奴隷を助けたはずが奴隷になったのでタスケテください!
27ー2 奴隷の神々②
俺が足を動かすと、水たまりを踏んだ音が鳴った。
白い液体が大地から湧いているのに気づく。
それを手ですくう。
ほぼ無臭、めまいなどは特になし。
「おいおい、イキのいいホモ・デウスがいるじゃないかぁ」
ウマを模した怪物、ニュンペーが二足で立ちながらねっとりとした笑顔を作った。
「待っていたんだよお、真面目に戦える相手を」
そして、魔法で斧をふたつ作り、握ったそれらを何度もぶつけ合わせた。
柄は木の幹であり、刃部は氷のようだ。
俺は武器をかまえながら周囲を警戒する。
ニュンペーが数回ほどセキをした後、「ぶヴぉほおおお」と笑った。
「安心しろよお、フィヒフィ。俺は弱いホモ・デウスに興味はないんだあ。ましてや、狩りなんて、下らないことこの上ないんだあ。
加虐と被虐のハザマ、そこで生死をかけて全力で互いの肉体をぶつけ合うッ!
さあ、ヤるぜぇ、ホモ・デウス!」
このニュンペーという神、他とは趣向がかなり違う。
「事態が収まったら、いくらでも戦ってやれる。今は待ってくれないか。
どうせ戦うなら、全力の方がいいだろう?」
ニュンペーが鼻息を荒くして、武器をかかげながら腰を激しくふってゆく。
「封印されすぎて、我慢の限界なんだあ。もう、闘志がたぎってしかたないんだよお。
坊主ヘアー・ヒゲ・筋肉質……、どれも一致しない体だが、少し肌が日焼けしているから好みのタイプ、ぶヴぉほおおおッ!」
うっとりとした目のニュンペーが、こちらへ斧を何度も振る。
風切り音がごうごうと鳴ってゆく。
ほとんどをかわしたが、一発だけ焔鎌の柄で受けた。
俺の体はたやすく衝撃に負けて、数メートルほど後ろへ飛ばされてしまう。
俺はしびれた手をふる。
真正面から戦えば、長引くかもしれない。
————赤爆の火弦————
「遅いんだよお……、フィヒフィ」
火弦は何もない場所を拘束した。
直後。
ニュンペーの姿が俺の前に現れた。
俺は、斧が両真横から迫っていることに気づく。
————赤爆の焔太刀———
刃渡り1メートルほどの日本刀と焔鎌で攻撃を防ぐ。
右目の数センチ先には、斧の刃部が見える。
「このホモ・デウスはぁ……、攻撃特化型のようで嬉しいんだなぁ。
殴り殴られの快感をシェアできるなんて、最高だああああああ!」
ニュンペーはヨダレをもらしながらそう言い、頭突きをした。
俺は後ろへ勢いよく倒れこんだ。
わいていた水が全身を包む。
すぐに、斧がこちらへ振り下ろされる。
俺はその場から反射的に離れた。
それは水しぶきを高く上げて、地面を深くえぐり飛ばす。
「ぶヴぉほおおおッ、体中が熱いぞ、ホモ・デウス!」
焔太刀を捨て、焔鎌を振るう。
斬撃は衝撃波へ変わり、鎌の刃の形でニュンペーへ迫る。
足が上手く動かない。
水位が、いつの間にかふくらはぎの位置まで上がっていた。
ニュンペーは水の上を走りだし、衝撃波をかわす。
そして、斧をこちらへひとつ投げた後、自らの体を緑色に発光させながら吠えた。
——赤爆の火球、それで斧を燃やした。
急に、暗くなったように感じる。
「よそ見かぁ? このニュンペーだけを見てはくれないのかあ?」
俺は顔を上げる。
ニュンペーが上空でこちらへ手を突きだし、スイカのような球体を大量に撃った。
「さあさあ、落ちてこい、ホモ・デウス。
泉のモノよ——反転しろ」
俺は夕日の通っている空へ落ちてゆく。
白い液体や土などはそのままだ。
魔法で俺の重力だけを反転したのか、うっとおしい。
——赤爆の追炎、それでスイカのような攻撃を全て燃やす。
興奮した顔のニュンペーが斧をふりかぶり、大きく跳んだ。
それは、すさまじい勢いでこちらへ迫ってくる。
「ぶヴぉほおおおオオオおおおオオオッ!」
振り下ろされた斧と焔鎌が、空中で衝突した。
しびれによって、両手がうまく動かない。
緑色の発光がニュンペーの体から消えた。
俺は、武器による攻防を続けながら地面へ落ちていく。
「中々にいいぞぉ……、実に手ごたえがあるぅ」
ニュンペーは、俺からやや離れた位置に着地した後、破損した武器を捨てた。
金の斧と銀の斧、それらが白い液体から上がってくる。
「神は強き者をうやまい、弱き者には罰を与える。
ホモ・デウス、その名を言え。この胸に刻んでやろう」
「覚えなくていい。俺は全て燃やし、何も残さない」
「なんと無味乾燥な。心臓の鼓動さえわずらわしいか、ホモ・デウス。
それは死体と何が違う?
