『俺の妹は、こんなに手がかからない!』
第1.5話『妹の代行者?』
「いや!じゃぁ、俺の妹はどこにいるんだよ?」
「おそらくぅ……私と勘違いされたのかはわかりませんが、異世界に行っちゃったんですぅ」
涙目の彼女いわく、異世界を旅する赤いバスは全員が揃うまで出発しないらしい。当然、乗務員の彼女がいない場合にもそれは例外でなく、こうなってしまった理由は、おそらく彼女と瓜二つの鈴音がそのバスに乗ってしまった事で出発してしたと考えたようだが……鈴音はバスガイドの娘であり、知識もあるためバスに乗り間違えて乗ったとは考えにくい。
しかし、これが本当なら、学校を休むとは思えない鈴音が学校を休んだことにも納得はいくが、それなら、鈴音は、今……異世界?
「俺の妹は! どうなるんだ!?」
ローレンシアさんは、また涙目になりすごく悩んでるのがよくわかる。
そんな悩み方まで、鈴音にそっくりじゃないか……確信した、もう俺はこの子に強く言えない。
「「 ワタシが聞きだいでずっ!! 」」
………そうか! この子からしても見ず知らずの世界に取り残されて困っていたのか……これは一方的に質問をしすぎたなぁ。
「ごめんよ、わかったからちょっと落ち着こう。」
(頼むから泣き止んでくれ……)
全然落ち着いてない俺が、口先だけで鈴音に似た少女を落ち着かせようとしている。
この説得力のなさは自分でもよくわかっている。
こう言う時は、戦線離脱すべきだ。とりあえずお客さんに飲み物でも出そうかと、軽く声かけ一階へ退避し、冷蔵庫の空気で深呼吸し冷えた1.5Lの炭酸と2つのコップを持ち、再び鈴音の部屋へと駆け上がった。
これは……ローレンシアさんからみたら俺が餌で釣ろうとしているように見えていないか?
「炭酸……飲む?」
「ありがとうございますぅ」
いや、餌で釣ろうとしているつもりが微塵もないかと言われればそれは嘘になるか……
糖分を取って、少し落ち着いたのかローレンシアさんの表情が柔らかくなった。
「あのっ、妹さんは、大丈夫だと思います!」
「そうか、ゆっくりでいいからさ。それは、何でだと思うの?」
「バスガイドのフリをしてるんだと思いまず……だって……人数確認どかっ……しないと……バズは出ないんですもーんっ」
「なるほど、もう泣かないでいいから、そうか……」
確かに昨日、鈴音はローレンシアさんに似たバスガイドのコスプレをしていた、なんでバスガイドなのか聞いたら、昔、お母さんがバスガイドをしていたからだと言っていた……
よく考えてみたら、あの歳で鈴音は生活上必要なことはなんでもできてしまうようなヤツだ、違う世界で一人になったとしても生きていけるような気がする。
そんなバスジャックと言っていいのかはわからないが、犯罪行為をしたのにも何か意味があるはず……
やはり、目の前にいる少女ローレンシアさんは鈴音じゃない。確かに、そっくりだが鈴音は俺の前でこんなに泣いたりはしない。
冷静に考えてみると、この世界の鈴音ならこの世界に取り残されたという理由で泣くのも矛盾している。
俺は鈴音なら一人でも生きて生けると思うが、見る限りこのローレンシアさんは一人で生きていけるタイプじゃない。
俺の妹は、彼女にとんでもない迷惑をかけている気がする。
「わたじは、どうじたら……いいんでずがっ?」
「詳しいことはわからないけど……妹が帰るまではここに居ていいよ?」
「えっ?」
「あぁ、妹がいないと警察沙汰とかになりかねないからさ、できれば妹が戻るまで、俺の妹になってもらえないかな?」
自分でもなんでこんな事を言っているのかわからない、あえて、お願いする形に言い換えると、ローレンシアさんは泣きながら俺に飛び付いてきた……そして、今この子が違う世界からきたという、真っ赤な他人だとは何故か思えない気がしている。
「ちよっ…と! そう言うのはいいよ」
「ありがとう」
我に返り、突き放してるというのに、お礼まで言ってくるとはなんていい子なんだ。
どうやら、ローレンシアさんはこの世界で他に行くところがなくて困っていたようだ。それに、鈴音の風貌で深夜に外出されても、未成年だと思われ補導されたら婆ちゃんに迷惑がかかるだろうし。ローレンシアさんが鈴音じゃないと言っても誰も信じないだろうから、これは間違った選択ではないだろう。
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