主役の勇者が最終的に死ぬ運命なんて嫌だ

花波真珠

#4 最初の町③


俺は、効果しようと思っていた男の子に話しかけた。
交換リストに交換OKのマークが付いている。
俺はポシェットから黄色い花を取り出した。

「はい、これ交換してもらえる?」

「ありがとう!これ可愛いから欲しかったんだ」


花を渡すと、銀色のコインをくれた。
このコイン1枚が10Gらしい。 
ヤナによると、コインは武器や装備を買うための大切なものだという。


すると、ヤナがコツコツと足音を立てながら小走りで寄ってくると、俺の右手の服の裾をくいくいっと引っ張った。

「勇者様、町人が悩み事を持っているようじゃ。解決しに行くのじゃ!」

確かに、町人にクエストマークがたくさんついている。まず、俺は1番近くにいた女性に話しかけた。

「子供と一緒にピクニックへ行きたいのだけど、野原に魔物が出たみたいで、行けそうにないわ……」


あまりにも説明口調の独り言に、くすっと笑ってしまった。
これはゲームなんだから当たり前か。

俺は咳払いをして、自分が魔物を倒してくると伝えた。
女性は微笑み、ぺこりとお辞儀をして、幼い子供を抱えて家に戻って行った。

魔物って、森にいたあの凶暴なやつとかだよな…。あのちっこいやつでも危険なのに、俺は魔物を倒せるのか?


っていうか、俺はこのゲームの世界に入って勝手に主人公の勇者になったわけで、現実的にはただのサラリーマンだし……

なんだか考え出したらきりがない気がしてきた。今はあまり悩まないでおこう。


「なぁ、ヤナ。俺は魔物にこのちゃっちい短剣で勝てるのか?」

「なにを言っておるんじゃ!無理に決まっておろう。武器屋で強い武器を買うのじゃよ。武器を買うときはあのコイ…」

「ああー、あのコインで買うのな」


ヤナの話し声を遮って、
知ったような口ぶりで話すと、ヤナが右の頬を膨らませて、俺の方を見た。
背が低くて、俺の胸あたりが頭のてっぺんだ。だから子供のようでなんだか微笑ましい気もする。俺には子供がいないからな。


「コインがちょっとしかなくても、その短剣よりはマシな剣は買えるわい!!さ、買ってくるのじゃ」

ヤナが急かすように早口で言った。
俺の背中をぎゅーぎゅー押して、歩かせようとする。

俺は仕方なく武器屋に歩いて行った。



武器屋に入ると、黒いヒゲを3つに分けて縛ってそれが三つ編みしてある、奇妙なおじさんがいた。
あの堂々とした立ち方は、おそらく店主とかだろう。

「なんだぁ、若僧なんか用か」

低くてたくましい声が耳に響いてきた。


「俺の自慢の武器、買っていきな」






こんにちは!花波真珠です。
飽きっぽい性格なので続かないと思っていましたが、#4まで続いていて、驚いてます……!

これからもどんどん投稿するので、感想、応援のコメントなどくださると励みになります…!

それでは次話もお楽しみに!

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