不能勇者の癖にハーレム築いて何が悪い?
12:いいえ、これは事後ではありません
体の奥が熱くなってきて、何かが漲っていく様な感覚。
ありきたりな薬の効能だと思った。
思った矢先に、頭がぼーっとしてくる様な感覚があって、これまたありきたりだ。
しかし、俺の知るありきたりはそこまでで、意識とは関係なく俺の手は目の前の少女の首を力いっぱい絞めていた。
か細く漏れる呼吸と、苦しそうな表情。
赤くうっ血した顔が、俺を憐れむ様な目で見ている。
「ちょっと、何してるの!!」
声がしたと思ったら直後に複数の衝撃に襲われて俺の体は雅樂から離れた。
咳き込んでいる雅樂の声と、アルカの祈祷の声、そしてミルズとヨトゥンが二人がかりで俺を押さえつけている。
一瞬沸き上がったあの力は影を潜めたのか、二人の力に抵抗できない。
「どうやら、ハズレだったっぽいのかしら……」
軽く咳き込みながら雅樂が俺に声をかける。
どういう意味なのか。
治療薬ではなかった、ということか?
「興奮作用はあったみたいだから、必ずしもハズレとは限らないけど……だけど治すに至ったかどうかは微妙だね」
ミルズが俺を押さえつけながら、俺の体を隈なく触っていく。
押さえつけられて痛いはずなのに、ところどころがくすぐったい。
「もういいじゃん、脱がして色々試しちゃえば」
アルカがとんでもないことを言い出し、俺は一気に危機的状況を迎える。
「ま、待て! もう正気だから! 俺もう落ち着いてるから!!」
「……でも私の首絞めたよね。だったら……罰を与える必要があると思うんだけど」
部屋に冷気とも殺気とも判別がつかない何がが充満して、俺は命の終わりを予感する。
短い青春だったなぁ、と思うが考えてみたら青春なんてさっきの薬飲まされる時くらいしか覚えがない。
あとはいじめられてこっちきて戦って、とかそんなのばっかりだ。
だったら、別にいいんじゃね? なんて思えてくる。
「落ち着きなよ、ウタ。さっきの様子はどう見ても尋常じゃなかった。あれはリンの意志とは関係なかったと考える方が自然じゃないか?」
「そうだね、リンが私の首絞めるなんて、確かに正常じゃない。だけど……そういうことしたらどうなるか、って言ういい見本になるかなって」
一瞬許される? とか呑気なことを考えた俺を殴りたい。
俺の考えがいかに甘かったかということを、今この瞬間に思い知った。
「さ、凛……覚悟はいいよね?」
子どもにこんな過激なシーンを見せる結果にならなくて、本当に良かった。
恐怖のあまり薄れゆく意識の中で、俺はぼんやりとそう思った。
「ん……」
朝の陽ざしで目覚めて、唸る頭を振りながら体を起こそうとした時、体に違和感があった。
暑い。
普段なら、こんな不快な思いをしながら起きる様なことはなかったはずだ。
それに、普段嗅ぎなれないけど、慣れている様な匂いが……。
「……っ!?」
思わず悲鳴をあげそうになるのを、必死で堪えた俺は偉いと思う。
何でかって、両隣に女が裸で寝てたら、そうなるのは仕方ないと思わないか?
