伝説の遊騎士
試験~黒夜side~
「それで?その技お前がやったのか?」
相手の男がそう声をかけてくる。
それを心底つまらなそうに黒夜は眺めていた。
ついさっきまで焦って上擦った声を出していた男がいきなり落ち着き出した・・・それが黒夜にとっては面白くなかったのだ。
(これは光を捕まえたのは外れかな・・)
そんな事を考えている時だった相手の男から微かな殺気が感じられる。
それに目を向けるのとほぼ同じタイミングで相手の構えた銃から魔力の固められた弾が放たれた。
それを見て考えるより早く腕が動く。
それはもう当たり前となった動きだ。
自分の前に壁を作り出すための簡単な動作。
すると目の前に黒い壁が2秒とかからず出来上がる。
弾はその壁で遮る事ができた。そしていつものように分析にはいる。
(溜めの速さ、弾の速さは普通程度だな・・・だが・・・)
そこで二回目の発砲がされる。
もう一度防ごうと考えた瞬間、黒夜は背筋が凍るような感覚を覚えた。
すぐに壁の後ろから飛び出し指先に魔力を集める。そのままの流れで地面を転がり一度体勢を立て直して指先を相手の方向に向けて軽く振る。
すると、手の通った位置を黒い粒子〈エクア〉が漂いすぐに黒い槍のようになって男向けて飛んでいく。
だが相手は動こうとしなかった。
動けなかったのか、それともわざと動かなかったのか。そんなことどうでもいい。
(まず、一人)
それを見て確信する。
すると数メートル横で爆発が起こった。
何となく感づいていながらもその方向に黒夜は目を向ける。そこにはさっきまであったはずの壁が真ん中だけくりぬかれた様な形をして残されていた。
(・・・やっぱ技の力だけはいいもん持ってんじゃねぇーか。)
それが相手に対する総評だった。決して簡単に消されるような壁を創った訳ではない。
むしろそれなりの魔力を込めて創った技だ。それでも壊されてしまった。
その事実だけで黒夜が少しでも相手に興味を持つきっかけにはなった。
顔だけは覚えておいてやろう。
そう考え男の顔を見た黒夜には理解できない光景が広がっていた。
相手の男が笑っていたのだ。
今から死にそうなのに・・・。
このステージに来て黒夜のチームは他のチームの面子をほとんど失格にした。
恐らくあのチームも一人か二人くらいとしか戦っていないはずだ。下手をしたら誰とも戦っていないかもしれない。そんな状態で試験終了になれば合格の可能性は限りなくなくなる・・いや、もう無いようなものだ。
それなのに笑っているのだ。
そこまで考えてゾッとする。
恐怖や怯えではない。
期待、興奮、希求・・・それらの入り交じった感情によって。
(見つけた!見つけたぞ!!)
そのとき、内心で歓喜していた黒夜は自分の上空に迫る人影に気付くことが出来なかった。
 
相手の男がそう声をかけてくる。
それを心底つまらなそうに黒夜は眺めていた。
ついさっきまで焦って上擦った声を出していた男がいきなり落ち着き出した・・・それが黒夜にとっては面白くなかったのだ。
(これは光を捕まえたのは外れかな・・)
そんな事を考えている時だった相手の男から微かな殺気が感じられる。
それに目を向けるのとほぼ同じタイミングで相手の構えた銃から魔力の固められた弾が放たれた。
それを見て考えるより早く腕が動く。
それはもう当たり前となった動きだ。
自分の前に壁を作り出すための簡単な動作。
すると目の前に黒い壁が2秒とかからず出来上がる。
弾はその壁で遮る事ができた。そしていつものように分析にはいる。
(溜めの速さ、弾の速さは普通程度だな・・・だが・・・)
そこで二回目の発砲がされる。
もう一度防ごうと考えた瞬間、黒夜は背筋が凍るような感覚を覚えた。
すぐに壁の後ろから飛び出し指先に魔力を集める。そのままの流れで地面を転がり一度体勢を立て直して指先を相手の方向に向けて軽く振る。
すると、手の通った位置を黒い粒子〈エクア〉が漂いすぐに黒い槍のようになって男向けて飛んでいく。
だが相手は動こうとしなかった。
動けなかったのか、それともわざと動かなかったのか。そんなことどうでもいい。
(まず、一人)
それを見て確信する。
すると数メートル横で爆発が起こった。
何となく感づいていながらもその方向に黒夜は目を向ける。そこにはさっきまであったはずの壁が真ん中だけくりぬかれた様な形をして残されていた。
(・・・やっぱ技の力だけはいいもん持ってんじゃねぇーか。)
それが相手に対する総評だった。決して簡単に消されるような壁を創った訳ではない。
むしろそれなりの魔力を込めて創った技だ。それでも壊されてしまった。
その事実だけで黒夜が少しでも相手に興味を持つきっかけにはなった。
顔だけは覚えておいてやろう。
そう考え男の顔を見た黒夜には理解できない光景が広がっていた。
相手の男が笑っていたのだ。
今から死にそうなのに・・・。
このステージに来て黒夜のチームは他のチームの面子をほとんど失格にした。
恐らくあのチームも一人か二人くらいとしか戦っていないはずだ。下手をしたら誰とも戦っていないかもしれない。そんな状態で試験終了になれば合格の可能性は限りなくなくなる・・いや、もう無いようなものだ。
それなのに笑っているのだ。
そこまで考えてゾッとする。
恐怖や怯えではない。
期待、興奮、希求・・・それらの入り交じった感情によって。
(見つけた!見つけたぞ!!)
そのとき、内心で歓喜していた黒夜は自分の上空に迫る人影に気付くことが出来なかった。
 
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