(チート確定?)保持率0パーセントのスキルを引き当てちゃった件について

ノベルバユーザー329844

5話ノーライフキング 2

                           [転移]


『もう夜になってしまったのか。』

そう私の体感時間は、もうすでに狂ってしまった。
何もない世界で、誰にも愛されず、誰とも関わらない。
真っ白な生活は、やがて私も白くしていったのだ。
感情が抜け落ちて、本当の顔を私は、忘れてしまった。

そんなある日私は、本屋の前を通り過ぎた。それは、一瞬だったが私には、何時間もその本屋の前にいたのと変わりは、ないのだ。

本屋の前に置いてあった異世界にまつわるエピソードの本が目に留まった。

『異世界?』

『行ってみたいな』
それは、真っ白な生活の中に、少し色がついたように感じた。
数千年ぶりの出会いだった。
何千年も生きたが異世界とは、初耳だったからだ。

『行くか!』
すると私は、すぐさま家に帰り、魔法に関する書物を探り出した。

『あった!』
それは、別の星へ転移する魔法だった。
だがその星については、何も記されては、いない。

(もし、月、火星、彗星、金星、または、太陽に転移してしまったら)とふつうの魔道士なら恐れ試さなかったであろう。

だが私は、迷いは、なかった。

【表裏を一つに繋ぎ合わせ空間は、交差する!】

呪文を唱え終わると、まばゆい光が私を包んだ。



『...............ここは、?』
どうやら成功したらしい。

『貴様!どこから現れた!』
その重低音な声が私の耳に響いた。

『もしや、、、貴様勇者か?』

『それにしても少し幼いな!青二才は、とっとと帰れ!』

突然の罵倒だった。だが私は、久しぶりの会話に心躍っていた。
 
『申し訳ない、まさか人様の家に転移してしまうとは、迂闊でした。』
私は、素直に謝罪した。

『ここは、魔王の間であるぞ!』

『魔王?』
聞きなれない単語によりウキウキが止まらなかった。

『貴様、我を知らないのか!よほどの田舎から出てきたのだな』

すると遠くから、明らかに敵意むき出しの声が聞こえてきた。

『魔王〜〜〜!』
それは、光り輝く剣を担い、体には鎧を纏った人間が入り込んできた。

『今日がお前の最後だ!』
と、いきなり魔王と勇者の戦いが始まったのだ。
それは、明らかに世界が滅亡してしまうほどの戦いだった。

『まずい!』
私は、焦った。
せっかく転移してきたのに、すぐさま世界が滅亡なんて、冗談じゃない。

『その命もらっーーー』
魔王にとどめを刺そうとした瞬間。

【止まれ】
私は、静止の呪文を唱え二人を静止させた。

『何?!』

『体が動かない!』
両者驚きを隠せない様子だった。

『君らは、この世界を滅亡させる気かい?』
私は、二人に問いた。

『これは、貴様がやったのか?』

『私は、君たちに質問しているのだが、答える気がないのならこのまま消させてもらうよ?』

『わかった』
そして、魔王と勇者は、交互に今の状況について説明しだした。

『なるほど、要するに君たちは、長年にわたる因縁のライバルであり、戦わなくては、ならない宿命の敵どうしということかな?』

『そうだ!』
二人は、同時に答えた。

『そこには、和解というものは、存在しないのか?』

『しない!』

『わかった』
私は、何千年ぶりに少し悲しげな表情をした。

だがこれも本来の私の顔では、ない。

【粒子となり消えろ】

『貴様ーー...............』

魔王と勇者は、粒子となり空気中へ溶けていった。

『さて旅に出よう!』
私は、東へと向かった。





コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品