右に雅樂、左に三人。
何なのこの偏り。
そしてがっつり見てしまったはずなのに、一向にぴくりともしない。
うん、ここ最近の平常運行の様だ。
何だか慣れてくると、悟りでも開いたかの様な心境になるな。
「……ムカつくわね、その反応」
「ひっ!?」
起き上がってこっそりベッドから抜け出ようとしたところで、声がかかる。
不機嫌そのものと言えるその声からは、色気とかそういうものを微塵も感じない。
「何とか言ってみなさいよ、ええ? 美女が揃いも揃って隣で裸で寝てても大人しいとか、ナメてんの?」
「う、雅樂……起きてたのか……」
「昨夜のお返しに、上じゃなくてそっちの首絞めてやったけど、全くぴくりともしなくて本当……自信なくすわぁ」
あ、今度は殺気がこもってる。
自信もクソも、お前処女だろ……。
「寝てる間にもしかしたら、と思って何時間かおきに見てたけど、これまた静かなものだったわね」
「あ、アルカお前!」
「となると、やっぱり精神的な病気かもしれないね。そういう方面詳しい医者とか博士みたいなのいたかな……」
ミルズまでも起きだしてきて、結局全員が……いや、ヴァナはいない様だ。
隣の部屋、つまりこいつらの部屋で寝てるんだろうか。
「ま、まぁほら。やらなきゃ死んじゃう、とかそういうもんでもないし、焦らなくても……」
「死ぬから。マジで溜まりすぎて死ぬわぁ」
「雅樂、お前な……」
「どうしようもないってわかってるからこそ、もどかしいんだよ!!」
そう言って雅樂は、乱暴にベッドから起き上がって服を身に着けて行く。
「見てんじゃないわよ! どうせ見たって何も反応しないくせに!!」
グサっと音がしそうな言葉だ。
今の俺にその攻撃は効果覿面というやつだ。
これ以上ない、クリティカルヒットになりえる一撃だ。
「えっと……気持ちとしては私たちもウタと似た様な感じなんだけど……あんまり気にしても始まらないから」
「…………」
アルカの珍しくもたどたどしい慰めが、更に俺の心を抉る気がする。
悪気があるわけじゃないのはもちろん理解しているが、他の二人が何も言わないのはきっと、俺という人間がある程度わかっているからなのだろうと思う。
「とにかく……今日はまず家に向かおう。ある程度荷物も整理したいし」
とりあえず下半身のことは気にしない様にする方向で、事後でも何でもない俺たちは服を着て宿を出る準備に取り掛かった。
雅樂の不機嫌さがマックスなのを見たヴァナがやたら怯えていたが、危害を加えるつもりはない様だったのでひとまずあれは無視していいから、と耳打ちして支度を続けた。
「……で、部屋割りどうするの?」
「いや、どのみち男な俺は一人部屋だろ?」
「男ね……まぁいいけど」
雅樂がいつになく刺々しい。
昨夜どれだけのことをしたのかはわからないが、恐らく俺の想像がつかないほどのことまでしていたのかもしれないから、お怒りはごもっともなのだろう。
ただ、男として認めない、という意志がありありと伝わってきて何となくおっかないんだけど。
「じゃあ、凛は一人だしそこの物置で良くない?」
「ちょっと、ウタ……」
「いや、別に寒かったり暑かったりしなければ俺は物置でも構わないけど……」
「いやいや、構うでしょ。用便どうするのよ」
アルカの口から飛び出した用便という言葉。
向こうの世界でも用便とか使ってる人は見たことがない。
「それは……共同の便所なかったっけ」
「どうだったかしら。まぁ物置案はとりあえず置いといて、ちゃんと部屋割りしましょ」
本人がいいって言ってるんだけど……というか逆らうとまた雅樂が荒れそうで怖いっていう、それだけのことなんだけどね。
女子勢は二人と三人で分かれて部屋を使う、と言っていたので、俺は物置とまで行かなくても別に余った部屋でいいと言っておいた。
結果。
「……何でお前らこんな狭いとこなの?」
