行き当たりばったりの総理と愉快な仲間たち
第十話
「ようこそ遠いところまで、よくぞいらしてくれました」
そう言って出迎えてくれた好々爺然とした、児童保護施設の館長を名乗る男。
年齢は見た目から察するに五十代と言ったところか。
同時に出迎えてくれたのは、手紙を出してきたという幼女。
名前は槙村穂乃花、年齢は十一歳。
順調に育てば将来は有望そうな整った顔をしていて、今年六年生になったばかりの子らしい。
まだまだ子どもだ、と思う年齢だが、よくよく考えてみると僕だってほんの四年前まではランドセル背負って小学校に通っていたのだ、ということを思い出す。
「君が、お手紙を書いてくれたのかな?」
「そうです」
「そっかぁ、ありがとうね。将来何になりたいとか、あるの?」
ちょっとだけある身長差を示す為に、見栄を張っている様に見えるかもしれないが一応かがんで目線を合わせる。
総理になってから人と接する機会が増えたからか、いつからか僕はちゃんと人の目を見て話が出来る様になっていた。
しかし、その成長は僕にとって、今回ばかりは悪手に繋がるものでしかなかった様だ。
「あ、総理……」
「むぐっ!?」
何をされたのかわからなかった。
いや、わかってるんだけど……何で?
桜花が呼びかける間もなく、僕は目の前の幼女から所謂接吻をされたのだ。
「これで、総理は私をお嫁さんにしてもらえるんですか?」
「な……」
「……そういうことでしたか」
なるほど、そういう……。
ここまでのものは全部筋書きだった、と。
首謀者は誰なのかわからないが、ここまで全部が誰かの書いたシナリオによるものだった、ということになる。
……まぁ、館長だろうと思うが。
この施設は桜花が以前調べたところによれば、資金難で経営自体が危ぶまれているというものらしいという話がある。
そこで僕に目をつけた、というわけなのだろう。
厳密には僕というよりは僕の作った法案……つまり、婚姻関係にない相手との、というやつだ。
いや、実際にこの子を抱いたという事実はない。
しかし十五歳未満の人間との関係を持つことそのものが、この国ではもう犯罪だ。
これは困ったことになった。
「これは一体、どういうことでしょう?」
「これ、とは?」
ニコニコとしながら、あくまでも館長はすっとぼけるつもりらしくダメだろう、とか全く慌てる様子もなく穂乃花という幼女を叱っている。
ごめんなさい、とか謝っているがその顔に謝意は感じられないし、館長に言われたまま役割をこなせた、という達成感もあるのか嬉しそうにすら見える。
子どもを利用して、資金調達か。
売春をやらせているのと、どう違うと言うのか。
「答えなさい、十秒以内に答えなければ、あなたを含めてこの施設の人間を皆殺しにします」
ジャキっという音と共にこれまたいつの間に、何処から取り出したのか桜花の手に握られていたのは黒光りする僕の……はもちろんこんなところで出したりしてないので、短銃だ。
その短銃早くしまえよ、って?
失礼な、出してないって言ってるのに……それにこれでも立派なマグナムだぞ?
