悠久の旅人
【国営墓所編】その3
 ハルス評議国の中央部にある宿「風見鶏亭」の一室では2人の旅人が悩んでいた。
「どうするの?」
「依頼された訳じゃないしなぁ……。」
 あの手紙を受け取り、国営墓所の真上で爆発騒ぎが起きたすぐ後、遠くの方で爆発が3度起り、部屋の外は大騒ぎになっていた。それでも2人は素知らぬ顔で荷物を整理していた。
「花火は4回。つまり招待客は4組か。それで?ゲームとやらは何をやるんだろうな。」
「この国を変える……って」
「俺らはこの国関係ないしな。」 
「確かにその通り。」
『ギルド的には受けてもいいわよ。名前でも売ってくればいいんじゃない?』
「……いつから居る」
 部屋の隅で人型の影が現れると映像結晶を置いて立ち去った。
『失礼ね。あなた達の監視を解くわけにはいかないわ』
「あぁ。そうだな。それで?こんな胡散臭い話に乗っていいのか?」
「現状次の告知待ちだしね」
『今回の案件。影たちに調べさせたらそれぞれ大型討伐ギルドに宣戦布告してるのよ。その中でもうちが規模として1番小さい感じ。』
「それで広告塔にでもなれと?」
『あと、国から正式な依頼がさっき来た。この頭おかしいと言える蛮行者からこの国を救ってくれってね』
「なんだ。依頼来たんだ。」
『なんだって……まぁいいわ。局長として指示します。ハルス評議国の人々を救いなさい。』
「へいへい。」
『何があるか分からないんだから用意しなさいよ?』
「了解。局長。」
『じゃあよろしく。』
 再び影が現れると映像結晶を回収して戻っていった。
「じゃあまずは……」
 コンコンとドアをノックする音がする。草介はその音の主が気配を自分に悟らせずに来たことに驚き、警戒しながら扉を開ける。
「おはようございます。私スクルド評議員の秘書を務めさせていただいているゴルムと申す者です」
「来客の多い日だな。」
「まったくにございます。」
「ご要件は?」
「先程、当方にも例の爆弾が送り付けられ、議会は少々パニックになっておりまして……今回の「げぇむ」とやらに招待された方々をお招きするようにと。」
 好々爺とも言える完璧な立ち振る舞いでゴルム老の余裕が窺える。
「そうか。招待された他の奴らは?」
「えぇと『鋼鉄十字騎士団』『紅蓮』『テルミア』の方々ですね。」
「へぇ。うちは見ての通り2人しかいないんだ。戦力になりそうにないな。」 
「そのような事はございません。今回の敵は国営墓所で発生した特殊アンデットという見方があります。アンデット専門のアンダーテイカー様が来るとなれば心強いです。」
「アンデット専門……ね」
「全てお見通しって訳だ。いいから来い。」
 その一言に好々爺らしさはどこにもなく、歴戦の勇士の顔があった。
「シロ。お前は別行動だ。追加の情報とか何でもいい細かい情報を調べてきてくれ。あと、地図があればそれも。」
「分かった。暴れないでよ?」
「そっちもな。」
「おい、何勝手に話進めてんだよ。2人とも呼んでこいって言われてんだいいから2人ともついて来いよ!」
 ゴルム老人は顔を赤くして猛抗議するが2人はどこ吹く風と受け流し、不敵な笑みをうかべた。
「うるせぇよ。朝から怒鳴んな。血管切れて昇天しちまうぞ?」
「はぁ、申し訳ありません。」
「こっちは2人しか居ねぇんだ情報収集に相方を使うのは理にかなってると思うが?」
「それでしたら当方の情報部が集めた情報を……」
「信用するとでも?」
「っち。勝手にしな。」
「はぁ……じぃさん、最初からそっちの話し方にしてくれるか?余計な事考えなくて済む。」
「……分かったよ。ボウズ、犯人の目星はついてんのか?」
「そんなもん知るか」
「そうかい。」
 2人は無言のまま議事場と呼ばれる大きな建物に入っていった。
「細かい情報……ね。大雑把すぎる。」
 認識阻害を付与された白い仮面をつけながら白は遠くを見つめ、ボヤいていた。この仮面をつけていれば万が一にも自分が吸血姫であるという事実がバレる心配はない。
「じゃあ……行きますか…。」
 シロは仮面の下で笑顔を浮かべた。