戦いでたぎらぬ者が、いったい何で生を満たせるッ!」
水色の光が金の斧へ、茶の光が銀の斧へ、それぞれ灯った。
「泉のモノよ——反転し、刻まれておどれぉ!」
緑色に発光するニュンペーが、叫びながらそれらを振り下ろす。
巨大な黒い竜巻が、うねりながらこちらへ飛んでくる。
俺の体がニュンペーへまた引き寄せられ始めた。
近づく手間がはぶけて助かる。
俺は焔鎌を振った。
その斬撃は衝撃波へ変わり、黒い竜巻をたやすく切り裂いた。
「遅いんだよお……、ぶヴぉほおおお」
ニュンペーが俺の隣に現れ、金と銀の斧を振り上げた。
「来い、赤爆よ」
先ほど捨てた焔太刀を操作して飛ばし、ニュンペーの片腕へ突き刺す。
そして、俺は着地と同時にその腕と胴体を焔鎌で切り払った。
無音の間が一瞬だけ訪れる。
斧の落ちる音が二回鳴った。
「泉で眠るのは、退屈だぁ……」
分割されたニュンペーの肉体が、白い液体へ沈んでいった。
ほどなくして、その液体も肉体も溶けるようにしてどこかへ消えた。
金と銀の斧が、地面で横になったまま夕日を反射してゆく。
白い液体が大地から湧いているのに気づく。
それを手ですくう。
ほぼ無臭、めまいなどは特になし。
「おいおい、イキのいいホモ・デウスがいるじゃないかぁ」
ウマを模した怪物、ニュンペーが二足で立ちながらねっとりとした笑顔を作った。
「待っていたんだよお、真面目に戦える相手を」
そして、魔法で斧をふたつ作り、握ったそれらを何度もぶつけ合わせた。
柄は木の幹であり、刃部は氷のようだ。
俺は武器をかまえながら周囲を警戒する。
ニュンペーが数回ほどセキをした後、「ぶヴぉほおおお」と笑った。
「安心しろよお、フィヒフィ。俺は弱いホモ・デウスに興味はないんだあ。ましてや、狩りなんて、下らないことこの上ないんだあ。
加虐と被虐のハザマ、そこで生死をかけて全力で互いの肉体をぶつけ合うッ!