「あ、ち、違うんです、お待ちください」
「そんなことは聞いていません。早く答えなさい、と言っているのです」
桜花がこれまた珍しく明確な怒りを露わにし、館長のその頭に銃を突きつける。
今日は珍しいことのオンパレードだな。
「この施設が資金難に陥っていることは知っていました。まさかこんなお出迎えをされるなんてことは、想像もしていませんでしたが……だが、あなたのやったことは悪手でしかありませんね」
息を切らしながら、僕も桜花と共に館長を問い詰める。
桜花が拳銃を取り出した時に既に騒然としていた施設内が、更に騒がしくなってきていた。
「お下がりください、総理。……あなたのしたことは売春と何ら変わりがありません。よってあなたはここで、処罰を受けることになります」
「だったら……だったら、この子たちはどうなるんだ!! 行く宛てもない子ばかりだって言うのに!!」
問題は確かに目の前の館長の処遇だけではない。
およそ十名弱いる、怯えた様な顔をした子供たち。
館長の死刑は免れないとして、この子たちに罪はない……とは言っても穂乃花に関してだけは、ちょっとばかりまずいのだが。
「当方でこの子たちは引き受けましょう。しばらく身柄は公邸で預かるとして、その後のことはその後考えるということで」
ご安心を、と言いながら桜花はその手の拳銃の引き金に指をかける。
うわ、ただでさえ気分悪いのに……目の前でグロ動画展開されるのか。
そんなことを考えた時、視界が突如揺らいで僕はそのまま意識を失い、施設内は更に騒然となった。
「ご気分はいかがでしょうか、総理」
「…………」
目を覚ますと見慣れない天井……こんなフレーズはラノベとかアニメの中だけだ、なんて思っていた時代が僕にもありました。
どうやら僕は、病院に搬送されたらしい。
「お目覚めになられたばかりで大変申し訳ないのですが、あの後のことについての説明をしたいと存じます。よろしいでしょうか?」
「……ああ、そうだね。頼もうか」
では、と桜花が一息ついて話し始める。
要約してしまうと、まずあの館長はその場で射殺された。
もちろん、それをしたのは桜花なわけだが。
怯える子どもたちについては、桜花がそのあとヘリを六台チャーターして東京まで連れてきたらしい。
その時に、逆らえば館長と同じ末路を辿ることになります、なんて子どもに向かって言う様なこととは思えない様なことを言って大人しくさせたとか。
これじゃどっちが悪者なんだかわかったものじゃない。
それはさておいて、子どもたちにはとりあえず公邸で怜美が食事を与えているとか。
そして僕は、六台のヘリの内の一台、ドクターヘリに乗せられて東京のこの病院まで運ばれてきたとのことだった。
桜花もドクターヘリに同乗、子どもたちのことについては各ヘリのパイロットに言いつけて任せてきたのだそうだ。
「それでですね、総理……親のない身とは言え、未成年である穂乃花さんなのですが」
「ああ……」
頭の痛い話だ。
もちろん桜花のことだから子どもたちを脅かして、先ほどのことを誰かに話したらその時点でお前らの人生は終わる、とかそんなことを言って箝口令的なものを敷いたはずだけど。
「……総理、私はあなたの中でどの様な人物なのでしょう?」
また物凄い顔で睨まれた気がする。
段々取り繕わなくなってきたな、こいつ……。
「……あ、えーと続けて」
「はぁ……ひとまず、穂乃花さんはどうしますか? 処理する場合、これは総理の立場も危ういものになるかと思われますが」
「それな……」
早急に対策を練る必要はあるだろう。
子どもたちにいくら黙っていろと言っても、あの年頃の子どもは黙っていることができない子も多いはずだ。
本来であれば入院などしている場合ではないのだが……。
「殺す……にはちょっと惜しい気はするんだよな。いや、見た目がどうっていうんじゃなくてね? いや、見た目も可愛いとは思うし、将来楽しみだ、なんてちょっと思ったりもしたけど」
「……それで?」
僕の言葉に桜花は、まるで汚物でも見るかの様な眼差しを向けてくる。
桜花は勘違いしているかもしれないが、僕にロリコンの気はない。
やはりある程度育っていてこそ、女だと僕は思う。
