掛けた。
「!?・・・」
最初はそれに驚いてしまった。
全く攻撃をするような素振りは見せていなかった・・・、その様子を見ていたので完全に裏をかかれるような形になってしまう。
確かに話合いをしても戦闘がなくなる訳でもないし、ましてや常闇はそんな話合いで戦う事を辞めるような人間ではない。
それは少なくとも、ここにいる誰よりも知っていた。
今までの《十二家の序列決め》によって。
《十二家の序列決め》それは今から何百年も前から存在する十二家の十二総代による順位決めである。
昔から決まりは変わることなく今まで引き継がれてきた年に一回の儀式だ。
ただ、この序列決めがあることを知るものはいない。十二家どうしのなかでのみ知られ、そして唯一、全ての一族が認め、行っている儀式である。
儀式の内容自体は簡単なもので、ただ戦って勝ち残ることが目的だ。最後まで残っていた一族が序列トップとなり、その後は順々に2、3・・・となっていく。その序列によってその年の取り締まりを行う一族が決定する。
まぁ簡単な話トップになることが出来れば、この国をも左右するほどの力を持つことに繋がるわけだ。
そして今年の序列決めは目の前に敵として立ち塞がっている常闇家が征した。・・・それも圧倒的な力量差で。
(さぁ、どうしようかな)
私は自分の中で1つの決断を迫られていた。
その決断とは、
1、自分の力をアピールするために独力だけで常闇を追い込む。
2、チームとしての勝ちを狙いにいく。
3、あきらめる。
まぁ、どう考えても3は論外だ。その選択肢は臙城家の絶対条件に反しているから。
残りの二つに関しては何ともいえなかった。今回の試験でどこが重視されているか分からないからだ。
普通に考えればチーム戦なのだから、2の選択肢を選ぶのが正しい選択だろう。
だが今の状況ではそう簡単に決断することが出来ない。
なぜならこのメンバーを守りながら常闇を相手にするのは確実に厳しい条件だからだ。下手をしたら自分の事が疎かになってしまう。
光がいれば迷わず2つ目の選択をするんだけど 。
あの子がいれば、その方が楽だったから・・・。
だがそんなことは言っていられない。
(チーム戦じゃなきゃ簡単なんだけどなー。いっそのこと・・・)
いつもの癖でそんな事を考えてしまう。
(いけない、いけない。しっかりしろ!)
自分に言い聞かせ再び視線を常闇に向ける。
と、信じられないことが起きていた。
あの常闇が、技を避けようとはせず、自分の技で受け止めようとしていたのだ。
《十二家の序列決め》では絶対にしないような防御の仕方だ。
(楓くんが相手だから油断したな!)
それを目にした瞬間、足元にエクアを集中させて爆発させる。
私の体は軽々と空中に飛び上がり、常闇の上空にたどり着いた。
そこでやっと刀を鞘から抜く。
切っ先を常闇に向けたまま目を閉じ、気持ちを落ち着かせる。ギリギリまで気配と殺気を消すために。
心はすぐに落ち着いた。
イケる、そう思えてくる。が、そこで予想外の事が起きてしまった。
楓くんが常闇の放った技を避けようとしないのだ。
それを見て焦ってしまう。
自分がどうするべきなのかに悩んでしまう。
このまま常闇に斬りかかるべきなのか、それとも、楓くんを助けに行くべきなのか。
簡単に答えの出せる問題だったのに考えてしまう。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうすれば。)
いくら考えても答えが出てこない。初めての経験だった。
そんな、悩んでいる私の瞳に予想外の表情が飛び込んでくる。
それは・・・笑っている楓くんだった。
明らかに絶望的な状況での笑み・・・それは何の表情なのか。
常闇を甘く見ていた自分への自嘲なのか?
私たちが勝ってくれるという期待か?
ここで勝負が決まるという確信か?
自嘲か、期待か、確信か。
どれだけ考えても答えは出ない。
だから楓くんの方を見るは辞めた。
もうここまで来たら出来ることは1つだから。
助けには行かない、確実に・・・終わらせる!!
