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自称『整備士』の異世界生活

九九 零

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ご指摘ありがとうございます。前話、編集しました。

お休みの方は昨日まで休みでしたか?よく身体を休めれましたか?

私は相変わらず仕事仕事…。そろそろ休みが欲しいですねぇ〜。











俺の用事は済んだので、頼まれ事の件に移ろう。

「ここか」

今にも崩れ落ちそうな教会がある。庭の雑草は伸び放題で、蔦が建物を覆い、いかにもな雰囲気が醸し出されている教会。
見ようによっては、まるで蔦が建物を支えているようにも見えなくはない。

まぁ、簡潔にまとめると、酷い有様だ。

辺りを見渡しても人っ子一人見当たらない。いや、それもそうか。予定通りだと、この辺りは既にカッカ達が掃除した後だもんな。

錆び付いて機能していない鋳物の門を押して開くと、ヒンジが折れて崩れ落ちてしまった。

………どうせ建て直すんだ。別に良い。

そう思いながら一歩門の内側へと足を踏み入れる。刹那ーー伸び放題の茂みから短剣が飛んできた。

茂みに誰か潜んでるのはマナ感知で知っていたけれども、攻撃されるのは予想外だった。
この辺りはカッカ達が掃除し終えていると思っていたんだけどな…。

「ちっ…」

反射的に掴み取ってしまった。しかも、刃の方を。

勿論、痛い。

刃を掴んだ手から血が滴る。痛みが怒りを誘発し、少し体内マナの制御を誤って短剣を握り潰してしまう。

だが、手の傷はマナで強化した自然治癒で癒えた。

「ひっ…ば、化け物っ!!」

尻餅を着いた音。何人かが走り去る音。そして、俺の前に立ちはだかる者…子供か。
まるで親の仇を見るように敵意剥き出しの鋭い眼光を俺に向け、ついでに、身体に不釣り合いな剣を構えて剣先を俺に向けている。

これは…俺を敵と見ているのか…?

っと言う事は、コイツ等も盗賊達と同じ敵か。

剣を構える姿はそれなりに様になっている。四肢の震えもなく、シッカリと柄を握り込み、視線も俺を捉えて離さない。

この顔を俺は何度も見た事はある。これは、殺し合いの覚悟が出来ている顔だ。

「ふむ…」

だと言うなら、俺が取る行動は一つだけだ。

「覚悟はあるか?」

ハッキリしているのは殺すか殺されるか。
弱肉強食の世界なんだ。一瞬の油断は死に繋がる。例え相手が子供だろうが女だろうが老人だろうが関係ない。

敵意を向けるなら。殺意を向けるなら。殺そうとするなら。俺はそれを否定しない。否定はしないが相手にもその覚悟を決めてもらう。

せめてもの良心だ。

「テメェは誰だ!?ここに何の用だ!?」

どうしてそんな事を聞くんだ?
敵意を向けたのなら攻撃してくるのが普通だろ?来るなら来い。俺の準備は出来ている。

「そこから一歩でも動いてみろっ!この剣の錆にしてやるっ!!」

それは…入るなって言ってるのか?

おそらく、この子供の盗賊達は俺がカッカ達と合流させまいとしているんだろう。
でも俺はこの教会に用がある。ここで掃除の終えたカッカ達と合流する手筈なんだ。だから、なんとしてでも押し通させてもらう。

「忠告はしたぞ!」

一歩踏み出すと、少年が剣先を俺に向けながら駆け寄ってきた。僅かに剣先が上を向いている所からして、この後の行動を予測するに、このまま突きを繰り出すか、上段斬りに切り替える筈だ。

それなら…。

少年との距離が1メートルを切り、剣の間合いに入る。
少年は勢いよく剣を振り上げたのを横目に、俺は更に一歩踏み出して少年が剣を握る手に左手を添える。
ついでに、少年の胸倉を掴み、少し手前に引いてから奥へと突き放す。と、同時に、軸足を蹴り払ってやる。

