奴隷を助けたはずが奴隷になったのでタスケテください!
27 ー1 奴隷の神々①
仰いでいるアルテミスが歯をかみしめた。
「月が……」
焔鎌を連続で振り、衝撃波を撃ってゆく。
「しまッ」
いくつもの衝撃波がアルテミスを遠くへ飛ばした。
———赤爆の追炎————
赤黒い球体を手の平に浮かべる。
そこから剥がれた赤黒い火たちが、大きな鳥の姿に変わってゆく。
そして、倒壊した家屋やガレキなどを焼きつくした。
病院の関係者や軽症の人々が被災者を救助してゆく。
アンジェリカのショルダーバッグが目に入った。
「バッグ、開けるから」
「なに、勝手にあさるな」
彼女の声は弱々しい。
日用品や着替え・薬などをかき分けてゆく。
三立方センチメートルほどの魔石が、バッグの底にあった。
彼女へその魔石を渡す。
「これを使えば、完治までいくんじゃないか」
「気が利く……、ありがと」
今のうちに、奴隷の神々を倒してしまおう。
いくつもの悲鳴が近くで上がった。
サソリのような化物、オリオンが人々をおそっていた。
「ちっ、治安維持部隊は何を、しているだだだだだだだッ、だあ!」
「怖いよお、ボク死ぬのイヤだよお……」
「大賢者め、有事の際にはなんと役に立たないッ。
後援してやってるオレら医師会を見殺したら、次の大賢者選挙は勝てると思うなよ!」
オリオンの尾が紫に光った。
地面からのぼる紫の霧が、彼らの周囲へ満ちてゆく。
植物は枯れ始め、人々はノドを両手で押さえた。
「ぐるじい、いぎがあっ」
「グえっ、涙がとまらんんんん、目がはがれるぅ!」
「ノドがやけッ。
かゆいた、かゆいた、かゆいた、かゆいた、かゆいた、かゆいた」
オリオンの背中が開く。
「ややこ(稚児)や、数百年ぶりの食事だよ。
空腹はさぞ辛かろう、たぁんとお食べ」
小さなサソリたちがそこから湧きだし、彼らをすぐに囲んだ。
「しっいいい、あっちいけ、べえけえモノめええええ!」
ひとりの男性が、財布のような革製品でオリオンの子を強く払った。
「ああ、愛しいややこ。なんて、可哀想なややこ」
オリオンが片手でその男をはさんだ。
「ああッ、腹がががが、あああ、裂け、やめろおおッ」
「ややこがやめてと言ったら、ホモ・デウスは叩くのをやめたか?」
「そんな、先にぃ、食おうとしたのは、そっちだあああ!」
————赤爆の火球————
彼らがいる場所へそれを放つ。
「俺まで焼くなんて、そんなッ、殺生だああああッ!」
爆発音が鳴ると、大きな火柱が地面から吹いた。
赤爆は小さなサソリたちと紫の霧を一瞬で焼き尽くした。
そして、男性をはさんでいるオリオンの片手を食いちぎるように焼き落とす。
俺はオリオンに向かって走る。
「ややこや、ややこや、ややこや…………。
残忍なホモ・デウスめ、筋線維一本とさえ残さずに食ろうてやる」
紫の霧がまた地面からのぼってゆく。
それは槍の形へ変わり、こちらへ飛んできた。
俺はかるくかわして進む。
オリオンが残った片手でこちらを刺し潰そうとした。
————赤爆の火弦————
地面から生えた火弦がオリオンを拘束する。
「ややこの仇を、ややこの、ややこノオオオッ!」
「顔も知らない人の無念を晴らすのが先だ」
焔鎌を数回ほど上下左右に振る。
鏡が割れるように、オリオンは火弦ごと分割されてゆく。
直後、大きな火柱がそれを全て飲みこんだ。
「月が……」
焔鎌を連続で振り、衝撃波を撃ってゆく。
「しまッ」
いくつもの衝撃波がアルテミスを遠くへ飛ばした。
———赤爆の追炎————
赤黒い球体を手の平に浮かべる。
そこから剥がれた赤黒い火たちが、大きな鳥の姿に変わってゆく。
そして、倒壊した家屋やガレキなどを焼きつくした。
病院の関係者や軽症の人々が被災者を救助してゆく。
アンジェリカのショルダーバッグが目に入った。
「バッグ、開けるから」
「なに、勝手にあさるな」
彼女の声は弱々しい。
日用品や着替え・薬などをかき分けてゆく。
三立方センチメートルほどの魔石が、バッグの底にあった。
彼女へその魔石を渡す。
「これを使えば、完治までいくんじゃないか」
「気が利く……、ありがと」
今のうちに、奴隷の神々を倒してしまおう。
いくつもの悲鳴が近くで上がった。
サソリのような化物、オリオンが人々をおそっていた。
「ちっ、治安維持部隊は何を、しているだだだだだだだッ、だあ!」
「怖いよお、ボク死ぬのイヤだよお……」
「大賢者め、有事の際にはなんと役に立たないッ。
後援してやってるオレら医師会を見殺したら、次の大賢者選挙は勝てると思うなよ!」
オリオンの尾が紫に光った。
地面からのぼる紫の霧が、彼らの周囲へ満ちてゆく。
植物は枯れ始め、人々はノドを両手で押さえた。
「ぐるじい、いぎがあっ」
「グえっ、涙がとまらんんんん、目がはがれるぅ!」
「ノドがやけッ。
かゆいた、かゆいた、かゆいた、かゆいた、かゆいた、かゆいた」
オリオンの背中が開く。
「ややこ(稚児)や、数百年ぶりの食事だよ。
空腹はさぞ辛かろう、たぁんとお食べ」
小さなサソリたちがそこから湧きだし、彼らをすぐに囲んだ。
「しっいいい、あっちいけ、べえけえモノめええええ!」
ひとりの男性が、財布のような革製品でオリオンの子を強く払った。
「ああ、愛しいややこ。なんて、可哀想なややこ」
オリオンが片手でその男をはさんだ。
「ああッ、腹がががが、あああ、裂け、やめろおおッ」
「ややこがやめてと言ったら、ホモ・デウスは叩くのをやめたか?」
「そんな、先にぃ、食おうとしたのは、そっちだあああ!」
————赤爆の火球————
彼らがいる場所へそれを放つ。
「俺まで焼くなんて、そんなッ、殺生だああああッ!」
爆発音が鳴ると、大きな火柱が地面から吹いた。
赤爆は小さなサソリたちと紫の霧を一瞬で焼き尽くした。
そして、男性をはさんでいるオリオンの片手を食いちぎるように焼き落とす。
俺はオリオンに向かって走る。
「ややこや、ややこや、ややこや…………。
残忍なホモ・デウスめ、筋線維一本とさえ残さずに食ろうてやる」
紫の霧がまた地面からのぼってゆく。
それは槍の形へ変わり、こちらへ飛んできた。
俺はかるくかわして進む。
オリオンが残った片手でこちらを刺し潰そうとした。
————赤爆の火弦————
地面から生えた火弦がオリオンを拘束する。
「ややこの仇を、ややこの、ややこノオオオッ!」
「顔も知らない人の無念を晴らすのが先だ」
焔鎌を数回ほど上下左右に振る。
鏡が割れるように、オリオンは火弦ごと分割されてゆく。
直後、大きな火柱がそれを全て飲みこんだ。
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