「私、狭いとこじゃないと落ち着かないの」
「同じく」
アルカとミルズが、二人で四畳半程度の部屋を使うことになった。
ヴァナと雅樂とヨトゥンは、十畳くらいありそうな部屋を使うことにした様で、早速家具を動かしたりしている。
そして俺に割り当てられた部屋。
「……広くね?」
「まぁ、余ったとこでいいって言ってたからね」
俺に割り当てられた部屋は、リビング? と言いたくなるくらいに広い部屋だった。
どこぞのお坊ちゃんかよ、というくらいに広い。
天蓋付きのベッドとかがないだけマシかもしれないが、これこそ落ち着かないんじゃないかと思う。
「俺、そんなに荷物とかないんだけど」
「いいじゃない、広くて困ることはないでしょ?」
「お前はさっき自分たちで言ってたことを忘れたのか」
狭いところじゃないと落ち着かないとか言っていたやつに言われると、何となくイラっとくる。
人数的に絶対逆だろ俺たちの部屋。
とは言ってもそんな俺の意見が通る様なメンバーではないし、文句を言っても仕方ないので諦めて受け入れることにした。
どうせそのうち物で溢れたりとかするかもしれないし、広くて困るということはない、というアルカの言葉もその通りだと思うから。
「んで、明日からのクエストどうするんだ? それとも少し遅めだけど今から受けに行くか?」
「慌てないといけないほど差し迫ってはいないんだけどね、明日からでいいと私は思う」
ミルズの言う通り、食べ物とかは案外豊富にあるし、そこまで慌てて稼がなくては、という理由も特にない。
強いて言うのであれば、装備関連の買い替えが必要なメンバーがいれば、というものだ。
そう言えば雅樂は鎌を最初から持っていた、という様なことを言っていたが、俺は街で買った安い剣で戦っている。
もしかして伝説級の武器だったりするんだろうか。
だとしたら少し羨ましい。
でも何となく今は聞ける状態じゃない気が……。
「じゃあ、明日からでいいか。それより俺の武器なんだけど……何かトレジャーハントとか一緒に出来たりするクエストないのかな」
刀身に多少の傷と刃こぼれ。
安い剣とは言っても、初めて手にした武器でもあるからある程度は大事にしてきたつもりではあるが、無茶な戦闘もしてきたし何より魔法剣とか使う俺の戦いに、よくここまでついてきてくれたと思う。
そしてもう少し強力な武器がないと、いざと言うときにこの剣が使えなくなったりするんじゃないかっていう、不安が生まれ始めてもいた。
「なら、明日ハルアさんに聞いてみようか。店で売ってるものより、探索で得られるものは強力なものが多いからね」
「それは助かる。すまんな、もちろんみんなもほしいものがあったら要望には沿う様にするからさ」
その日は簡単に部屋の模様替えなどをして、夕飯を済ませ、誰かが寝室に忍んで来ることもなく平和に一日を終えた。
そして翌日、俺たちの運命を左右する様な出来事が待っていることなど、誰も想像することなく俺たちは眠りについたのだった。
ありきたりな薬の効能だと思った。
思った矢先に、頭がぼーっとしてくる様な感覚があって、これまたありきたりだ。
しかし、俺の知るありきたりはそこまでで、意識とは関係なく俺の手は目の前の少女の首を力いっぱい絞めていた。
か細く漏れる呼吸と、苦しそうな表情。
赤くうっ血した顔が、俺を憐れむ様な目で見ている。
「ちょっと、何してるの!!」
声がしたと思ったら直後に複数の衝撃に襲われて俺の体は雅樂から離れた。
咳き込んでいる雅樂の声と、アルカの祈祷の声、そしてミルズとヨトゥンが二人がかりで俺を押さえつけている。
一瞬沸き上がったあの力は影を潜めたのか、二人の力に抵抗できない。
「どうやら、ハズレだったっぽいのかしら……」
軽く咳き込みながら雅樂が俺に声をかける。
どういう意味なのか。
治療薬ではなかった、ということか?
