告ったら魔王城に連れていかれました。

ff

人族側の召喚者(菜南目線)


ここは魔王室。
居るのは、私とユウちゃんとルナウル。
それに、黒装束の隠密部隊も呼んだ。

隠密部隊員のひとりが人族の召喚について
進展があったと報告してきたので、
部隊に正式に情報収集を依頼した。
情報収集の結果を今から聞くのだ。

明らかに陰密部隊長の顔は曇っている。
いい内容ではないのだろう。

『話してちょうだい。』

〔はい……。
    人族の召喚が完了したのを確認致しました。
    男女2名。推定年齢は10代後半。
    名前は…………〕

「『えっ…………………そんなはずが……』」


人族の召喚が完了したのは想定内。
でも、この名前が出てきたことは想定外すぎる。
誰がこんなことを予想出来たろうか。
部隊長の口から出てきた名前は……

〔名前は、ミツル・ヨシトミと、
    アカリ・ホンゴウです。〕

それは、私達の兄と姉の名前だった。
吉富 満と、本郷 灯だ。
一体何が為にこの2人なのか。
運命のイタズラか。
誰かの意図によるものか。

何一つわからない。
しかし、私達が戦うのが大きく難しくなったのは
言うまでもないだろう。
相手は私達のことを忘れているが、私達は日常を共にすごした姉と兄と戦わなければならないのだ。

ユウちゃんも私も、
実際に血を分けて生まれた兄弟と戦うのだ。
精神的なダメージは大きいだろう。

「ハハ…嘘だよね……?
    ていうか、姉さん達がこんな戦いに
    参加するはずないもん。
    たとえこの世界に来ているとしても
    こんな戦闘は断るはずだよ!」

そりゃあ実の姉と戦うなんて認めたくないだろう。
だけど、違う。

『ユウちゃん、多分逆だよ……。
    兄さん達は優しいから、
    上手く言いくるめられたら
    率先して戦うと思う。』

そうだ。兄さん達は優しすぎる。
同じ人族が「魔族に滅ぼされそうだ」
なんて嘘を吹き込んだら一発KOだろう。

「そんな……」



この後ことはどう運ぶのか。
不安や、哀しみが膨らんでいくのだった。

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