「……そんな顔しなくてもいいじゃないか。まぁ、さっきのは置いとくとして、彼女たちは、これからの人間だ。法案を作ることによって、使い道はいくらでも出てくると思うんだよ」
「それはあれですか、成人年齢を十二歳まで引き下げて、合法ロリやったぜ! 的な」
「……悪かったから、そんな顔すんなって。あとお前の口から合法ロリなんて言葉が出てくるとは思わなかったよ」
「普段は必要がないから口にしないだけで、知識としては頭にありますから」
こいつがアニメ見たり漫画読んだりって想像できないんだけど……。
僕の目の届かないところでこっそり見たりしてるのかな。
「まぁ、早い話が将来的な労働力としての利用価値があるってことさ。義務教育で教えている授業で社会に出て役立つ内容なんて、本当に僅かだろ? だったらやりたいことや得意分野なんかを細かく分析して、それらを伸ばしてやって利用する方が、こっちとしても将来的な期待は大きいかなって」
「なるほど。総理のことですから、てっきりあの中の何人かにもう目をつけてあって、将来お前たちは僕の嫁だ! なんて言い出すのではないかと思っていました」
「おい……今の、僕の真似か? いくら毎日一緒にいるからって、クオリティ高すぎてびっくりしたわ」
僕を少しでも楽しませようというのか、桜花の言葉のところどころに普段馴染みのないフレーズが盛り込まれている気がする。
しかしながら僕はこの日、病院から出ることを許可されず、官邸及び公邸に戻ることが出来たのは翌日になってからだった。
「ああ……漸くあのまずい飯から解放されるのか」
「それでももりもりと召し上がっていらっしゃった様ですが、本当に美味しくなかったのですか?」
今朝の朝食は当然病院の病院食というやつを食べることになったのだが、味の薄さとかまぁ健康に気を遣ったメニューになっているのだから仕方ないとは思う。
しかし、あれを毎日食べろなんて出家して坊主にでもなれってことか? と思えるくらいには、僕の好みでなかったと言っておこう。
もりもり食べていたのは、腹が減っていたから、という理由に他ならない。
「しかも目の前でファーストフードなんか食って……」
「私とて空腹にはなりますし、食べなければパフォーマンスを発揮できません。それとも、私に食べるなと? 太ったつもりはありませんが、強制ダイエットプレイでしょうか?」
「やめてくれ……僕が悪かったからプレイ、とか言わないで。一応今は仕事中なんだから、そっちに集中しよう。……だけど、昼はファーストフードが食べたいかも」
「承知いたしました、では昼は近場のファーストフード店で用意させましょう」
おそらく今も公邸内で、怜美が世話を焼いているであろう子どもたち。
そして不意打ちとは言っても十二歳の子どもにキスされるという事案……事案とか言うと性犯罪者っぽいな。
いや、現時点ではこのままだと本当に性犯罪者だ。
というわけで、僕と桜花は新しくこの現状を打破するための法案を作ることに集中する。
いや、待てよ……そういえば未成年の女性と付き合うに当たっての抜け道的なものが、確か以前の法律にはあった様な。
そう考えて僕は、インターネットのホームページ検索を始めた。
そう言って出迎えてくれた好々爺然とした、児童保護施設の館長を名乗る男。
年齢は見た目から察するに五十代と言ったところか。
同時に出迎えてくれたのは、手紙を出してきたという幼女。
名前は槙村穂乃花、年齢は十一歳。
順調に育てば将来は有望そうな整った顔をしていて、今年六年生になったばかりの子らしい。
まだまだ子どもだ、と思う年齢だが、よくよく考えてみると僕だってほんの四年前まではランドセル背負って小学校に通っていたのだ、ということを思い出す。
「君が、お手紙を書いてくれたのかな?」
「そうです」
「そっかぁ、ありがとうね。将来何になりたいとか、あるの?」
ちょっとだけある身長差を示す為に、見栄を張っている様に見えるかもしれないが一応かがんで目線を合わせる。
総理になってから人と接する機会が増えたからか、いつからか僕はちゃんと人の目を見て話が出来る様になっていた。
しかし、その成長は僕にとって、今回ばかりは悪手に繋がるものでしかなかった様だ。
「あ、総理……」
「むぐっ!?」
何をされたのかわからなかった。
いや、わかってるんだけど……何で?