バランスを崩した少年は必然的に後方へと転ける体制に入る。その隙に……ああ、俺ってやつは…空いた左手で握り拳を作って顔面を少し手加減して殴る。

はぁ…やっぱり子供は殺せないな…。可哀想とかそんなんじゃなくて、どうしても手加減してしまう。
初めは殺す気だったのに、アックとマリンの悲しそうな顔が脳裏に浮かんでその最期の一手が打てない。

なんて腑抜けた考えなんだ…。と、自分の事なのに悪態を吐く。

でも…でも、少年の手には剣がまだ握られている。後で抵抗されたり反撃されるのも面倒だ。

掴んでいる胸倉を引き寄せ、更に少年の顔面に一発。まだ剣を手放さない。だから、もう一発。

剣を手放すまで何度も殴る。殴る。殴る。殴り続ける。

「………」

石が飛んできてコツンと俺の頭に当たった。体を少し強化していると言っても、結構痛い。殴るのを一時中断して石を投げた奴を見る。見たところソイツも子供だ。それに、俺よりも幼い。アックやマリンと同じぐらいの歳か?

……で、だからどうした?

「に、兄ちゃんをはなせ!このバケモノめっ!」

また石を投げる動作に入ったから、取り敢えず手持ちの盾・・・・・で防ぐ。

「くらえっ!」

反対側からも石が飛んできたから手持ちの盾・・・・・で防ぐ。

「ひきょうもの!」

「この、あくま!」

「おまえなんて、おお兄ちゃんがきたらおわりなんだからなっ!」

いや、知るかよ。

飛んでくる石の量が時間が経つ毎に増える。同じ事をどこぞのRPGゲームの村人Aみたく繰り返し言う子供達。ビシッビシッと盾の背に当たる音が聞こえてくる。

俺には当たってなくて痛くも痒くもないけれど、何度も同じ事を言われるのは鬱陶しい事この上ない。相手するのも面倒くさいし、なによりも同じ事を言われるのは苛立つ。

だから子供は嫌いなんだ。

いっそのこと、ここにドラム缶ほどの大きさのエーテル缶を置いて逃げてやろうかとすら思えてくる。

まぁ、それをしたらしたで、下手するとこの街が吹き飛ぶ可能性がなきにしもあらずなのでやらなーー。

「行っちゃダメだ!クロエっ!!」

バンっと勢い良く扉が開かれると共に、何かが勢いよく飛来してきた。

「むっ…!?」

それが何かは把握しきれなかったが、その飛来物に当たれば盾は木っ端微塵に砕け散ると言う事だけは直感で理解した。

理解した上で、俺は自身を守る為に盾を掲げたーー筈なのに。

「あ?」

なぜ?なぜ俺は空を見上げている?
それに、妙に右の頬が痛い。

俺は…何をされたんだ?
どうして仰向けになって宙を飛んでるんだ?

即座に体制を立て直して地に足を付けて勢いを殺そうとすると、ガンッと鈍い音が頭の中に響いた。

目の前にチカチカと花火が散り、背景はお世辞にも綺麗な空だとは言えない雲で覆い隠された鼠色の空。

また俺は空を見上げていた。

分からない。なぜ。どうして。

理解が追いつかない。

足を掴まれる感覚がすると、背中を何かに強く打ち付けられた。

「あぐっ!?」

遅れて、地面に打ち付けられたのを理解した。

攻撃されているんだから反撃しなければ…だけど、どうやって?

思考が全く追い付いていない。

地面をバウンドして身体が軽く宙に浮くと、次は腹に強烈な鈍痛が走った。

「ぐっ」

次から次へと襲い来る連撃に意識が追い付かず、次の行動まで予測できない。腹に蹴りを受けたんだろう。と、地面をバウンドしながら理解した。

そして、壁のような物に打ち付けられた。

なんとか受け身は間に合ったけれども、視界がボヤけている。
俺はどこを向いてる?次の攻撃はどこから来る?いや、そもそも敵はどこだ?どんな敵だ?対策を考えなければ…。

ヨロヨロと立ち上がりながらマナ感知の範囲を狭めて精度を高く。ボヤける視界を戻そうと頭を振るう。身体中から発せられる鈍痛から意識を逸らす。

立ち上がり終えても追撃は来ない。痛みはあるけれど、身体は動く。まだ視界はボヤけているけれど、敵らしき存在は教会の前にいる。あとはマナ感知でーーなっ!?はやっ!!