「どうするの?」
「依頼された訳じゃないしなぁ……。」
 あの手紙を受け取り、国営墓所の真上で爆発騒ぎが起きたすぐ後、遠くの方で爆発が3度起り、部屋の外は大騒ぎになっていた。それでも2人は素知らぬ顔で荷物を整理していた。
「花火は4回。つまり招待客は4組か。それで?ゲームとやらは何をやるんだろうな。」
「この国を変える……って」
「俺らはこの国関係ないしな。」 
「確かにその通り。」
『ギルド的には受けてもいいわよ。名前でも売ってくればいいんじゃない?』
「……いつから居る」
 部屋の隅で人型の影が現れると映像結晶を置いて立ち去った。
『失礼ね。あなた達の監視を解くわけにはいかないわ』
「あぁ。そうだな。それで?こんな胡散臭い話に乗っていいのか?」
「現状次の告知待ちだしね」
『今回の案件。影たちに調べさせたらそれぞれ大型討伐ギルドに宣戦布告してるのよ。その中でもうちが規模として1番小さい感じ。』
「それで広告塔にでもなれと?」
『あと、国から正式な依頼がさっき来た。この頭おかしいと言える蛮行者からこの国を救ってくれってね』
「なんだ。依頼来たんだ。」
『なんだって……まぁいいわ。局長として指示します。ハルス評議国の人々を救いなさい。』
「へいへい。」
『何があるか分からないんだから用意しなさいよ?』
「了解。局長。」
『じゃあよろしく。』
 再び影が現れると映像結晶を回収して戻っていった。
「じゃあまずは……」
 コンコンとドアをノックする音がする。草介はその音の主が気配を自分に悟らせずに来たことに驚き、警戒しながら扉を開ける。
「おはようございます。私スクルド評議員の秘書を務めさせていただいているゴルムと申す者です」
「来客の多い日だな。」
「まったくにございます。」
「ご要件は?」
「先程、当方にも例の爆弾が送り付けられ、議会は少々パニックになっておりまして……今回の「げぇむ」とやらに招待された方々をお招きするようにと。」
 好々爺とも言える完璧な立ち振る舞いでゴルム老の余裕が窺える。
「そうか。招待された他の奴らは?」
「えぇと『鋼鉄十字騎士団』『紅蓮』『テルミア』の方々ですね。」
「へぇ。うちは見ての通り2人しかいないんだ。戦力になりそうにないな。」 
「そのような事はございません。今回の敵は国営墓所で発生した特殊アンデットという見方があります。アンデット専門のアンダーテイカー様が来るとなれば心強いです。」
「アンデット専門……ね」
「全てお見通しって訳だ。いいから来い。」
 その一言に好々爺らしさはどこにもなく、歴戦の勇士の顔があった。
「シロ。お前は別行動だ。追加の情報とか何でもいい細かい情報を調べてきてくれ。あと、地図があればそれも。」
「分かった。暴れないでよ?」
「そっちもな。」
「おい、何勝手に話進めてんだよ。2人とも呼んでこいって言われてんだいいから2人ともついて来いよ!」
 ゴルム老人は顔を赤くして猛抗議するが2人はどこ吹く風と受け流し、不敵な笑みをうかべた。
「うるせぇよ。朝から怒鳴んな。血管切れて昇天しちまうぞ?」
「はぁ、申し訳ありません。」
「こっちは2人しか居ねぇんだ情報収集に相方を使うのは理にかなってると思うが?」
「それでしたら当方の情報部が集めた情報を……」
「信用するとでも?」
「っち。勝手にしな。」
「はぁ……じぃさん、最初からそっちの話し方にしてくれるか?余計な事考えなくて済む。」
「……分かったよ。ボウズ、犯人の目星はついてんのか?」
「そんなもん知るか」
「そうかい。」
 2人は無言のまま議事場と呼ばれる大きな建物に入っていった。
「細かい情報……ね。大雑把すぎる。」
 認識阻害を付与された白い仮面をつけながら白は遠くを見つめ、ボヤいていた。この仮面をつけていれば万が一にも自分が吸血姫であるという事実がバレる心配はない。
「じゃあ……行きますか…。」
 シロは仮面の下で笑顔を浮かべた。
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