俺の処女が危うい件について。

ノベルバユーザー248496

プロローグ

[俺の処女が危うい件について。]

~プロローグ~


突然なのだが俺、天辻優斗あまつじ ゆうとの家系は美形から平凡顔(不細工寄り)まで様々な容姿のいる金持ち家系だ。

美形な親戚が美形な嫁、婿を取るのはまだわかる。

なのに俺と同じ平凡顔の親戚も美形の嫁や婿を取っている。

一番身近にいるのが、俺の父さんだ。

昔気になって父さんに聞いたことがある。

「お父さん、お父さん。お母さんはこんなに綺麗なのに、なんでお父さんと結婚したの?お父さんがお金いっぱいあげたの?」

小学校低学年にしてする発言ではないと今でも思う。

その声を傍を通った母さんにも聞こえていたらしく、母さんは吹き出すように笑っていた。

「優斗、母さんと父さんはお互いのことが大好きだから結婚したんだよ。」

父さんの言葉を聞いて母さんにも聞いた。

「お母さんはお父さんのどこが好きになったの?」

その問いに母さんは“…優斗が高校に入る頃になったら教えてあげる。”とニコッと笑ってはぐらかされたのを今でも覚えている。





あの頃から8年がたった現在。

今日は高校の入学式だ。

昔から周りと比べて華奢で小柄だった俺の成長はすでに止まってしまい、中2の頃から160㎝のままでいる悲しい現状だ。

そのせいか周りを見渡しても俺と同じくらいの身長の人はいないもので、巨大なビルに取り囲まれたかのようだった。

チビだからかはわからないが、男女問わずたくさんの視線を感じて小動物の気持ちがわかった気がした。


その晩の事。

父さんと母さんに“話しておく事がある。”と珍しく真剣な面持ちで言われた。

「優斗“オメガバース”って知ってる?」

2人の話を聞くに天辻家は今では失われたαアルファβベータΩオメガの性の話を受け継いだ数少ない家系の1つなのだという。

そして俺にはΩの、4つ年上でもう家を出てしまった双子の兄は両方αの性であると聞かされた。

故に、俺から発せられる匂いフェロモンに周りが反応して男女問わずに言い寄られるようになるとか…。

それに加え3ヶ月に1度の発情期、男とヤっても子を宿す身体、運命の番が現れるまで周りへの匂いは消えないらしい。

この話を聞いてうちの家系が美形ばかり嫁いでくる訳も、中学の頃に何度かあった平凡に対する俺の告白も合点がいった。

高校生は思春期真っ最中で性に対しての興味も欲も一番強い時期。

まぁ俺は寮じゃなくて自宅だし……。

「あ、それと仕事の都合で俺と母さんは明日の昼の便には日本を発つから、優斗も明日から学生寮な。」


……俺の処女って結構危うい?


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