自重しない異世界転生

ム白の羽

20話 王城にて

 王城に着いて、連れてこられたのはとある一室。なんでも王様の、つまりはアイリスの父親の執務室らしい。

「なあ、アイリス......」
「はい、なんですか?」
「いや、まだ手つなぐのか?」
「はっ!?しゅ、しゅみません。気づきませんでした」
「あー、うん。別にいいんだけどさ......」

 ここに来るまでにすれ違った人達がみんな微笑ましいというか、生温かい目を向けてきてたからな。その事には気づいてないのかな?まぁ、気づいてない方がいいか。

「コ、コホン。で、では行きましょう。お父様、ユウトさんをお連れしました」
「ああ、入ってくれ」

 入った先にいたのは、金髪碧眼の、これぞ国王!と言った感じの服を着たガタイのいい人。この人が国王かな。

「初めましてだな。俺は、アダルヘルム・フォン・ラエキア。ラエキア王国の国王だ」
「えーっと......私は、進藤悠斗です」
「ああ、アイリスから敬語が苦手だという話は聞いている。ここは公の場ではないし、口調を崩しても構わん。とりあえず適当に座ってくれ」

 それでいいのか、国王陛下。あ、いや、公の場じゃないからいいのか。
 俺は国王の対面のソファーに座る。......と、その隣にアイリスも座る。
 いや、なんでこっちに座るんですかね。普通、国王の隣に座るもんだと思うんだけど。

「ユウト、俺は2つ礼を言わなければならん。まずは、アイリスの命を助け、王都まで連れてきてくれたこと。お前がいなければ危なかったと聞いた。ほんとうに感謝する」
「ユウトさん、私からも。改めてありがとうございました」
「ああ、いや、別にいいよ。通りかかっただけだしな」
「2つ目は、亡くなった騎士の遺体を、持ち帰ってくれた事だ。家族に引き渡し、弔うことが出来た。感謝する」
「それもたまたまだから。ほんとに気にしなくていいぞ?」

 たまたまスキルが都合よく進化しただけだし。

「あまり謙遜するな。過度な謙遜は嫌味と取られるぞ?」
「ああー、じゃあ、礼は受け取った」
「それでいい。それで、報酬のことなんだが、2つほど用意している。別の報酬が良ければ用意するから、遠慮なく言ってくれ」

 ......受け取らない、という選択肢はないのか。そんなこと言ったらまた同じようなこと言われるな。

「1つ目は、お金だな。星金貨で、30枚程だな」
「つまりは金貨300枚か............多くないか?」
「娘の命を助けられてるんだぞ。少ないくらいだ。なんなら国の金庫まるごとでも構わん」
「いや、それはダメだろ」
「はっはっはっ。半分冗談だ!」

 つまり、半分本気だったと。この人、ただの親バカだな。いやまあ、アイリスみたいな可愛い子が娘なら誰だってそうなるか。

「それで、2つ目だが......アイリス、それは自分で言いなさい」
「はっ、はい。......え、えっと、ユ、ユウトさんっ!」
「な、なんでしょう」

 顔を赤くして、大きな声を上げるアイリス。アイリスは1度、大きく深呼吸してから話し出す。
 
「ユウトさん。私は、ユウトさんのことが......えっと、あの、その......す、好き、です!」

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