凡人勇者の異世界英雄譚Ⅱ 〜転移したら無敵になってました〜
Ep1/act.13 義賊の正体
休みが明け、爺さんからも仕送りを貰った俺は、元気に学校へと登校した。
素晴らしい一日が始まる!
そんな気分だった。
「おはよう、ギルくん」
校門で俺を待ち伏せていたのは、いつぞやのエナ・アルフォアだった。
「王女様か、なんだよ朝っぱらから」
「ふふ、何?私に話し掛けられるとよくないことでも起こると思ってるの?」
笑いながら言葉を含み話している。
また面倒臭いことが起こりそうだ。
「その通り。面倒なことを話しますよ」
こいつ、俺の心の中が読めるのかよ…。
「ケンドラー家からあなたに依頼をしたと話を聞きまして、あなたにもお伝えしておこうかと」
「ああ、例の義賊の件か。また何かあったのか?」
「はい。実は昨日の夜中、ケンドラー家がやられました。アルスさんとお父様は無事なようでしたが、使用人が数名、ボディーガードが数名負傷したみたいです」
「ケンドラー家がやられたのか」
「はい。これまでなら噂の範疇で終わっていたのですが、ケンドラー家に置き手紙を残していたようで、その内容には、あなたの名前が記されていました」
俺は嫌な予感が脳内を駆け巡った。
昨日は俺が王都へ出て、『あの人』に会った日だ。
「王都に出稼ぎ…下民…差別……」
俺がボソボソと言っていると、何かを感じ取ったのかエナは話を進めた。
「手紙の内容をお伝えします」
『私は義賊。生まれながらに差別を受けて来た。これはその報復である。今夜、私は城を襲撃するつもりだ。私の足があれば城の守りですら圧倒するだろう。私を捉えたくば、シルド・ギルを連れて来い。』
「嫌な予感は的中したみたいだ」
「犯人に心当たりが?」
「昨日、会ったんだ。ケンドラー家が襲われる前だろうな。優しい人だったよ」
「その方の名前は?」
「ブロード・テイラー」
学校が終わり、リオンを連れてエナの案内で俺たちは城へと向かった。
「やあ、早かったね」
振り返ると、意気揚々と出て来たのは、問題のブロード・テイラーだった。
「あんた…。なんで手紙に俺の名前なんか残したんだ」
「昨日、君は俺のことをいい奴だと言ってくれたね。小汚い、王都へ出れば誰もが振り返る程に汚い俺を見て、君は眉ひとつ動かさず僕を隣へ座らせてくれた」
昨日のことを思い出した。
自分が差別を受けていたから、座るのにもわざわざ躊躇していたのか。
ただの紳士的な人かと思ったが。
「だから、君と分かり合えると思ったんだ」
「悪いけど分かり合えない。国から追われる?罪人として有名?そんな面倒な人生願い下げだ」
「この人が義賊…」
唐突なことで驚いているのか、エナがボソッと口を開いた。
「何故あなたがここにいるのですか」
「あなたはエナ・アルフォア。王女様だね。ただの下見のつもりだったんだけど、こんな早くシルド・ギルくんが現れるもんだから、会いに来たんだ」
「会いに来たって…」
「師匠、ここは俺が」
ずっと黙って横にいたリオンがいきなり走り出した。
「君はリオン・アーリル。名高いS級魔法騎士だね。丁度いい。俺の足はS級魔法騎士にも劣らないって証明してやる!」
これから、激しい戦いが始まることを、この時の俺はまだ理解してなかったんだと思う。
素晴らしい一日が始まる!