桜花が呼びかける間もなく、僕は目の前の幼女から所謂接吻をされたのだ。
「これで、総理は私をお嫁さんにしてもらえるんですか?」
「な……」
「……そういうことでしたか」
なるほど、そういう……。
ここまでのものは全部筋書きだった、と。
首謀者は誰なのかわからないが、ここまで全部が誰かの書いたシナリオによるものだった、ということになる。
……まぁ、館長だろうと思うが。
この施設は桜花が以前調べたところによれば、資金難で経営自体が危ぶまれているというものらしいという話がある。
そこで僕に目をつけた、というわけなのだろう。
厳密には僕というよりは僕の作った法案……つまり、婚姻関係にない相手との、というやつだ。
いや、実際にこの子を抱いたという事実はない。
しかし十五歳未満の人間との関係を持つことそのものが、この国ではもう犯罪だ。
これは困ったことになった。
「これは一体、どういうことでしょう?」
「これ、とは?」
ニコニコとしながら、あくまでも館長はすっとぼけるつもりらしくダメだろう、とか全く慌てる様子もなく穂乃花という幼女を叱っている。
ごめんなさい、とか謝っているがその顔に謝意は感じられないし、館長に言われたまま役割をこなせた、という達成感もあるのか嬉しそうにすら見える。
子どもを利用して、資金調達か。
売春をやらせているのと、どう違うと言うのか。
「答えなさい、十秒以内に答えなければ、あなたを含めてこの施設の人間を皆殺しにします」
ジャキっという音と共にこれまたいつの間に、何処から取り出したのか桜花の手に握られていたのは黒光りする僕の……はもちろんこんなところで出したりしてないので、短銃だ。
その短銃早くしまえよ、って?
失礼な、出してないって言ってるのに……それにこれでも立派なマグナムだぞ?
「あ、ち、違うんです、お待ちください」
「そんなことは聞いていません。早く答えなさい、と言っているのです」
桜花がこれまた珍しく明確な怒りを露わにし、館長のその頭に銃を突きつける。
今日は珍しいことのオンパレードだな。
「この施設が資金難に陥っていることは知っていました。まさかこんなお出迎えをされるなんてことは、想像もしていませんでしたが……だが、あなたのやったことは悪手でしかありませんね」
息を切らしながら、僕も桜花と共に館長を問い詰める。
桜花が拳銃を取り出した時に既に騒然としていた施設内が、更に騒がしくなってきていた。
「お下がりください、総理。……あなたのしたことは売春と何ら変わりがありません。よってあなたはここで、処罰を受けることになります」
「だったら……だったら、この子たちはどうなるんだ!! 行く宛てもない子ばかりだって言うのに!!」
問題は確かに目の前の館長の処遇だけではない。
およそ十名弱いる、怯えた様な顔をした子供たち。
館長の死刑は免れないとして、この子たちに罪はない……とは言っても穂乃花に関してだけは、ちょっとばかりまずいのだが。
「当方でこの子たちは引き受けましょう。しばらく身柄は公邸で預かるとして、その後のことはその後考えるということで」
ご安心を、と言いながら桜花はその手の拳銃の引き金に指をかける。
うわ、ただでさえ気分悪いのに……目の前でグロ動画展開されるのか。
そんなことを考えた時、視界が突如揺らいで僕はそのまま意識を失い、施設内は更に騒然となった。
「ご気分はいかがでしょうか、総理」
「…………」
目を覚ますと見慣れない天井……こんなフレーズはラノベとかアニメの中だけだ、なんて思っていた時代が僕にもありました。
どうやら僕は、病院に搬送されたらしい。
「お目覚めになられたばかりで大変申し訳ないのですが、あの後のことについての説明をしたいと存じます。よろしいでしょうか?」
「……ああ、そうだね。頼もうか」
では、と桜花が一息ついて話し始める。
要約してしまうと、まずあの館長はその場で射殺された。
もちろん、それをしたのは桜花なわけだが。
怯える子どもたちについては、桜花がそのあとヘリを六台チャーターして東京まで連れてきたらしい。
その時に、逆らえば館長と同じ末路を辿ることになります、なんて子どもに向かって言う様なこととは思えない様なことを言って大人しくさせたとか。
これじゃどっちが悪者なんだかわかったものじゃない。
それはさておいて、子どもたちにはとりあえず公邸で怜美が食事を与えているとか。
そして僕は、六台のヘリの内の一台、ドクターヘリに乗せられて東京のこの病院まで運ばれてきたとのことだった。
桜花もドクターヘリに同乗、子どもたちのことについては各ヘリのパイロットに言いつけて任せてきたのだそうだ。
