奴隷を助けたはずが奴隷になったのでタスケテください!
9ー1 暗闇の女性①
畑の匂いによって、目が覚める。
頭痛はどこにもなかった。
地面であぐらをかく。
尻が冷たい。
乾燥した大地が、畑の土の様な状態になっていた。
ヘリオスの火球に奪われていた水分などが戻ったようだ。
「お兄さん、大丈夫か?
みんなを助けてくれたようで、ありがとうな」
前歯のいくつか抜けた青年が、水をくれた。
それを一気に飲み干す。
「ありがとうございます。
どれくらい気を失っていたんでしょうか」
「さあ、そこまでは。
ただ、黄色い火球が消えてから、10分は過ぎたかも」
目を閉じて、ノアにつけた魔法の位置を探す。
魔法は、ここから数百メートルほどの場所でとどまっている。
俺は彼へお礼を言って、移動した。
魔法の痕跡がある——ノアのいる場所にたどりつく。
そこは、石の門のある大きな建物だ。
ひょっとしたら、この都市で一番大きいかも知れない。
数人の門番だろう男たちが、地面に大根の様に埋まっていた。
また、壁の一部が何かで砕かれてもいた。
ヒトひとりは余裕で入れるほどの穴が、そこに開いている。
これはノアの仕業に違いない。
建物内から、何かがぶつかる音が聞こえる。
戦闘中かもしれない、急いだ方が良さそうだ。
建物へ入る。
金や銀の壺だの像。
どう好意的に見ても前衛芸術としか思えない絵。
それらがいたるところに並んでいる。
音のする方へ駆けてゆく。
やがて、大きな広間にたどり着いた。
そこでは、リーシェのフクロウが美術品の上に止まっている。
突然、壁の損傷する音が鳴る。
金髪のロングヘアの女性が、レイピアを壁に突き刺していた。
その剣の下では、焦っている表情のノアが床に座り込んでいる。
さて、加勢しよう。
ネグリジェを着用している女性と目が合う。
濁りの少ない青い瞳が見える。
「今日はドロボウが多いな」
「リーシェを返してもらおう、それとノアも」
女性はレイピアをサヤに収めた。
「どういうことだ、私はなにも盗っていない」
「とぼけるなよ、小さな女の子をここで拘束しているだろ」
女性は、頭のてっぺんにてハネている毛束を右手でいじる。
「あなたたちは、誤解をしています。私は拘束などしていません」
「ドロボウに入られたから自衛していた、と言うのか?」
女性はノアから離れて腕を組む。
「それ以外に、どう見えるのでしょうか。逆に聞きたいですね」
まさか、ノアが入る家を間違えたのか?
「ノア、リーシェのフクロウは、確かにここに入ったんだな?」
「間違いないよ、だから僕も入ったんだ」
ややこしいわ!
だが、剣を収めたあたり、彼女は噓をついていない様に思う。
威力を抑えた魔法で気絶してもらおう。
女性の表情がけわしい。
「ドロボウども、演劇もこの辺で終わりにしろ。
牢に入って、しっかりと反省しなさい」
女性はふたたび剣を構える。
「待ってください、ここに他の人はいますか?」
「もう半分の側に、ジェイクが住んでいる」
その名前には聞き覚えがある。
「死人・ジェイク?」
女性が上品に笑う。
「いかなドウボウにとて、三英雄の名は通じているのだな」
女性がノアの首にレイピアをそえる。
————プロメテウスのスリッパ———
広場へ踏み込んで、彼女の口へ赤く光るそれを投げる。
女性は自らの横髪を手で払う。
「安心しろ、殺しなどするものか。
更正して、真面目に働きなさい」
魔法のスリッパの先が、その口へすっぽりと収まる。
「ふんガッ、もふっヴォ!?」
魔法の制御は、ほぼカンペキだな。
頭痛はどこにもなかった。
地面であぐらをかく。
尻が冷たい。
乾燥した大地が、畑の土の様な状態になっていた。
ヘリオスの火球に奪われていた水分などが戻ったようだ。
「お兄さん、大丈夫か?
みんなを助けてくれたようで、ありがとうな」
前歯のいくつか抜けた青年が、水をくれた。
それを一気に飲み干す。
「ありがとうございます。
どれくらい気を失っていたんでしょうか」
「さあ、そこまでは。
ただ、黄色い火球が消えてから、10分は過ぎたかも」
目を閉じて、ノアにつけた魔法の位置を探す。
魔法は、ここから数百メートルほどの場所でとどまっている。
俺は彼へお礼を言って、移動した。
魔法の痕跡がある——ノアのいる場所にたどりつく。
そこは、石の門のある大きな建物だ。
ひょっとしたら、この都市で一番大きいかも知れない。
数人の門番だろう男たちが、地面に大根の様に埋まっていた。
また、壁の一部が何かで砕かれてもいた。
ヒトひとりは余裕で入れるほどの穴が、そこに開いている。
これはノアの仕業に違いない。
建物内から、何かがぶつかる音が聞こえる。
戦闘中かもしれない、急いだ方が良さそうだ。
建物へ入る。
金や銀の壺だの像。
どう好意的に見ても前衛芸術としか思えない絵。
それらがいたるところに並んでいる。
音のする方へ駆けてゆく。
やがて、大きな広間にたどり着いた。
そこでは、リーシェのフクロウが美術品の上に止まっている。
突然、壁の損傷する音が鳴る。
金髪のロングヘアの女性が、レイピアを壁に突き刺していた。
その剣の下では、焦っている表情のノアが床に座り込んでいる。
さて、加勢しよう。
ネグリジェを着用している女性と目が合う。
濁りの少ない青い瞳が見える。
「今日はドロボウが多いな」
「リーシェを返してもらおう、それとノアも」
女性はレイピアをサヤに収めた。
「どういうことだ、私はなにも盗っていない」
「とぼけるなよ、小さな女の子をここで拘束しているだろ」
女性は、頭のてっぺんにてハネている毛束を右手でいじる。
「あなたたちは、誤解をしています。私は拘束などしていません」
「ドロボウに入られたから自衛していた、と言うのか?」
女性はノアから離れて腕を組む。
「それ以外に、どう見えるのでしょうか。逆に聞きたいですね」
まさか、ノアが入る家を間違えたのか?
「ノア、リーシェのフクロウは、確かにここに入ったんだな?」
「間違いないよ、だから僕も入ったんだ」
ややこしいわ!
だが、剣を収めたあたり、彼女は噓をついていない様に思う。
威力を抑えた魔法で気絶してもらおう。
女性の表情がけわしい。
「ドロボウども、演劇もこの辺で終わりにしろ。
牢に入って、しっかりと反省しなさい」
女性はふたたび剣を構える。
「待ってください、ここに他の人はいますか?」
「もう半分の側に、ジェイクが住んでいる」
その名前には聞き覚えがある。
「死人・ジェイク?」
女性が上品に笑う。
「いかなドウボウにとて、三英雄の名は通じているのだな」
女性がノアの首にレイピアをそえる。
————プロメテウスのスリッパ———
広場へ踏み込んで、彼女の口へ赤く光るそれを投げる。
女性は自らの横髪を手で払う。
「安心しろ、殺しなどするものか。
更正して、真面目に働きなさい」
魔法のスリッパの先が、その口へすっぽりと収まる。
「ふんガッ、もふっヴォ!?」
魔法の制御は、ほぼカンペキだな。
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