私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!

ちょこぱい

再会



 咲良に腕を引かれ温泉宿の玄関をくぐった。


 すでにロビーでくつろいでいる皆と合流すると、レイカが受付を済ませ戻ってきた。


 「みんないるわね、もう少し此処で待っていてね、お父様とお母様が来るから」


 レイカはそう言うと待ちきれないのか、咲良の手を引いてエレベーターに走った。


 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ


 心臓が爆発しそうだ、冷や汗が止まらない。


 幼い頃に何度か会ったことがあるレイカの両親だが、お父さんの方はとても優しい人で、幼く大人が怖かった俺でも打ち解けるのに時間は掛からなかった。


 一方でお母さんの方は、他の友達のお母さんと比べるのも馬鹿げてしまいそうな位に超絶美人だった。


 ほとんど話したことはなくて、遠くから見たことがあるくらいだったが、一回だけ話し掛けられたことがあった。


 今でも覚えている、あの言葉・・・


 エレベーターが到着した。


 扉が開くと見覚えのある2人がいた、、って言うか、全然変わってねぇじゃんか、幼い頃の記憶の容姿と全く老けた感じがなかった。


 レイカのお母さんにいたっては、見た目は高校生でも通じそうな位だが、みのこなしや雰囲気は上品な大人っぽさがある。だから、幼かった俺でも、他の友達のお母さんを呼ぶように、「おばさん」って呼ぶのは、なんだか失礼な感じがしたから、咲良を真似して「マナさん、誠一郎さん」と言うようになった。別に、本人に直接言うようなことも無かったしな




 「お父様!お母様!」


 姿をみるやいなや2人に抱き付くレイカ


 「レイ、久しぶりだね」


 お父さんの方は、レイカの事をレイと呼ぶのは変わっていないなぁ、なんだか落ち着く。


 「ルア、離れなさい、はしたないわよ」


 これも変わってねぇなぁ、お母さんの方は何故かレイカの事を『ルア』と呼ぶんだよな。


 レイカにその事を聞いたことがあって、理由は本人もよく知らないらしい、ただ『ルア』と呼ぶのはお母様だけと言っていた。


 「咲良ちゃんも久しぶり、ちょっと見ないうちにまた可愛くなったね、好きな子でも出来たのかな」


 チラッと、一瞬こっちを見た咲良と視線が合った。


 ん?なんだよ、なんか用か?


 「誠一郎さんもお久しぶりです、それは秘密です、エヘヘヘ」


 「レイカには咲良ちゃんが居ないとダメだから、一緒の学校に行ってくれて本当に感謝してるよ」


 咲良は2人にすごく可愛がられてたなぁ、まるで、自分達の子供って位に咲良を気に掛けている感じがする。


 「咲良、なに遠慮してるのよ」


 レイカは、一歩下がって親子の再会を嬉しそうに見ていた咲良を近づけた。


 マナさんが咲良に近づくと、しばらくから視線をそらさなかった。


 「お母さんに似てきたわね」


 「お久しぶりですマナさん、ありがとうございます、エヘヘヘ」


 咲良のお母さんには何度も会ったことあって、確かに綺麗な人で咲良と似ているが、そんなに似ているかと言われると ん?って思うのは俺だけかな?


 「力の制御が出来てないわ、遠くにいても分かるのよ、気を付けなさい」


 「き、気を付けます!でも、それには訳があって、、」


 「言い訳なんて聞いてないわ」


 「はい、、すいません」


 空気の変化を察してレイカが割って入った。


 「お、お母様、久しぶりに会ったんですからそれくらいで、それにその件は電話で話したじゃないですか」


 「聞いたわ、少し位の力を持ってるからって奢った気持ちがあるからそんなことになるのよ、あなたも反省しなさい」


 「ごめんなさい、お母様」


 おいおい、威圧感が半端ないな、あの2人が子猫のように見える。


 「咲良ちゃん、レイ・・ マナは心配してるんだよ、さぁ、頭をあげて後ろにいるお友達を紹介してほしいなぁ」


 さすが!大企業の社長さん、場の空気を変えるのが上手いなぁ。


 さぁて、うちらも挨拶してさっさと温泉に入ろうぜ。って!ミーシャとティアの様子がおかしい。


 「なんであんたが此処にいるのよっ!」


 ミーシャは槍を構える。だが、いつもの余裕な感じが全くない、恐怖心からなのか顔が青ざめ、槍を持つ腕が震えていた。


 「おいおい!ミーシャなにしてんだよ!槍をしまえって」


 ミーシャを止めようとする俺を、クロノスが制止した。


 「クロさん、早くミーシャを止めないと!」


 「錬太郎どいていなさい、怪我じゃすませんよ」


 クロさん、何を言っているんだ!?そりゃさっき咲良やレイカに冷たい態度をとったけど、それはあいつらを心配してのことだろ、なにもそんなに怒らなくても!


 咲良とレイカも割ってはいってくれた。


 「ミ、ミーシャ、どうしたの!?」


 「ミーシャ!落ち着きなさい」


 「二人共どいてっ!」


 今にも飛びかかって行きそうなミーシャを説得しようとするが、全く聞く耳を持ってくれない。


 「竜の生き残りか、絶滅されずに済んで感謝するんだな」


 マナさん!


 その言葉でミーシャの最後の理性が吹き飛んだのがわかった。


 制止していた、俺や咲良達を吹き飛ばし、レイカのお母さんに襲い掛かった。


 ブリューナクが、マナさんの胸に突き刺さろうとした瞬間に、誠一郎さんが槍を掴みそれを食い止めると、槍を放さないミーシャごと持ち上げて床に叩き付けた。


 ミーシャは意識を失い倒れている。


 なんなんだ一体、どうしてこうなったのか誰か教えてくれ!


 静かにクロノスが一歩前に出た。


 「説明して!アギスがどうして此処にいるのか!どうせセルも絡んでるんでしょ!


 確かアギスって、太古の地球を支配していたクロさん達との大戦争に勝利して、自分達の姿に似せた人間を、地球の新たな支配者にした、言わば人間の神様だよな


 神様って本当にいたんだなぁ、しかも凄く身近に!やっぱりあれか、土下座して崇めたほうが良いのだろうか


 でも、クロさんにとったら仇も同然で、腸煮えくり返ってるよなぁ、だって自分や親兄弟、仲間達を殺した奴等の仲間が目の前にいるんだぜ、俺なら、なにも考えないで間違えなく飛び掛かってるいる、自信がある。そして、ミーシャのようにノックアウト、運が悪ければあの世行きだろうな。


 相手の力量を見極め、逃げるのも、強さだってセルフィーが言っていたのを思い出した。


 誠一郎さんが動いた。


 「こんな場所ではなんですし、部屋を用意しています、ミーシャさんが目を覚ましたら、全てを話しましょう」


 そう言うと、誠一郎さんの誘導で2手に別れた。


 意識を失っているミーシャとクロさんは、レイカのお父さんに連れられていき、残りはそれぞれの部屋へ案内された。







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