「それでですね、総理……親のない身とは言え、未成年である穂乃花さんなのですが」
「ああ……」
頭の痛い話だ。
もちろん桜花のことだから子どもたちを脅かして、先ほどのことを誰かに話したらその時点でお前らの人生は終わる、とかそんなことを言って箝口令的なものを敷いたはずだけど。
「……総理、私はあなたの中でどの様な人物なのでしょう?」
また物凄い顔で睨まれた気がする。
段々取り繕わなくなってきたな、こいつ……。
「……あ、えーと続けて」
「はぁ……ひとまず、穂乃花さんはどうしますか? 処理する場合、これは総理の立場も危ういものになるかと思われますが」
「それな……」
早急に対策を練る必要はあるだろう。
子どもたちにいくら黙っていろと言っても、あの年頃の子どもは黙っていることができない子も多いはずだ。
本来であれば入院などしている場合ではないのだが……。
「殺す……にはちょっと惜しい気はするんだよな。いや、見た目がどうっていうんじゃなくてね? いや、見た目も可愛いとは思うし、将来楽しみだ、なんてちょっと思ったりもしたけど」
「……それで?」
僕の言葉に桜花は、まるで汚物でも見るかの様な眼差しを向けてくる。
桜花は勘違いしているかもしれないが、僕にロリコンの気はない。
やはりある程度育っていてこそ、女だと僕は思う。
「……そんな顔しなくてもいいじゃないか。まぁ、さっきのは置いとくとして、彼女たちは、これからの人間だ。法案を作ることによって、使い道はいくらでも出てくると思うんだよ」
「それはあれですか、成人年齢を十二歳まで引き下げて、合法ロリやったぜ! 的な」
「……悪かったから、そんな顔すんなって。あとお前の口から合法ロリなんて言葉が出てくるとは思わなかったよ」
「普段は必要がないから口にしないだけで、知識としては頭にありますから」
こいつがアニメ見たり漫画読んだりって想像できないんだけど……。
僕の目の届かないところでこっそり見たりしてるのかな。
「まぁ、早い話が将来的な労働力としての利用価値があるってことさ。義務教育で教えている授業で社会に出て役立つ内容なんて、本当に僅かだろ? だったらやりたいことや得意分野なんかを細かく分析して、それらを伸ばしてやって利用する方が、こっちとしても将来的な期待は大きいかなって」
「なるほど。総理のことですから、てっきりあの中の何人かにもう目をつけてあって、将来お前たちは僕の嫁だ! なんて言い出すのではないかと思っていました」
「おい……今の、僕の真似か? いくら毎日一緒にいるからって、クオリティ高すぎてびっくりしたわ」
僕を少しでも楽しませようというのか、桜花の言葉のところどころに普段馴染みのないフレーズが盛り込まれている気がする。
しかしながら僕はこの日、病院から出ることを許可されず、官邸及び公邸に戻ることが出来たのは翌日になってからだった。
「ああ……漸くあのまずい飯から解放されるのか」
「それでももりもりと召し上がっていらっしゃった様ですが、本当に美味しくなかったのですか?」
今朝の朝食は当然病院の病院食というやつを食べることになったのだが、味の薄さとかまぁ健康に気を遣ったメニューになっているのだから仕方ないとは思う。
しかし、あれを毎日食べろなんて出家して坊主にでもなれってことか? と思えるくらいには、僕の好みでなかったと言っておこう。
もりもり食べていたのは、腹が減っていたから、という理由に他ならない。
「しかも目の前でファーストフードなんか食って……」
「私とて空腹にはなりますし、食べなければパフォーマンスを発揮できません。それとも、私に食べるなと? 太ったつもりはありませんが、強制ダイエットプレイでしょうか?」
「やめてくれ……僕が悪かったからプレイ、とか言わないで。一応今は仕事中なんだから、そっちに集中しよう。……だけど、昼はファーストフードが食べたいかも」
「承知いたしました、では昼は近場のファーストフード店で用意させましょう」
おそらく今も公邸内で、怜美が世話を焼いているであろう子どもたち。
そして不意打ちとは言っても十二歳の子どもにキスされるという事案……事案とか言うと性犯罪者っぽいな。
いや、現時点ではこのままだと本当に性犯罪者だ。
というわけで、僕と桜花は新しくこの現状を打破するための法案を作ることに集中する。
いや、待てよ……そういえば未成年の女性と付き合うに当たっての抜け道的なものが、確か以前の法律にはあった様な。
そう考えて僕は、インターネットのホームページ検索を始めた。
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