「興奮作用はあったみたいだから、必ずしもハズレとは限らないけど……だけど治すに至ったかどうかは微妙だね」
ミルズが俺を押さえつけながら、俺の体を隈なく触っていく。
押さえつけられて痛いはずなのに、ところどころがくすぐったい。
「もういいじゃん、脱がして色々試しちゃえば」
アルカがとんでもないことを言い出し、俺は一気に危機的状況を迎える。
「ま、待て! もう正気だから! 俺もう落ち着いてるから!!」
「……でも私の首絞めたよね。だったら……罰を与える必要があると思うんだけど」
部屋に冷気とも殺気とも判別がつかない何がが充満して、俺は命の終わりを予感する。
短い青春だったなぁ、と思うが考えてみたら青春なんてさっきの薬飲まされる時くらいしか覚えがない。
あとはいじめられてこっちきて戦って、とかそんなのばっかりだ。
だったら、別にいいんじゃね? なんて思えてくる。
「落ち着きなよ、ウタ。さっきの様子はどう見ても尋常じゃなかった。あれはリンの意志とは関係なかったと考える方が自然じゃないか?」
「そうだね、リンが私の首絞めるなんて、確かに正常じゃない。だけど……そういうことしたらどうなるか、って言ういい見本になるかなって」
一瞬許される? とか呑気なことを考えた俺を殴りたい。
俺の考えがいかに甘かったかということを、今この瞬間に思い知った。
「さ、凛……覚悟はいいよね?」
子どもにこんな過激なシーンを見せる結果にならなくて、本当に良かった。
恐怖のあまり薄れゆく意識の中で、俺はぼんやりとそう思った。
「ん……」
朝の陽ざしで目覚めて、唸る頭を振りながら体を起こそうとした時、体に違和感があった。
暑い。
普段なら、こんな不快な思いをしながら起きる様なことはなかったはずだ。
それに、普段嗅ぎなれないけど、慣れている様な匂いが……。
「……っ!?」
思わず悲鳴をあげそうになるのを、必死で堪えた俺は偉いと思う。
何でかって、両隣に女が裸で寝てたら、そうなるのは仕方ないと思わないか?
右に雅樂、左に三人。
何なのこの偏り。
そしてがっつり見てしまったはずなのに、一向にぴくりともしない。
うん、ここ最近の平常運行の様だ。
何だか慣れてくると、悟りでも開いたかの様な心境になるな。
「……ムカつくわね、その反応」
「ひっ!?」
起き上がってこっそりベッドから抜け出ようとしたところで、声がかかる。
不機嫌そのものと言えるその声からは、色気とかそういうものを微塵も感じない。
「何とか言ってみなさいよ、ええ? 美女が揃いも揃って隣で裸で寝てても大人しいとか、ナメてんの?」
「う、雅樂……起きてたのか……」
「昨夜のお返しに、上じゃなくてそっちの首絞めてやったけど、全くぴくりともしなくて本当……自信なくすわぁ」
あ、今度は殺気がこもってる。
自信もクソも、お前処女だろ……。
「寝てる間にもしかしたら、と思って何時間かおきに見てたけど、これまた静かなものだったわね」
「あ、アルカお前!」
「となると、やっぱり精神的な病気かもしれないね。そういう方面詳しい医者とか博士みたいなのいたかな……」
ミルズまでも起きだしてきて、結局全員が……いや、ヴァナはいない様だ。
隣の部屋、つまりこいつらの部屋で寝てるんだろうか。
「ま、まぁほら。やらなきゃ死んじゃう、とかそういうもんでもないし、焦らなくても……」
「死ぬから。マジで溜まりすぎて死ぬわぁ」
「雅樂、お前な……」
「どうしようもないってわかってるからこそ、もどかしいんだよ!!」
そう言って雅樂は、乱暴にベッドから起き上がって服を身に着けて行く。
「見てんじゃないわよ! どうせ見たって何も反応しないくせに!!」
グサっと音がしそうな言葉だ。
今の俺にその攻撃は効果覿面というやつだ。
これ以上ない、クリティカルヒットになりえる一撃だ。
「えっと……気持ちとしては私たちもウタと似た様な感じなんだけど……あんまり気にしても始まらないから」
「…………」
アルカの珍しくもたどたどしい慰めが、更に俺の心を抉る気がする。
悪気があるわけじゃないのはもちろん理解しているが、他の二人が何も言わないのはきっと、俺という人間がある程度わかっているからなのだろうと思う。
「とにかく……今日はまず家に向かおう。ある程度荷物も整理したいし」
とりあえず下半身のことは気にしない様にする方向で、事後でも何でもない俺たちは服を着て宿を出る準備に取り掛かった。