まるでトラックに跳ねられたかのような感覚が全身を襲う。寸前で防げたから何とかなったものの、勢いまでは防ぎきれずに背後の壁をぶち破り建物内に転がり入り、家具や小物を破壊しながら部屋内の壁に激突した。

俺の反応を超える速度で飛来したのは、先端が鋭利に尖らされた黒い氷だった。

ギリギリ防げたけれど、もう少し反応が遅れていれば串刺しになっていただろう。現に今、左腕に大穴を開けられてしまって使い物にならなくなってしまった。

背中のこれは…棚か?壊してしまった。いや、そうじゃない。今の魔法は一体なんなんだ。
敵は教会前を陣取っている。距離にして25mほど…。違う。そうじゃないっ。そんな事は今関係ないっ。

左腕の痛みはない。なのに、血は滝のように零れ落ちている。

ああ、くそっ。

「ちっ…」

さっきの出来事でボヤけていた視界は元に戻ったが、それ以外の回復は全く間に合っていない。やっぱり自然治癒の強化のみに頼るのは限界があるか…。

周囲を軽く確認すると、ここは民家のリビングみたいで部屋の隅で驚いた顔を浮かべたまま肩を抱き合って固まる親子の姿が確認できた。

人目がある。魔法はダメだな。

ポケットから簡易スクロールを取り出して起動させる。

「『回復』」

さっきまでの痛みが嘘のように消え、穴の空いた左腕も癒えた。そこはかとなく身体が軽くなったような気もする。

それにしても…。

「クフフ…」

笑い事じゃないのは分かっているのだけれど、どうしても笑いが込み上げてくる。

ここまで一方的にやられたのは生まれて初めてだ。勿論、俺は魔法を使っていないし、身体強化も多少身体を頑丈にする程度しか使っていない。だけど、俺も男だ。ほぼ素の状態の俺が手も足も出せなかったことは悔しくて仕方がない。

今までの努力を否定されたようで苛立ちすら感じられる。

なのに、なぜか笑いが溢れた。自分の事なのに、なぜ笑っているのか理解できない。

ただ一つハッキリとしているのは、俺はまだ弱いんだと言う事実を突き付けられたような気がした。

世界一の強さなんて求めてない。俺が誰かよりも勝る一方、誰かより劣るのも当然。だから、こんな事で腹を立てるのも筋違いであって、怒っても仕方のない事なんだ。

でも…納得いかない。悔しい。負けたのが悔しくて悔しくて仕方がない。

「ふぅ…」

軽く息を吐いて、一度頭の中を真っ白にして混乱していた脳を再起動させる。

身体の上に乗った瓦礫をガラガラと鳴らして落としながら立ち上がる。

そのまま敵の前に姿を晒すのは得策じゃない。まずは敵を認識し、状況判断と対策を考えるべきだ。

さっきの魔法は氷と闇の複合魔法だった。そこから推測するに、標的は教会前を陣取る子供達の中で一人だけしか持っていない黒いマナの持ち主だろう。

マナ容量は近くの子供達と比べると倍近くあるけれど、些細な問題だ。それに、マナの制御は苦手なのか身体から漏れ出している。
そこから導き出すに魔法は苦手と見た。だからトドメと言わんばかりに最後に放ってきたんだな。

でも、その速さは決して侮れない。用心はするべきだな。

次に敵の動きの速さだ。マナ感知の精度が悪かったとは言え、俺は不意打ちを受けた。それに、次々と放たれる連撃にすら反応できなかった。

悔しいけれど、こればかりは地の力のみでは無理だ。余り使いたくはなかったけれども、マナで身体を強化して対策するしか方法が思い付かない。

はぁ…。まだまだ地の力は弱いな…。帰ったら鍛え直しだ。

さて。前準備は終了した。

ーー第2ラウンドといこう。

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コメント

  • トラ

    更新お疲れ様です!
    僕は休みでした
    お仕事頑張ってください
    大変でしょうし無理なさらずに
    次も楽しみにゆっくり待ってます

    1
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