自称『整備士』の異世界生活
34
少し私の話をしよう。
私の名はカナード。生まれは知らない。教会の前に捨てられていた孤児だ。名前はシスターが付けてくれた。
自分で言うのもなんだが、私は凡人と比べて優れていた。それは私と同じ境遇であった孤児達と比べると顕著だったと思う。
私は幼い頃から物覚えだけは異様に良く、誰に教えを請う必要がなくとも一度見ただけで何事もソツなく熟す事ができた。
そんな私を孤児院の皆は天才児や神童と持て囃していた。その時の私は思い上がってしまっていたと後に取り返しが付かなくなってようやく気付かされ、酷く後悔させられた。
私が奴隷として生きる羽目になったのも、全ては自分が仮初めの称号の上で奢っていたからだ。
私が奴隷の身分に堕とされたのは10歳になった時だった。私が授かった魔法属性はかくも珍しい全属性適正だった。
皆に褒められ、煽てられ、将来は安泰だと言われていた。
まだ子供だった私は、まさに神にでもなったかのような全能感に満たされ、誰にも負ける事はないと。私が世界で一番偉いのだと自惚れていた。
それ故の過ち。取り返しの付かない大きな過ちを犯してしまった。
赤の他人を助けるだなんて下らない理由で無謀にも私は貴族様の前に立ちはだかり、魔法を放ち怪我を負わせてしまったのだ。
唯一の救いは私に特別な才能があった事だけだろう。
そんな私の才能が貴族様のお眼鏡に適ったのか。おかげで私は死刑をま逃れる事ができ、奴隷の身分として貴族様の下で働く事を許された。
その貴族様がブルターク男爵様。私がこの世で最も忌み嫌い憎む人物だ。
ブルタークは私の大事な物を全て奪い去っていった者だ。
私を騙して奴隷に陥れるだけではなく、知らぬ間に私にとって家族同然であった孤児院の皆も奴隷にしていた。お目当ては孤児院に居たエルフの少女。たったそれだけの為に、私が育った大切な孤児院を潰され、挙げ句の果てには冤罪を吹っかけて全員を奴隷堕ちにしていた。
それだけじゃない。私の本当の父と母はブルタークの手によって既に他界させられていたのだ。
全てを知った時、私は絶望した。だが、それしかできなかった。この隷属の腕輪がある限り…。
しかし、この憎しみが消えるわけじゃない。いつかこの憎きブルタークを殺してやると憎悪を燃やし、長い年月をかけて憎悪を大切に育て続けていた。
復讐を誓ったその日から私は死ぬ思いで努力した。自分の才能に胡座をかく事が決してないように必死に。必死に努力し続けた。
ブルタークの突き出す無理難題を愚痴一つ溢さず熟し、使用人としてのスキルを全て身に付け、奴隷の身でありながら使用人の執事にまで這い上がった。
信頼も得ていつか奴隷から解放される事を夢見て。そして、奴隷の身分から解放された暁にはブルタークをこの手で殺す事を目指して。ただそれだけのために…っ。
……だが、もうその必要はないかもしれない。
ブルタークは例の悪魔に喧嘩を売ったのだ。今は冒険者ギルドで療養中らしいが、商業ギルドで大々的に公開されていた情報によるとブルタークは王都で裁判を受けさせられるそうだ。
裁判だけならブルタークは金と権力にモノを言わせて私に復讐のチャンスを与えてくれるだろうが、どうやらそう上手くはいかないらしい。
今回の件は冒険者ギルドだけに留まらず、他の貴族達の要請もあったらしく死刑は確実だそうだ。
ブルタークが王都に連行されるまでの僅かな間ですら、隷属の腕輪が私の腕に嵌っている限り一矢報いる事すら許されない。
出来れば自分の手で殺してやりたい所だったが、もうそれすらも叶わぬ野望に終わってしまってしまう。
悔しくて。酷く残念に思う反面、ざまあみろと思う。
あの悪魔とブルタークの間で何があったのか。他の貴族達がなぜブルタークの刑を重くしようと考えたのか。私には判らない事ばかりだが、一つ無知で愚かな私でも分かる事がある。
それはーーあの悪魔にだけは決して関わってはならない、と言う事だ。
しかし、何と言うべきか。運命とは何とも嫌らしく過酷なものだ。
その後、私は商業ギルドで情報収集を続けていると、最も私が出会いたくなかった人物が"偶然"商業ギルドに足を運んでいて、"偶然"私と目が合った。