雅樂の不機嫌さがマックスなのを見たヴァナがやたら怯えていたが、危害を加えるつもりはない様だったのでひとまずあれは無視していいから、と耳打ちして支度を続けた。
「……で、部屋割りどうするの?」
「いや、どのみち男な俺は一人部屋だろ?」
「男ね……まぁいいけど」
雅樂がいつになく刺々しい。
昨夜どれだけのことをしたのかはわからないが、恐らく俺の想像がつかないほどのことまでしていたのかもしれないから、お怒りはごもっともなのだろう。
ただ、男として認めない、という意志がありありと伝わってきて何となくおっかないんだけど。
「じゃあ、凛は一人だしそこの物置で良くない?」
「ちょっと、ウタ……」
「いや、別に寒かったり暑かったりしなければ俺は物置でも構わないけど……」
「いやいや、構うでしょ。用便どうするのよ」
アルカの口から飛び出した用便という言葉。
向こうの世界でも用便とか使ってる人は見たことがない。
「それは……共同の便所なかったっけ」
「どうだったかしら。まぁ物置案はとりあえず置いといて、ちゃんと部屋割りしましょ」
本人がいいって言ってるんだけど……というか逆らうとまた雅樂が荒れそうで怖いっていう、それだけのことなんだけどね。
女子勢は二人と三人で分かれて部屋を使う、と言っていたので、俺は物置とまで行かなくても別に余った部屋でいいと言っておいた。
結果。
「……何でお前らこんな狭いとこなの?」
「私、狭いとこじゃないと落ち着かないの」
「同じく」
アルカとミルズが、二人で四畳半程度の部屋を使うことになった。
ヴァナと雅樂とヨトゥンは、十畳くらいありそうな部屋を使うことにした様で、早速家具を動かしたりしている。
そして俺に割り当てられた部屋。
「……広くね?」
「まぁ、余ったとこでいいって言ってたからね」
俺に割り当てられた部屋は、リビング? と言いたくなるくらいに広い部屋だった。
どこぞのお坊ちゃんかよ、というくらいに広い。
天蓋付きのベッドとかがないだけマシかもしれないが、これこそ落ち着かないんじゃないかと思う。
「俺、そんなに荷物とかないんだけど」
「いいじゃない、広くて困ることはないでしょ?」
「お前はさっき自分たちで言ってたことを忘れたのか」
狭いところじゃないと落ち着かないとか言っていたやつに言われると、何となくイラっとくる。
人数的に絶対逆だろ俺たちの部屋。
とは言ってもそんな俺の意見が通る様なメンバーではないし、文句を言っても仕方ないので諦めて受け入れることにした。
どうせそのうち物で溢れたりとかするかもしれないし、広くて困るということはない、というアルカの言葉もその通りだと思うから。
「んで、明日からのクエストどうするんだ? それとも少し遅めだけど今から受けに行くか?」
「慌てないといけないほど差し迫ってはいないんだけどね、明日からでいいと私は思う」
ミルズの言う通り、食べ物とかは案外豊富にあるし、そこまで慌てて稼がなくては、という理由も特にない。
強いて言うのであれば、装備関連の買い替えが必要なメンバーがいれば、というものだ。
そう言えば雅樂は鎌を最初から持っていた、という様なことを言っていたが、俺は街で買った安い剣で戦っている。
もしかして伝説級の武器だったりするんだろうか。
だとしたら少し羨ましい。
でも何となく今は聞ける状態じゃない気が……。
「じゃあ、明日からでいいか。それより俺の武器なんだけど……何かトレジャーハントとか一緒に出来たりするクエストないのかな」
刀身に多少の傷と刃こぼれ。
安い剣とは言っても、初めて手にした武器でもあるからある程度は大事にしてきたつもりではあるが、無茶な戦闘もしてきたし何より魔法剣とか使う俺の戦いに、よくここまでついてきてくれたと思う。
そしてもう少し強力な武器がないと、いざと言うときにこの剣が使えなくなったりするんじゃないかっていう、不安が生まれ始めてもいた。
「なら、明日ハルアさんに聞いてみようか。店で売ってるものより、探索で得られるものは強力なものが多いからね」
「それは助かる。すまんな、もちろんみんなもほしいものがあったら要望には沿う様にするからさ」
その日は簡単に部屋の模様替えなどをして、夕飯を済ませ、誰かが寝室に忍んで来ることもなく平和に一日を終えた。
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