奴隷を助けたはずが奴隷になったのでタスケテください!

金丸@一般ユーザー

2ー2 リサイクルショップな道具屋

街に着いたのはいいが、すっかり夜になってしまった。

宿をとろうとした。

素泊まり一泊で4000ルド(ルドは通貨単位)が必要だと言われてしまう。

転移したばかりなので、金がない。

リーシェはどこか泣きそうな顔で静かにしている。

そうだ、さっきの石ころ売れないかな?

買い取りの店を探して、そこへ入る。

「いらっしゃいませ。もうすぐ閉店時間ですけど、ごゆっくり」

店員の10代半ばほどの女の子が、そう挨拶した。

強いクセ毛の赤い髪を持つ中肉中背だ。

店内には、ちらほらと「差押」と書かれた札の貼られた商品がある。

「すみませんが、これの買い取りはできますか」

カウンターへ、モンスターから出た石を置く。

それを少しだけ見た彼女の表情は、まったく変わらない。

「10ルドで良ければ、買い取りますよ」

 本を売るなら、フッ、フフゥ、フン。

夜食代にもならないのか。

「ならやめときます。ありがとうございました」

石を取ろうとする。

「冷やかしって、常識ないなあ」

まてよ。10ルドで仕入れて、売値はいくらにするつもりなんだ。

店内を見渡す。

宝石は全てケースに収められていて、数万ルドほどの値を付けられていた。

ダメ元で、揺さぶってみるか。

「10ルドで取引なんて、バカバカしい」

「どこ行ったって同じ値段ですよ、捨てるだけ手間が増えて損ですね」

「噓つきがいるなあ……」

他の店だと買い取り不能かもしれないから、この言葉は間違いではない。

彼女は急に無言になった。

石へ手をまた伸ばす。

「ちょっと、まだ話の途中でしょう」

「……、もういいです」

知らずとはいえ、そこらの石ころを売ったとしたら、詐欺師と呼ばれても弁明できない。

「お客さん、分かってて、やってるでしょう。1000ルドでどうですか」

閉店時間がやや過ぎていた。

リーシェを連れて退店しようとする。

「待って、いくらなら売ってくれるの?」

たかが、宝石ごときなのに、めんどくさそうな予感がしてきた。

「あなたの生涯をもらっても釣り合いませんね」

店の入り口が開く。

「アンナちゃん、今日の利子もらいにきたぜ」

柄の悪そうな男たちが入ってきた。

そして、彼がカウンターにある石を見る。

「おいおい、これは魔石じゃないか。

 アンナちゃん、いいもん仕入れてんねえ」

「それを明日にでもおろして、まとまったお金を用意するから、今日はもう帰って」

ちゃっかりしてるな、まだ俺のものなんだけど。

「はいはい、後払いなんて認めないから。

 それとも、これから夜のお店で利子分を働くかい?」

男どもは一斉に笑うと、アンナを店の外へ連れ出そうとする。

「イヤ、放して!」

「借金だけ残してくたばった、父親を恨むんだな。

 ま、親父は自分で責任とらなくて、さぞ喜んでるだろう!」

彼がカウンターにある魔石をとろうとするので、俺はその手を掴む。

「なんだおまえはぁ?」

「俺のモノだ、彼女とは取引してない」

「あっそ。じゃ、川の底でくねくねしてろや!」

彼が殴ろうした。

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