昨夜起きた闇ギルド崩壊事件の一部を知っている私は…私は…悪魔が近付いてきた途端に心が折れそうになったーー。
●●●
商業ギルドに続いて俺が連れて来られたのは、トレー商館と呼ばれる場所らしい。
外観は普通。リビングから待合室までは豪華絢爛だったけど、そこから更に奥へと連れて来られていた。
ここを何かに例えるなら、まるで清掃の行き届いた牢獄だ。前世で俺がまだクソガキだった頃にほんの少しだけ世話になった留置所を思い出す光景だ。
現にここには人が檻に閉じ込められている。娼館?いいや、違う。見世物小屋?それは少し近いかもしれない。
だが、それも違うだろう。
「トレー…?」
俺が聴かされたのは彼等の総称だった。
人。獣人。エルフ。ドワーフ。それに、魔物が数匹適度。総じて彼等の腕には隷属の腕輪が嵌められており、見る者は皆瞳に生気はなく、まるで生きる目的を失った憐れな者達を寄せ集めたような居心地の悪い場所。
「はい。そうでございますよ、エル様。それで…お気に召した商品は御座いましたでしょうか?」
俺の相手をするのは、まるでカエルのような顔をした人間だ。ニタニタと気持ちの悪い笑みを浮かべながら肉と汗で一杯の両手を握り合わせている。
まるで漫画とかで良くある上司に取り入ろうとする奴みたいだ。実際にやってるやつは初めて見た。
はてさて。どうしてこうなったんだろうな?
俺は隷属の首輪かそれに類する物が欲しかっただけなんだけど、どうしてかトレーとやらを売り付けられている。
まず、トレーってなんだ?頼むから言葉の意味を教えてくれ。
「あの娘が気に入ったのですか?そうですかっそうですかっ。おい!アイツをここに持ってこい!」
カエルが何か勘違いをしたみたいで、俺の前に少女?が連れて来られた。全身が茶色い毛に包まれた二足歩行の兎…いや、人型の兎?………兎に角、兎の人だ。うん。
……そう言えば、獣人って獣と人が合体したみたいな奴の事を言うんだよな?前に見た獣人は頭に熊耳とか兎耳とか付いてるやつだったし。
って事は何か?コイツと同じ感じの猫タイプもいるって事か?それはそれで…ちょっと気になる。
でも、獣人は獣であって人でもあるからペットに出来なさそうだし、拾って飼うのは無理か。
機会があればどこかで野良猫でも拾って飼いたいな。
「この商品は見た目通りの兎人族でしてね、歳は16でございます。元Fランク冒険者と低ランクですが、それなりに弓は扱えますし、獲物の解体なども覚えております。それに、愛玩用にも…ゴホンッゴホンッ。申し訳ありません。まだエル様にはお早かったですね」
付き添いのナタリーが睨みを利かせたみたいで、カエルは咳をして誤魔化した。
商品…トレー…隷属の腕輪…愛玩用…あぁ、なるほど、そう言う事か。要するに、奴隷制度か。
イメージでは鎖に繋がれてる感じだったけど、実際はだいぶ違うな。いや、マナなんて謎の深いパワーがあるんだし、これが当然の結果なのか。
それにしても奴隷制度か…。これまた珍しくて面白い物に出会えたな。
………今思えば、俺はコイツ等と同じような状態になりかけたんだよな?って事は、コイツ等も攫われた感じなのか?
「……攫う、した?」
「いえいえ!とんでもないっ!私共は真っ当な奴隷商人で御座います!この者達は借金や身売りなどで奴隷になった者達ですよっ!中には親に売られた者達もいますが、私共は決して人攫いなど致しませんし、攫われてきた者を解放する事はあれど、売る事など決してありませんっ!」
早口すぎて半分ほど聞き取れなかったが、だいたいは分かった。ここで売られているのは人生を失敗した者達ばかりって訳か。
カエルの説明の半分以上理解不能だったが、おおよその事は理解はできた。
「分かった」
そう言いながら頷くと、カエルは一瞬だけ驚いたような顔をして、すぐにニタニタと気持ちの悪い笑みに戻した。
「いやはや、さすがはエル様。噂に聞いた通りの聡明な方ですね。きっと、今のは私を試されたのですね?私が信用に値するかどうかと」
いや、そんなつもりなんて全くなかったんだけど?
