奴隷を助けたはずが奴隷になったのでタスケテください!
13ー1 砂漠の行路①
かげろうの上る砂漠を空身で進んでゆく。
リーシェは無事に目を覚ました。
だが、砂漠を歩くだけの体力はなかった。
ノアが彼女を背負って歩いている。
ちょうど、太陽が最も高くなる頃だ。
アゴの下にたまった汗を手でぬぐう。
「し、しぬう……」
「リーシェちゃんの前で弱音をはくの禁止」
「はいよ、へえい」
「返事は一回ッ!」
「はいよッ!」
砂漠を越えるのは、予想以上の苦難だった。
一時間ほど歩いたと思ったら、ほんの二十分すら過ぎていない。
突然、小さなオアシスが右側に見えてきた。
「ノア、あのオアシスで休憩しようぜ」
「なに言ってるの、そんなものないよ」
右側を指さす。
「ほら、あそこにあるだろう?」
ノアが、俺のオデコを触る。
「うわ、アッツ、熱中症かな」
その手が、水色に光ってゆく。
見えていたオアシスが消えて、頭の熱さが抜けてゆく。
冷却ジェルシートをはられた気分だ。
「ノアの手、気持ちいい……」
「もう、僕がいなきゃアブなかったよ」
そうは言われても、砂漠ごえの準備をする時間はなかった。
突然、砂がふくれる。
砂面から、サメの頭部とスカラベの胴体を合わせた様なモンスターが現れた。
ノアが急いで俺の後ろに隠れる。
「アカヤ、頼んだ。シャコウなら、余裕でしょ」
——プロメテウスの小石、赤く光るそれをシャコウへ投げる。
球速は90キロほどだ。
小石はシャコウの前歯をへし折り、体を貫通する。
そして、小さな魔石をひとつ残して消える。
「ヤッタ、魔石でたよ、アカヤ!」
なお、魔石はねちょねちょとする汁にまみれている。
「俺はもう拾いたくない……」
「言っとくけど、僕の所持品も全て、役人に没収されてるからね」
魔石を何回か砂で転がしてからひろった。
「今、どれくらいの位置にいるんだ?」
「まだ1割ほどしか進んでない」
ほぼ半日を歩いて1割か、砂漠での野宿はキツイ。
「どこかに、行商人でもいないか」
「来るとしたら後ろからだね、行路は封鎖されてた」
ゾンビの様に、砂漠をひたすら歩いてゆく。
やがて、大きな溝を見つけた。
川が干からびたかと思う様な幅だ。
その溝を横断する。
水とは違う、ねばり気のある液体が溝の中に散乱していた。
「なんだここ?」
ノアがリーシェを背負いなおす。
「アレが通った後だよ、自然災害レベルの魔物がいるんだ」
そういえば、行路では魔物があばれていたらしい。
「この近くにまだいるかも知れないな」
溝を渡り終えると、遠くから数人が走ってくるのが見えた。
その後ろには、シャコウの群れ。
追われているのか、こっちに来ている。
「アカヤの出番、頼りにしてるよ」
「ノア、魔石を拾う係に任命してあげよう」
ノアは笑いながら俺の尻を叩いた。
リーシェは無事に目を覚ました。
だが、砂漠を歩くだけの体力はなかった。
ノアが彼女を背負って歩いている。
ちょうど、太陽が最も高くなる頃だ。
アゴの下にたまった汗を手でぬぐう。
「し、しぬう……」
「リーシェちゃんの前で弱音をはくの禁止」
「はいよ、へえい」
「返事は一回ッ!」
「はいよッ!」
砂漠を越えるのは、予想以上の苦難だった。
一時間ほど歩いたと思ったら、ほんの二十分すら過ぎていない。
突然、小さなオアシスが右側に見えてきた。
「ノア、あのオアシスで休憩しようぜ」
「なに言ってるの、そんなものないよ」
右側を指さす。
「ほら、あそこにあるだろう?」
ノアが、俺のオデコを触る。
「うわ、アッツ、熱中症かな」
その手が、水色に光ってゆく。
見えていたオアシスが消えて、頭の熱さが抜けてゆく。
冷却ジェルシートをはられた気分だ。
「ノアの手、気持ちいい……」
「もう、僕がいなきゃアブなかったよ」
そうは言われても、砂漠ごえの準備をする時間はなかった。
突然、砂がふくれる。
砂面から、サメの頭部とスカラベの胴体を合わせた様なモンスターが現れた。
ノアが急いで俺の後ろに隠れる。
「アカヤ、頼んだ。シャコウなら、余裕でしょ」
——プロメテウスの小石、赤く光るそれをシャコウへ投げる。
球速は90キロほどだ。
小石はシャコウの前歯をへし折り、体を貫通する。
そして、小さな魔石をひとつ残して消える。
「ヤッタ、魔石でたよ、アカヤ!」
なお、魔石はねちょねちょとする汁にまみれている。
「俺はもう拾いたくない……」
「言っとくけど、僕の所持品も全て、役人に没収されてるからね」
魔石を何回か砂で転がしてからひろった。
「今、どれくらいの位置にいるんだ?」
「まだ1割ほどしか進んでない」
ほぼ半日を歩いて1割か、砂漠での野宿はキツイ。
「どこかに、行商人でもいないか」
「来るとしたら後ろからだね、行路は封鎖されてた」
ゾンビの様に、砂漠をひたすら歩いてゆく。
やがて、大きな溝を見つけた。
川が干からびたかと思う様な幅だ。
その溝を横断する。
水とは違う、ねばり気のある液体が溝の中に散乱していた。
「なんだここ?」
ノアがリーシェを背負いなおす。
「アレが通った後だよ、自然災害レベルの魔物がいるんだ」
そういえば、行路では魔物があばれていたらしい。
「この近くにまだいるかも知れないな」
溝を渡り終えると、遠くから数人が走ってくるのが見えた。
その後ろには、シャコウの群れ。
追われているのか、こっちに来ている。
「アカヤの出番、頼りにしてるよ」
「ノア、魔石を拾う係に任命してあげよう」
ノアは笑いながら俺の尻を叩いた。
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