私が、宇宙の女王になるわ!だから、貴方は私を守りなさい!

ちょこぱい

可愛すぎかよ!





 朝6時15分、錬太郎は駅にいた。


 「眠い・・・」


 約束の時間は、7時なのになぜこんなに早く来ているのかというと、レイカからもらったメモに書いてあったからだ。


 その1:約束の時間の45分前には着いておく。


 何故⁉そんなに早く?と思ったが、理由は15分後に分かった。


 「錬太郎!」


 「おはよう、咲良」


 「私のが絶対早いと思ったのに」


 「俺も、さっき来たとこだよ」


 その2:洋服を誉める


 「その服すごく似合ってるな」


 多分、メモが無くても言っていたと思う。これは素直に感激するほど、咲良が可愛く見えた。


 そして、若干、離れた場所に怪しげな1人と2匹が、2人の様子を監視していた。


 「あいつ!もっと言い様が有るでしょ!下手くそねぇ」


 《錬太郎は、そういうの慣れてないのだ》


 《まだまだお子様ニャ》


 外野は言いたい放題だ。


 でも、咲良には嬉しかったようだ。


 「ありがとう、エヘヘヘ」


 「錬太郎もなかなか似合ってるね」


 これは、咲良の気遣いだ。一応、それなりの服装にしたが、咲良の横に並ぶと、かなり不釣合になる。失敗した。メモに書いてなかったぞと、レイカに言ったら、それこそ怒られそうだ。


 休日ということもあり、早い時間だが、駅の中は何処かに出掛ける家族やカップルなどが多かった。そのほとんどは俺達が向かおうとしているテーマパーク《ロストメモリーランド》だろう。去年出来たばかりで、世界中から大勢の人がやって来る。


 ロストメモリーランドは、陸の孤島を開発して作られた。交通手段は船か飛行機になる。パークの趣旨は、太古の地球だ。遥か昔に住んでいた生物達を遺伝子操作で甦らせ、観光客に見て遊んでもらう。


 まぁ、そこまでなら昔の映画でやっていたようなことだが、このテーマパークの生物たちは完璧に飼い慣らされている事だった。


 特に目玉のアトラクションが、ティラノサウルスの背中に乗って森の中を駆け抜けるというもので、連日長蛇の列になっている。


 他にも、肉食大型恐竜への餌やり、大型翼竜と空中散歩など、一歩間違えば大惨事になるような事を、100%安全に体験出来るを謳い文句に。言葉通り開園から一度も事故が無いのだ。


 この夢のようなテーマパークを作り上げたのは、バイオテック・イノベーション社だ。そのバイオテック・イノベーション社は、星月グループの傘下にある。星月グループは、あの星月レイカの親父さんが社長をしている会社だ。


 その3:テーマパークのマメ知識を覚える


 っと島までの定期船の中で、咲良にマメ知識を喋っていた。


 「へぇー知らなかった、錬太郎よく知ってるね、見直した」


 「こんなの普通だって」


 まぁ予習してきて良かったが、こんな情報で感心する女ってのが分からない。


 「錬太郎!島が見えてきたよ!」


 近づくとかなりの大きさがある島だった。


 突然、大音量で戦隊ショーのようなアナウンスが始まった。


 「みなさん!ロストメモリーランドへようこそ!覚悟はいいかな?水面を見てっ!巨大な影が船を追いかけて来てるわ!」


 ざわめき出す人達は、海を確認した。


 「ねぇ、あれってまさか!」


 「メガロドンの豆助です!」


 「可愛すぎるわ!ネーミングセンス無さすぎだろ!」


 「豆助は恥ずかし屋なので、なかなか姿を見れないんですよぉ、みなさん運がいいです」


 「どうやら、船を島までの誘導してくれるみたいです!豆助偉いぞ!」


 「デカイ!大きい!!凄い凄い!、ヤバイね錬太郎!メガロドンだよ!」


 「暴れるなって!落ちるから少し離れろって」


 咲良は大興奮だ。デッキの手すりに体を乗り出しながら見ているが、こっちは咲良が海に落ちてしまうのではないかと心配で、豆助どころではなかった。


 出迎えは最高の演出だった。見るまでは半信半疑だった人達が 、実際に見てしまうと興奮が押さえきれない様子だった。


 確かに、そこにいるメガロドンは、まるで飼い慣らされたイルカのように大人しく船と並走している。ネットで色々調べたが、その秘密は、働いているスタッフでさえ分からないと書かれていた。


生物に詳しい専門家によると、生き物を完全に飼い慣らすことは不可能で、どんなに仕付けられても、突然、防衛本能が働き、攻撃してくる可能性があるので、気を付ける事が必要だと書かれていた。


 難しい顔をして悩んでいたが、咲良の喜んでいる表情をみたら、気にしないで楽しもうと思った。とにかく、今まで事故が無いのだから大丈夫だろう。


 船は時刻通り、島に到着した。


 同時刻 、島の唯一の空港に、自家用ヘリで到着したのは、レイカと2匹だ。


 ヘリポートでレイカを待っていたのは、バイオテック・イノベーション社の幹部達だ。


 「おはようございます。レイカ御嬢様、この度は当パークに御越しいただきありがとうございます。車を御用意してありますので、どうぞこちらへ」


 「ありがとうございます、突然押し掛けてしまって申し訳ありません、早速ですが、今、港に着いた船に親友が2人乗っていたので、動向のチェックお願いします」


 「かしこまりました」


 《レイカ!咲良達の所に行かないのかニャ?》


 「一応、もてなしの準備してくれてるのに受けないと失礼でしょ、簡単に流すから大人しくしてなさい」


《人間は色々と面倒臭いな》


 レイカ達はリムジンに乗ると、中央管理センタービルに向かった。


 錬太郎達も、受付を済ませると、パークバスに乗り中央エリアに向かった。
 

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