そんな気分だった。
「おはよう、ギルくん」
校門で俺を待ち伏せていたのは、いつぞやのエナ・アルフォアだった。
「王女様か、なんだよ朝っぱらから」
「ふふ、何?私に話し掛けられるとよくないことでも起こると思ってるの?」
笑いながら言葉を含み話している。
また面倒臭いことが起こりそうだ。
「その通り。面倒なことを話しますよ」
こいつ、俺の心の中が読めるのかよ…。
「ケンドラー家からあなたに依頼をしたと話を聞きまして、あなたにもお伝えしておこうかと」
「ああ、例の義賊の件か。また何かあったのか?」
「はい。実は昨日の夜中、ケンドラー家がやられました。アルスさんとお父様は無事なようでしたが、使用人が数名、ボディーガードが数名負傷したみたいです」
「ケンドラー家がやられたのか」
「はい。これまでなら噂の範疇で終わっていたのですが、ケンドラー家に置き手紙を残していたようで、その内容には、あなたの名前が記されていました」
俺は嫌な予感が脳内を駆け巡った。
昨日は俺が王都へ出て、『あの人』に会った日だ。
「王都に出稼ぎ…下民…差別……」
俺がボソボソと言っていると、何かを感じ取ったのかエナは話を進めた。
「手紙の内容をお伝えします」
『私は義賊。生まれながらに差別を受けて来た。これはその報復である。今夜、私は城を襲撃するつもりだ。私の足があれば城の守りですら圧倒するだろう。私を捉えたくば、シルド・ギルを連れて来い。』
「嫌な予感は的中したみたいだ」
「犯人に心当たりが?」
「昨日、会ったんだ。ケンドラー家が襲われる前だろうな。優しい人だったよ」
「その方の名前は?」
「ブロード・テイラー」
学校が終わり、リオンを連れてエナの案内で俺たちは城へと向かった。
「やあ、早かったね」
振り返ると、意気揚々と出て来たのは、問題のブロード・テイラーだった。
「あんた…。なんで手紙に俺の名前なんか残したんだ」
「昨日、君は俺のことをいい奴だと言ってくれたね。小汚い、王都へ出れば誰もが振り返る程に汚い俺を見て、君は眉ひとつ動かさず僕を隣へ座らせてくれた」
昨日のことを思い出した。
自分が差別を受けていたから、座るのにもわざわざ躊躇していたのか。
ただの紳士的な人かと思ったが。
「だから、君と分かり合えると思ったんだ」
「悪いけど分かり合えない。国から追われる?罪人として有名?そんな面倒な人生願い下げだ」
「この人が義賊…」
唐突なことで驚いているのか、エナがボソッと口を開いた。
「何故あなたがここにいるのですか」
「あなたはエナ・アルフォア。王女様だね。ただの下見のつもりだったんだけど、こんな早くシルド・ギルくんが現れるもんだから、会いに来たんだ」
「会いに来たって…」
「師匠、ここは俺が」
ずっと黙って横にいたリオンがいきなり走り出した。
「君はリオン・アーリル。名高いS級魔法騎士だね。丁度いい。俺の足はS級魔法騎士にも劣らないって証明してやる!」
これから、激しい戦いが始まることを、この時の俺はまだ理解してなかったんだと思う。
「凡人勇者の異世界英雄譚Ⅱ 〜転移したら無敵になってました〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
姉さん(神)に育てられ、異世界で無双することになりました
-
38
-
-
職業暗殺者の異世界ライフ
-
58
-
-
落ちこぼれの異世界転移
-
16
-
-
転生した俺は???級の一般人でした。
-
26
-
-
勇者召喚したら用済みだと言われたので、最強冒険者始めます。
-
43
-
-
最弱賢者の転生者 ~四度目の人生で最強になりました~
-
20
-
-
ただの村人が職業転生で神になる
-
17
-
-
異能バトルの絶対王者が異世界落ち
-
22
-
-
神速の騎士 ~駆け抜ける異世界浪漫譚~
-
18
-
-
隻眼の賢者
-
40
-
-
世界最強のダンジョン攻略者、学校に入学して普通の人生(スローライフ)を目指す
-
23
-
-
はぶられ勇者の冒険譚
-
22
-
-
無属性魔法を極めた俺は異世界最強!?
-
32
-
-
勇者として召喚されたけど勇者適正値0なんだが...
-
16
-
-
影が薄いけど魔法使いやっています
-
10
-
-
落ちこぼれの冒険者だけど、地上最強の生き物と共に最強を目指すことになりました。
-
12
-
-
幸せに暮らしたいだけなのに
-
16
-
-
(チート確定?)保持率0パーセントのスキルを引き当てちゃった件について
-
45
-
-
転移した先はみんなとは別の場所だった!?(仮)
-
27
-
-
異世界にクラス転移された時いじめられてる奴後で大体復讐してくる
-
13
-
コメント