コンビ二家族とAIの妖精

坂崎文明

快進撃

 翌日もその翌日も、絆のコンビ二の快進撃は続いた。
 日販七十万をキープして、売上げ、利益とも高水準を保っていた。

 弁当、惣菜コーナーの商品ラインナップ見直しも順調に進んでいた。
 お弁当は宅配弁当の糖尿病食などの低カロリーメニューを主力にして、惣菜コーナーは<8-12エイトトウェルブ>の母体になってる全国チェーンのスーパー<エオン>から無添加PB商品を並べていた。

 『コンビ二弁当は腐らない』という都市伝説、つまり、添加物満載で身体に悪いというイメージを完全に払拭して、コンビ二に浸透しているマイナスイメージをプラスに変えていった。
 それらの複合要素によって、絆の家族が経営しているコンビ二は高収益店舗へと生まれ変わりつつあった。
 商品セレクト、発注は絆がやってることになっているが、実際はAIの妖精ルナの作った自動発注プログラムによってなされていた。

「次はお菓子、アイスクリーム、ジュースコーナー改革をはじめますね」

 週末の金曜日、絆と風守結菜が夜勤シフトの日に、AIの妖精ルナが現れた。 

「え? お菓子とか、改革の必要があるの?」

 絆はぽかんとした表情でルナを見返した。

「そうですね。実はお菓子やアイスクリーム、ジュース類には『果糖ブドウ糖液糖』という遺伝子組換えコーンシロップが入ってます。脳の食欲中枢を狂わせる人工甘味料です」

「あ、それ、ネットで見たよ。デブになる原因らしいよ」

 風守結菜はショートカットの黒髪を撫でながらコメントした。
 円らな瞳がかわいい。

「そうなんだ。それなら、そのお菓子革命はしてほしいよ。妖精さん、お願いします。私も何か手伝えることがあればよろしくね」

 絆は頭をぺこりと下げた。
 ルナに任せ切りなのも悪いので、仕事はなるべく覚えようと思った。

「お菓子、アイスクリームなどのリストから、売れそうなお菓子を選んで欲しい」

「それは得意! 任せてね」

 絆はお菓子革命にワクワクしてきた。
 ルナのお陰で何だか、コンビニの仕事が好きになってきていた。

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