奴隷を助けたはずが奴隷になったのでタスケテください!

金丸@一般ユーザー

5ー1 ぽ

リーシェとアンナの拘束をほどいた。

ふたりはまったく起きない。

「わたしに任せて、少しならいやしの魔法を使えるから」

エリーが、ふたりの前で右手をかざす。

その手が緑に光り出した。

「んおおおお、力がみなぎってくる、これが魔石のおおおお!」

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

蚊の様なムシが、エリーの右手に止まる。

彼女はそれを思いっきり叩く。

力入れ過ぎたのか、彼女は自分で叩いて痛がり始めた。

「どうだ、このしい禍々まがまがまでの新たな肉体は!」

リーシェとアンナが目を覚ます。

「アカヤ……、来てくれたんだね」

リーシェが、何かに気づいた様な表情をして、俺の服をぐ。

彼女は、俺の背中の匂いを嗅ぐと、黙り込んでしまった。

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

アンナが手でムシを払う。

「夏は『ぽ(蚊の様なムシの名前)』がわくからイヤ」

「それね! わたしも寝る時に耳元を回られてイヤなの!」

「分かる、あれうざいよねー」

「イアペトスの砂がなくともッ、この拳さえあれば、貴様など!」

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

プロメテウスの炎剣で『ぽ』を切り殺す。

「なぐり違えてでも、貴様をアッシュとグレイシーの為に!」

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

「駄メイド、刺されろ」

「なんでよ! アンタの火で『ぽ』を駆除くじょする煙でも出してっ」

プロメテウスの炎剣をぶんぶんと振り回して、『ぽ』を焼却してゆく。

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

俺のプロメテウスからは、何者も逃れられない。

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

振りかぶった剣先が、何かに刺さって動かない。

後ろを確認する。

剣先が、ジルダプタの顔に刺さっていた。

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

ジルダプタ焼却。

ぽぉーん、ぷぉーん、ぱぁーん。

『ぽ』にほほを刺された。

————赤爆の追火ついか————

大量の赤黒い火たちが、小さな鳥の姿に変わり、『ぽ』を捕食してゆく。

大陸にいる全ての『ぽ』を焼き尽くした。

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