私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!
咲良よ、その作戦、俺は生きて帰れるのか?
「お!起きたな」
自販機に飲み物を買いに行っていた俺は、病室に入るとベットで寝ていた少女が上半身を起こし窓の外を見ていた。背中まで流れている綺麗な髪と真っ白な肌、ぱっちりした大きな緋色の瞳は、まるで精巧に出来た人形のように見える。
ベットまで歩くと近くの椅子に腰を掛けた。
「先ずは自己紹介だな、俺は錬太郎、自販機の所で倒れていた君を見付けて、怪我をしていたから病院に連れてきた」
病院につれてくる前に、ゴタゴタが有ったぉとは今は黙っていた。目覚めたばかりでショックの大きな話しは良くないと思った。
「君の名前を教えてくれないかな?」
窓の外を見ていた瞳がゆっくりとこっち向き、俺の顔を見上げた。しならくの間のあとに、艶にある小さな唇が開いた。
「・・ティア」
錬太郎は真剣な顔をするとティアの両手を取った。
「ティアちゃん、可愛いねぇもう少し大きくなったらお兄さんと付き合おうか!」
ビックリしたティアの大きな目がさらに見開いた。
「アーン、ティアちゃん可愛いわぁ、お兄さんもうティアちゃんにメロメロだよぉ」
猫のように無邪気に甘えてくる錬太郎に ティアはどうしたらいいか分からなかったが、なぜか嫌ではなかった。最初はビックリしたが、警戒心なくティアに関わってくれる人はお母さん以外いなかった。
「へぇー、そういう事だったのね」
ティアに甘えていた錬太郎の動きが止まると、小刻みに震えだした。
「自分から進んで救急車に乗ったから、なんか怪しいと思って来てみれば・・・」
咲良の両手が真っ赤な炎に包まれた。
「さ、咲良!落ち着こう!その炎はいっ!ぎゃあーー!」
―――――――――
ティアより重体になった錬太郎は包帯でグルグル巻きに拘束されて、ベットに縛り付けられた。
「ティアちゃんごめんなさい、怪我してるのに錬太郎が騒いじゃって」
錬太郎がなにか言いたそうだったが、咲良の目線が怖くて押し黙った。
「・・大丈夫」うつ向きながらティアは照れ臭そうに言ったた。
咲良は錬太郎のせいで崩れたシーツを整えたあと、椅子に腰を掛けた。
「具合はどう?良かったら何があったか教えて、力になりたいの」
なにかを思い出しているのか、うつ向いた顔はずっと真っ白なシーツを見ていた。
ティアはゆっくりと今までの人生を話してくれた。
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「アーーーン、ティアちゃん、ウェーーーン」ティアに抱きつき号泣する咲良と錬太郎
「錬太郎はあっち行って!!」錬太郎は咲良に蹴り飛ばされた。
「ティアのせいでお母さんは連れて行かれたの?ティアがあそこに戻れば、お母さん返してくれる?」ティアは咲良の腕を掴み胸ですすり泣いていた。
咲良は優しくティア抱きしめ髪を撫でた。
「行こう!お母さんを助けに行こう!ティアの辛い過去を私がみんな燃やしてあげる」
「行こうって!あいつらはティアちゃんのお母さんを餌にして、ティアちゃんが来るのを待ってるんだぞ!罠にはまりに行くようなもんだろ!」錬太郎はティアの手を取ったが、咲良が素早く払いのけた。
「大丈夫!良い作戦を思い付いたわ」咲良は自信満々に高笑いした。
(逃げよう!俺の中の危険信号がレインボーを示している)
そっと病室からでようとした錬太郎の背中を咲良の手が伸びた。
「どこに行くのよ!錬太郎がカギなんだからねっ!」
・・・・・咲良よ、その作戦、俺は生きて帰れるのか?
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