さあ、ヤるぜぇ、ホモ・デウス!」
このニュンペーという神、他とは趣向がかなり違う。
「事態が収まったら、いくらでも戦ってやれる。今は待ってくれないか。
どうせ戦うなら、全力の方がいいだろう?」
ニュンペーが鼻息を荒くして、武器をかかげながら腰を激しくふってゆく。
「封印されすぎて、我慢の限界なんだあ。もう、闘志がたぎってしかたないんだよお。
坊主ヘアー・ヒゲ・筋肉質……、どれも一致しない体だが、少し肌が日焼けしているから好みのタイプ、ぶヴぉほおおおッ!」
うっとりとした目のニュンペーが、こちらへ斧を何度も振る。
風切り音がごうごうと鳴ってゆく。
ほとんどをかわしたが、一発だけ焔鎌の柄で受けた。
俺の体はたやすく衝撃に負けて、数メートルほど後ろへ飛ばされてしまう。
俺はしびれた手をふる。
真正面から戦えば、長引くかもしれない。
————赤爆の火弦————
「遅いんだよお……、フィヒフィ」
火弦は何もない場所を拘束した。
直後。
ニュンペーの姿が俺の前に現れた。
俺は、斧が両真横から迫っていることに気づく。
————赤爆の焔太刀———
刃渡り1メートルほどの日本刀と焔鎌で攻撃を防ぐ。
右目の数センチ先には、斧の刃部が見える。
「このホモ・デウスはぁ……、攻撃特化型のようで嬉しいんだなぁ。
殴り殴られの快感をシェアできるなんて、最高だああああああ!」
ニュンペーはヨダレをもらしながらそう言い、頭突きをした。
俺は後ろへ勢いよく倒れこんだ。
わいていた水が全身を包む。
すぐに、斧がこちらへ振り下ろされる。
俺はその場から反射的に離れた。
それは水しぶきを高く上げて、地面を深くえぐり飛ばす。
「ぶヴぉほおおおッ、体中が熱いぞ、ホモ・デウス!」
焔太刀を捨て、焔鎌を振るう。
斬撃は衝撃波へ変わり、鎌の刃の形でニュンペーへ迫る。
足が上手く動かない。
水位が、いつの間にかふくらはぎの位置まで上がっていた。
ニュンペーは水の上を走りだし、衝撃波をかわす。
そして、斧をこちらへひとつ投げた後、自らの体を緑色に発光させながら吠えた。
——赤爆の火球、それで斧を燃やした。
急に、暗くなったように感じる。
「よそ見かぁ? このニュンペーだけを見てはくれないのかあ?」
俺は顔を上げる。
ニュンペーが上空でこちらへ手を突きだし、スイカのような球体を大量に撃った。
「さあさあ、落ちてこい、ホモ・デウス。
泉のモノよ——反転しろ」
俺は夕日の通っている空へ落ちてゆく。
白い液体や土などはそのままだ。
魔法で俺の重力だけを反転したのか、うっとおしい。
——赤爆の追炎、それでスイカのような攻撃を全て燃やす。
興奮した顔のニュンペーが斧をふりかぶり、大きく跳んだ。
それは、すさまじい勢いでこちらへ迫ってくる。
「ぶヴぉほおおおオオオおおおオオオッ!」
振り下ろされた斧と焔鎌が、空中で衝突した。
しびれによって、両手がうまく動かない。
緑色の発光がニュンペーの体から消えた。
俺は、武器による攻防を続けながら地面へ落ちていく。
「中々にいいぞぉ……、実に手ごたえがあるぅ」
ニュンペーは、俺からやや離れた位置に着地した後、破損した武器を捨てた。
金の斧と銀の斧、それらが白い液体から上がってくる。
「神は強き者をうやまい、弱き者には罰を与える。
ホモ・デウス、その名を言え。この胸に刻んでやろう」
「覚えなくていい。俺は全て燃やし、何も残さない」
「なんと無味乾燥な。心臓の鼓動さえわずらわしいか、ホモ・デウス。
それは死体と何が違う?
戦いでたぎらぬ者が、いったい何で生を満たせるッ!」
水色の光が金の斧へ、茶の光が銀の斧へ、それぞれ灯った。
「泉のモノよ——反転し、刻まれておどれぉ!」
緑色に発光するニュンペーが、叫びながらそれらを振り下ろす。
巨大な黒い竜巻が、うねりながらこちらへ飛んでくる。
俺の体がニュンペーへまた引き寄せられ始めた。
近づく手間がはぶけて助かる。
俺は焔鎌を振った。
その斬撃は衝撃波へ変わり、黒い竜巻をたやすく切り裂いた。
「遅いんだよお……、ぶヴぉほおおお」
ニュンペーが俺の隣に現れ、金と銀の斧を振り上げた。
「来い、赤爆よ」
先ほど捨てた焔太刀を操作して飛ばし、ニュンペーの片腕へ突き刺す。
そして、俺は着地と同時にその腕と胴体を焔鎌で切り払った。
無音の間が一瞬だけ訪れる。
斧の落ちる音が二回鳴った。
「泉で眠るのは、退屈だぁ……」
分割されたニュンペーの肉体が、白い液体へ沈んでいった。
ほどなくして、その液体も肉体も溶けるようにしてどこかへ消えた。
金と銀の斧が、地面で横になったまま夕日を反射してゆく。
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