明日はきっと虹が見える

モブタツ

間奏1[再会。そして出発]

  スマホの画面に映るメッセージ。
『そろそろ着くよ〜』
  私はそのメッセージを見て顔を綻ばせた。
  駅前の円状のベンチ。人々はそれを待ち合わせの場所に利用することが多く、私もその人達を真似てベンチに座っていた。冬の寒さは消え始め、桜が満開を迎える時期に近づきつつあった今この頃。ベンチのひんやりとした嫌な感じは無くなり、吹く風は暖かな春の訪れを私に感じさせていた。
「お待たせ」
  いつのまに私に接近していたのか、彼女は私に元気な笑顔で、少し控えめに手を振った。
  そんな様子がとても大人に見えて、私は時の流れを感じた。
「久しぶり。彩唯ちゃん」
「久しぶりだね。全くぅ。こんなに大きくなってぇ〜!」
  彩唯ちゃんは私の髪をわしゃわしゃとかき混ぜると、えへへ、と照れ臭そうに笑った。
「うぅ…髪ボサボサになっちゃったじゃんよ…」
「可愛いから大丈夫。ほら、行こっ」
  にっこりと笑う彼女は、私の手を勢いよく引く。
  昔より表情が豊かになった彩唯ちゃんを見て、私まで少しだけ元気をもらうことができたのだった。

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