「それで、私は貴方様の信用に値しますでしょうか?」
「……ああ」
否定するのも面倒だし…取り敢えずはそう言う事にでもしておこう。
それで…目の前の兎だけど…。
「ああっ、商品の説明がまだでしたねっ。この商品はですねーー」
「聞いた」
「これは失敬」
そう言ってペシッとハゲ頭を叩くカエル。良い音が鳴った。
「それではお値段ですが…ここはかのご有名なエル様との縁を保つ為。お勉強をさせて頂きまして、金貨25枚のところ、20枚…いえ、15枚でどうでしょうか?」
うおっ!?かなり値引きてくれたなっ。でも勝手に値切ったりして、経営とか大丈夫かこの店?
ちょっと買いたい衝動に駆られたけど…残念ながら今の俺にそんな所持金はない。おそらく10枚にも満たないはずだ。
ポケットに手を突っ込んで異空間倉庫(ガレージ)から残りの金貨を掴み取り、手の平で数えてみても…。
「あーっと!これは失礼しました!今回ばかりは特別!超特別価格で販売させて頂きます!せめて、金貨7枚!どうでしょうかっ!?勿論、体の洗浄から衣類まで全て付けさせて貰います!ご要望があれば、喜んで貴方様の指定した場所までお送りさせても頂きます!どうですっ?」
やり切った感を醸し出しつつフンスッと鼻息を鳴らすカエル。
なるほど。俺の手元にある金貨を数えたか。別に値切ろうとか考えて出した訳じゃなかったんだけど…。まぁいいか。
相手からは買って欲しい感がビシビシと伝わってくるし、ここまで値引きされたらさすがに断り辛い。
買うつもりなんて更々なかったけど…うん、何事も経験だ。買ってみるのも悪くはない。
「……買う」
そう言ってカエルに金貨を渡しながら、ふと思った。なんだか流されてる感がする、と。
まぁいいか。
浪費癖は死んでも治らないって事で納得しておこう。
「エル様。もしよければ冒険者ギルドで建て替えも出来ますが、どうしますか?」
え?そうなの?
でも、借りを作るのは余り好きじゃないし…特に借金を作るのは好ましくない。
首を横に振って断っておく。
「ではではっ早速手続きの方を致しましょう!さっさっ!こちらへ!」
上機嫌なカエルが軽快な動きで来た道を戻るよう先頭に立って案内し始める。
あ。忘れてた。父ちゃんになんて説明しよう…。
○○○
ついさっき買ってしまった奴隷の名前はない。いや、正確には、奴隷になった時点で名前はなくなるらしい。そして、新たな主人が奴隷の名前を決めるとか。
ってなわけで、面倒だったし、奴隷になる前の名前に決定した。名前はハクァーラと言うらしい。言い難くて、前の名前にしたのを後悔したのは内緒だ。
次に、俺の奴隷にするに当たって色々なルールやらを聴かされて、最後に契約と言う事になった。
契約は単純だ。隷属の腕輪に俺の血を一滴垂らすだけ。仕組みは簡単。血液中に含まれる微小なマナを利用して、腕輪と言う端末に登録を行うものだった。
だけど、俺の場合は常にマナを体内に循環させているからな…。ちょっと手間取った。
例えば、隷属の腕輪を壊してしまったり。壊してしまったり。壊してしまったり…。なんか、色々とごめんなさい。
それと、血を垂らす為に指先に針を刺すんだけど、壊してしまう度に刺さなきゃならなくて、無駄に痛い思いを繰り返して涙目になってしまったのもつい最近の嫌な想い出だ。
そんな訳で奴隷購入が終了し、今は適当な店で一休み中。
なんでもナタリーオススメの店らしい。
雰囲気は清潔感のあるお洒落な店。客層は女性ばかり。出てくる料理は無駄に甘くしただけのパンとか飲み物ばかり。甘さは砂糖じゃなくて果物の甘味を利用しているようだ。
甘いのは嫌いじゃないけど、果物は余り好きじゃなく、俺の口には合わなかったとだけ言っておこう。
「………」
「………」
「………」
気持ちの良い静寂の時間が流れる。甘ったるいジュースをチョビチョビと飲みながら、なんとなく窓から見える通行人達を眺める。
「エルさんは本当に無口ですね。店の感想とかはないんですか?」
「特に、ない」
「はぁ…」
呆れたような溜息を吐かれた。でも、本当に感想なんてないしな…。強いて言うなら、俺には不釣り合いな場所と味だ。
………感想…感想かぁ…。
「………やる」
「ふぇっ」
ハクァーラに丸投げだ。
ナタリーと同じ女性なら感想の一つや二つぐらい何か出てくるだろう。
「そ、そんな!?恐れ多い…」
「いいから、飲め」
って言うか、そろそろ座れよ。
ここは机席だ。俺とナタリーは対面同士になるよう座ってるから、どっちの席も空いている。なのに、ハクァーラだけずっと立っているのは明らかに不自然だ。
本人が気にしないのなら別に良いけど。
別に言うのが面倒くさいとかじゃないぞ?
