話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

自称『整備士』の異世界生活

九九 零

74





シャワーを終えた男がわざわざ俺の隣に入ってきた。

「っにしても、お前も随分と風呂好きだよな。俺より早く入ってるなんて思わなかったぞ」

娯楽がないから早寝早起きなんだよ。仕方ないだろ。

そんな事を思っていると、男の視線に気が付いた。生々しいわけじゃないが、俺の身体を観察するような視線だ。
他人に肌をジックリと見られるのは余り良い気はしない。

「なんだ」

「もしかして、お前もコッチ系の人間か?」

そう言って拳を作って見せてくる男。

どう言う意味だ?

「その傷痕を見るに、かなりの場数を踏んでるだろ?得物はなんだ?剣か?槍か?筋肉の付き方からして…弓か?」

ああ、そう言うことか。傷痕を見て、俺が戦闘狂だと勘違いしてるんだな。

残念だけど違うぞ。

「俺は戦わない」

この傷は戦闘で負った傷じゃなく、実験に失敗してできたものだ。
スライムの特性を得た今じゃ過去に負った深傷などは消せないけれど、それ以降の傷は何一つ残りはしない。それに、戦闘で傷を負う事なんてしない。

俺は危ない橋は決して渡らない主義なんだ。

「ん?ならどうして?」

しかし、答える義理はない。

「そうか。まぁ深くは聞かないよ。色々と訳ありなんだろ?」

何を勘違いしたかは知らないが、訂正する気は更々ないので放置だ。

「あっ、そうだ。この石鹸貸してくれたろ?ありがとうな」

そう言って石鹸を返そうとしてくる男だが、そんな人が使った物なんていらない。
特に、お前みたいな汚い奴が使った後のやつなんて尚更いらない。

「やる」

「いいのか?高かったんじゃないのか?」

「まだある」

「そんじゃ、ありがたく貰うぞ」

「ああ」

石鹸ぐらい島に寄れば幾らでも手に入るし、クロエに言えば幾らでも貰える。

シャンプーやリンスとかも制作されてるし、化粧品にも力を入れてるらしい。
女の考える事は分からないが、好きにしたらいい。一応は俺がメンテナンス・ハンガーのトップだが、実質のところはクロエが動かしているからな。野暮な口出しはしない。
俺がするのは技術や知識の提供。知識欲への刺激。そして、注文だけだ。




「自称『整備士』の異世界生活」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ノベルバユーザー558342

    続きが気になります!更新楽しみに待ってます!

    0
コメントを書く