告ったら魔王城に連れていかれました。

ff

荷造り

僕は自分の部屋に入った。
自主勉強を終わらせ、ご飯も食べた。
この夜ご飯が、母の作る夜ご飯の最後になる。噛み締めながら味わって食べていたら、『食べるのが遅い』と叱られた。
-こっちにも事情があるんだよ……
まあ、食べるスピードは上げたが。

次はこの世界最後の風呂だ。
僕は一日の中で風呂の時間が一番好きだ。
これは親の遺伝と言うべきか。
うちは普通の一軒家だが、風呂場にだけ無駄にお金がかけてある。少し広めで、ヒノキで作った浴槽をわざわざ入れた。
また、浴槽のお湯は源泉から引いている。

僕は髪を乾かし、部屋へと戻った。


-さて、明日の夜にはこの世界を出なくてはならない。
そして明日も学校はあるし、帰ってきてから過ごす時間もほぼないだろう。
つまり、今の僕がすべき事は……
-そう、荷造りである。

菜南ちゃんからはいくらでも持って行けると言われているので、部屋のものを全て持っていっても良いのだが、使っていないものもあるので、それは置いていくつもりだ。

まずは、服だ。服はほぼ全部持っていく。
下着に、ジーパンや、ハーフパンツ、シャツも持っていく。コートと、フリース、パーカーなどの上着も持った。
そして、正装用にスーツも1着持っていく。

カバンは、旅行用の大きいカバンに、手提げ、リュックサックも持っていく。ポーチも準備した。

歯磨きなどの消耗品も持ち、生きていくにはこれで荷物は十分だろう。

あ、枕は持っていく。この枕、最高に寝心地が良いんだ。捨てるには勿体なさすぎる。


-ここからが問題だ。
その問題とは、アルバムなどの思い出の品々達をどうするかだ。
家族とのアルバムは丸ごと持っていく。
友達との写真も厳選して持っていこう。
そして、何より大切な菜南ちゃんとの写真は、全部漏れなく持っていく。
なぜか家族との写真よりも、菜南ちゃんとの写真の方が多いのだ。

あとのものは大体置いていくことにした。
あまり物を持って行きすぎると、故郷が恋しくなりそうで、怖いからだ。
僕は菜南ちゃんの世界に行くことを決めたのだ。そのような感情は、大きすぎる荷物よりも邪魔になりしうだしな。


-まだよく知らない世界に胸が踊る。

あの世界ではスマホが使えるのだろうか?
本はどんなジャンルがあるのだろう?
僕の部屋はどんな部屋だろう?
食事はおいしいのだろうか?
周りの人達は良い人達だろうか?
-世界の状況はどんな状況なのだろう?

色々と考えている内に、夜は更けていた。
僕はこの世界最後の睡眠へと落ちていった。

コメント

  • ff

    さかなし君読んでくれたんね〜。
    アリ*:・(*-ω人)・:*ガト
    そして、それな( ´-ω-)σw

    0
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