「で、では、い、頂きます」
遠慮がちに震える手でコップを手に取り、口元で傾けてジュースをゆっくりと飲む。と、思いきや、兎耳がピョコンッと立ち上がった途端にコクコクコクと喉元が動き、あっと言う間に飲み干してしまった。
良い飲みっぷりだ。
「ぷはぁ〜」
気持ち良さげな顔で息を吐くと、空になったコップを名残惜しげに見つめるハクァーラだったが、すぐに我に返って怯える目で俺を見た。
……俺、何かした?
「す、すみませんっ!こんなに美味しい飲み物を飲んだのは本当に久し振りだったので…」
ハクァーラの落ち込み具合に合わせてシュンと兎耳が垂れる。
なにこれ、面白い。
「感想、は?」
「えっ、あ、はい!この様な物を私なんかに与えて頂いて下さってありがとうございます!」
ピンっと兎耳が立ち上がったかと思えば、ガバッと勢い良く頭を下げた。
俺は礼を聞きたかったわけじゃないんだけどな…。まぁいいか。
「じゃあ、次、飲む、か?」
この店には珍しくメニューが置かれている。あいにくと俺は文字を読めないけど、ハクァーラは読めるだろう。欲しいのなら頼めばいい。
「えっ。……い、いえ!私は奴隷の身なので…」
シャキーンッと元気な兎耳がユッサユッサと迷うように揺れ動いてから、シュンと落ち込んだ。
忙しなく動く兎耳に俺の目は釘付けだ。なんだか触りたい衝動に駆られる。が、大人な俺はそんな衝動的な行動はしない。
 「エルさん。ちょっとこっち見てくれませんか?」
ナタリーに呼び掛けられて、そちらへ向くと、なぜかナタリーはスプーンを持って右へとゆっくりと動かした。
何がしたいんだ?
そう思っていると、なぜか次は左へ。続けて右へ左へと繰り返す。そして、ピタリと動きが止まった。
「落ち着きがないって言われません?」
失礼なっ!これでも今世では一度も言われた事ないぞ!
と、心の中で憤慨していると、突然ナタリーがニッコリと笑って言った。
「貴方とはこれからも仲良くできそうです」
どう言う意味だ?
○○○
ナタリーは冒険者ギルドへ。俺はハクァーラを連れて宿屋へ向かう。
父ちゃんへの報告はナタリーがやってくれるらしいので全て任せた。
ちなみに、父ちゃんは別の宿屋だ。鷹のなんちゃらって言う、俺が壊した宿屋に泊まっている。ほとんどの時間を冒険者ギルドの依頼で使ってるみたいだけど。
そんな事は兎も角、さて、今日は何しようか。
朝から昼までで用事は全て終了したから、寝るまでまだまだ時間は有り余ってる。
だからって、今すぐにやりたい事ってのは特になくて、正直に言ってしまえば暇だ。
ハクァーラと雑談でもしようにも俺は話すのが苦手だ。それに、ハクァーラは部屋に入るなり出入り口付近で棒立ち状態で、向こうから話しかけてくる素振りもない。
ハクァーラが何か話をしてくれれば言葉も覚えれるし暇潰しにもなるから一石二鳥になるんだけどな。なんて考えてみたりもするけれど、そう上手くはいかない。
取り敢えず、ベッドにダーイブッ。ゴロゴロとしてから、チラリとハクァーラを見る。
何かに怯えるような感じで、必死に俺を見ないように視線を逸らしている。
「………」
今更だけど、奴隷ってなんだ?どういう風に使えばいいんだ?
