主役の勇者が最終的に死ぬ運命なんて嫌だ
#16 新しい場所
俺とヤナは宿屋から出て、フェラルフとナシュリーと合流した。
そう、次のエリアへ出発するのだ。
食料はパンとおにぎりを購入した。
コインは残り250Gだ。
「ヤナ、次はどこに向かうんだ?」
「きた方と真逆の門から出て、道なりに歩いて行くのじゃ。どこへ行き着くかはわからないがの」
「そういえばナシュリー、この城に来た時表情がこわばってたのはなんだったんだ?」
「そ、ソレハ……」
ナシュリーが怯えたように口を開くと、その瞬間だった。
紫色のマントを全身にかぶっていて、変なツノをつけた男が一瞬にして現れた。
目つきは悪く、右側の口角を上げてからこちらを睨みつけた。
かかとの高い革靴をコツコツ鳴らしながらこちらに歩いてくる。
俺たちは思わず後ずさりした。
「お前たちかい?リクス様の邪魔をするやつら…は。」
鋭く見開いた赤い目の視線が体に刺さるような感じがして息苦しい。
リクス……ヤナが言ってた大魔王の名だ。
「おや、久しいじゃあないか。梨子」
(梨子……?誰だ)
名前に聞き覚えはなかったが、視線からしてヤナだ。
もしかして本当の名前が……?
「なんのつもりだ。ハルト様とヤナさんには指一本触れさせないぞ」
「私、フタリ、守ル……なんのつもりダ?」
「そんな警戒なくてもいいのだよ。''今回は'' ただ見学に来ただけだからぁ。」
「お前、誰なんだ」
「私はリクス様にお使えする執事、ルベシュラと申します。どうぞお見知り置きを、勇者様☆」
そう言い、すぐにどこかへ消えていってしまった。
あいつが俺たちの元へ来たということは、俺たちの行動はすでに魔王に勘付かれている。
そして見られている……。
「ハルト様、どうしします?」
「まあ、危ない状況はなったが、俺たちもっと強くなればきっと、きっとあいつら負かしてやれる。そうだろ?」
「……ハルトは強いな。わしもそう思うぞ。怖がっていてはあやつらの思うツボじゃわい」
「うん、私も、そう思ウ」
「そうと決まれば出発だな!新しいエリアへ」
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