そう自分自身に誓って刃を降り下ろした。
           
常闇の言葉に予想以上に反応してしまう。
別にバレても構わない事だったが、思わず隣に立つ楓くんの顔色を伺ってしまった。
楓くんは特に気にした様子もなく常闇の方を睨み付けている。
 常闇は楓くんの視線は気にしていないのか、さらに言葉を続けてきた。
「こっちの・・俺のチームに来なくていいのか?こ っちなら確実に勝てるぞ!」 
そう言ってまた笑う。 
「ッ~~~~」 
何か言い返してやりたかったが、その言葉が見つからない。
自分の情けなさにイライラする。
そんな事を考えていると、楓くんが声を掛けてきた。気のせいかその声音には苛立ちが感じられる。
「おい、臙城!お前あいつと知り合いか?」 
「あ~・・そっか知らないんだね!あいつがさっき 光が言ってた常闇だよ!常闇黒夜」
楓くんはその言葉を聞くと、少しだけ、ホントに少しだけ笑っていた。
「ふーん、こいつが今年一番の実力者か・・」 
外していた視線を、また常闇の方に戻す。
その眼に宿る光は今までのような苛立ちだけではなくなっている気がした。
そして状況は一変する。
楓くんがいきなり常闇に向かって攻撃を仕掛けた。
「!?・・・」
最初はそれに驚いてしまった。
全く攻撃をするような素振りは見せていなかった・・・、その様子を見ていたので完全に裏をかかれるような形になってしまう。
確かに話合いをしても戦闘がなくなる訳でもないし、ましてや常闇はそんな話合いで戦う事を辞めるような人間ではない。
それは少なくとも、ここにいる誰よりも知っていた。
今までの《十二家の序列決め》によって。
《十二家の序列決め》それは今から何百年も前から存在する十二家の十二総代による順位決めである。
昔から決まりは変わることなく今まで引き継がれてきた年に一回の儀式だ。
ただ、この序列決めがあることを知るものはいない。十二家どうしのなかでのみ知られ、そして唯一、全ての一族が認め、行っている儀式である。
儀式の内容自体は簡単なもので、ただ戦って勝ち残ることが目的だ。最後まで残っていた一族が序列トップとなり、その後は順々に2、3・・・となっていく。その序列によってその年の取り締まりを行う一族が決定する。
まぁ簡単な話トップになることが出来れば、この国をも左右するほどの力を持つことに繋がるわけだ。
そして今年の序列決めは目の前に敵として立ち塞がっている常闇家が征した。・・・それも圧倒的な力量差で。
(さぁ、どうしようかな)
私は自分の中で1つの決断を迫られていた。
その決断とは、
1、自分の力をアピールするために独力だけで常闇を追い込む。
2、チームとしての勝ちを狙いにいく。
3、あきらめる。
まぁ、どう考えても3は論外だ。その選択肢は臙城家の絶対条件に反しているから。
残りの二つに関しては何ともいえなかった。今回の試験でどこが重視されているか分からないからだ。
普通に考えればチーム戦なのだから、2の選択肢を選ぶのが正しい選択だろう。
だが今の状況ではそう簡単に決断することが出来ない。
なぜならこのメンバーを守りながら常闇を相手にするのは確実に厳しい条件だからだ。下手をしたら自分の事が疎かになってしまう。
光がいれば迷わず2つ目の選択をするんだけど 。
あの子がいれば、その方が楽だったから・・・。
だがそんなことは言っていられない。
(チーム戦じゃなきゃ簡単なんだけどなー。いっそのこと・・・)
いつもの癖でそんな事を考えてしまう。
(いけない、いけない。しっかりしろ!)
自分に言い聞かせ再び視線を常闇に向ける。
と、信じられないことが起きていた。
あの常闇が、技を避けようとはせず、自分の技で受け止めようとしていたのだ。
《十二家の序列決め》では絶対にしないような防御の仕方だ。
(楓くんが相手だから油断したな!)
それを目にした瞬間、足元にエクアを集中させて爆発させる。
私の体は軽々と空中に飛び上がり、常闇の上空にたどり着いた。
そこでやっと刀を鞘から抜く。
切っ先を常闇に向けたまま目を閉じ、気持ちを落ち着かせる。ギリギリまで気配と殺気を消すために。
心はすぐに落ち着いた。
イケる、そう思えてくる。が、そこで予想外の事が起きてしまった。
楓くんが常闇の放った技を避けようとしないのだ。
それを見て焦ってしまう。
自分がどうするべきなのかに悩んでしまう。
このまま常闇に斬りかかるべきなのか、それとも、楓くんを助けに行くべきなのか。
簡単に答えの出せる問題だったのに考えてしまう。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうすれば。)
いくら考えても答えが出てこない。初めての経験だった。
そんな、悩んでいる私の瞳に予想外の表情が飛び込んでくる。
それは・・・笑っている楓くんだった。
明らかに絶望的な状況での笑み・・・それは何の表情なのか。
常闇を甘く見ていた自分への自嘲なのか?
私たちが勝ってくれるという期待か?
ここで勝負が決まるという確信か?
自嘲か、期待か、確信か。
どれだけ考えても答えは出ない。
だから楓くんの方を見るは辞めた。
もうここまで来たら出来ることは1つだから。
助けには行かない、確実に・・・終わらせる!!
そう自分自身に誓って刃を降り下ろした。
           
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