奴隷制度って言葉自体は知っているし、奴隷商で教えられたルールも、基本的には移住食をシッカリとしていればいいだけ。
人手が増えたと考えたら良いんだろうけど、特にこれと言って俺は人手なんて必要としてない。
正直に言ってしまえば、いらない。無駄な買い物をしてしまった。
あ、そう言えば、奴隷って自分の身分を金で買い戻せるんだったな。給金も与えられないのに、どうやって金を稼ぐのかは知らないけど金を与えたら立ち去ってくれるか?
「………」
いや、でも、今の俺の手持ちには銀貨しかない。金貨は使い果たしたし、その他の硬貨は全て父ちゃんに渡してるし、あくまで予備としての金しか持ち合わせていない。
はてさて、どうするか。
「………作るか」
暇だし。アクセサリーでも作って、失敗作を売れば多少は金になるだろう。その金を渡して帰ってもらおう。
そうと決まれば、早速行動だ。
まず用意するのはーー。
「ふぁっ!?」
「ん?」
ポケットから必要な物を取り出していたら、ハクァーラの驚いたような声が聞こえてきた。
気になって視線を投げかけてみれば、即座にハクァーラが頭を下げてきた。
「す、すみませんっ!」
なぜ謝られたのか分からない。
まぁいいや。
そんな事よりも続きだ。
準備したのは露店で買い込んだ鉄のインゴットだ。こう言うのは魔法で作れるけど、実物を加工する方が遥かに楽なんだ。
最近、作業をする時に愛用している革手袋を嵌めて、インゴットを丸々一つ鋼に加工する。
その際に出たゴミは異空間倉庫にポイだ。
「………」
鋼に加工したインゴットから適当に必要分だけ千切り取って、指輪の形を作って行く。作業的にはまるで粘土みたいな感じだな。
物に直接マナを流せば爆散するけど、魔法と言うフィルターに通してマナを流せば爆散はしない。理屈は分からないけど、俺はこれを加工魔法と呼んでる。
ちなみに、魔法で作り出した物…魔法造形物の場合は、強度、硬度、造形や装飾など全て俺のイメージに沿った物が出来上がるから、そこから更に追加で加工するのが面倒くさい。
なにせ、その場合もイメージが重要になるからな。元となる物を精密にイメージしつつ、付属させたい部分を追加で強くイメージしないと崩壊してしまうんだ。
しかも、魔法造形物と、そうでない物との相性はすこぶる悪く、どうしたってくっ付かない。
魔法造形物は加工魔法を使用しても加工できないし、マナの消費も無駄に大きくて大変だ。
そう言う面があるから、実物を使用した方が遥かに楽なんだ。
「す、すごい…」
なにやらハクァーラが驚いている。
そこまで特別なことはしてないのに、どうして驚いてるのか俺には分からない。っと言うか、ハクァーラの考えてる事自体全くもって分からない。
休憩に立ち寄った店でも、部屋に入っても、座るでもなく、寛ぐでもなく、ずっと立ったままだし。
何がしたいのか理解できないし、訳が分からない。
驚くのなら、俺がもっと凄い事をしてから驚いて欲しい。例えば、製作予定の戦車とか。銃とか。飛行機とか。このファンタジー感をぶっ壊す代物を作って初めて『凄い』って褒めて欲しい。
マナさえ扱えれば誰でも作れるような物で褒められたりしても、『子供にしては良くやる』と煽てられているようにしか思えないんだ。
「…完成」
簡単な細工を施した指輪だ。今回は魔石を使ってみた。
魔石は異様に硬くて直接刻み込むのは出来ないけど、筆記魔法を刻印した物に取り付ければ、魔法を発動させる媒体となる。
謂わば、使用者のマナを使用せずとも、魔石のマナのみで筆記魔法を扱えるようにするものだ。
これなら俺でも使える。
「『灯火』」
指輪を人差し指に嵌めて呪文を唱えれば、魔石のマナが指輪内を循環してから人差し指を通過し、指先から放出され、小さな火を灯した。
成功だ。
魔石からマナを引き出す回路を組むのは少し苦労したけれど、満足の行く出来具合だ。
この調子で残りの鉄も全てアクセサリーに変えてしまおう。
取り敢えず、今作った指輪は実験用だったし、後で売ってしまおう。少しは金になるだろう。
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コメント
トラ
更新お疲れ様です!
ケモ成分多めのウサギ娘いいっすねぇ
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次も楽しみにしてます!
体調には気をつけて