死にたいと願ったら叶いました。転生したけど・・・
1話 シェルフィールズ公爵家
最後にエルフィーネと別れてから多分、半年くらい経った。
この、半年間は本当に黒歴史を量産しまくったと思う。
代表例を幾つか挙げると、先ずは乳母の乳を飲んだ。排泄の処理をしてもらった、等々、挙げるとキリがない。まあ、しかし、悪いものでもないと思う。だって、赤子の頃の記憶なんて普通の人には無いからね。それこそ、俺みたいな転生者でも無い限りは。
そうそう、既に俺の専属の侍女が居る。その人の名前はラフィと言うらしい。
彼女が主に俺の身の回りの世話をしてくれる。
他にも、俺の父親の名前がベルフォード・フォン・シェルフィールズ。現シェルフィールズ公爵家当主だ。
で、母親がミリーア・フォン・シェルフィールズ。
最後に兄のケイン・フォン・シェルフィールズ。今はまだ3歳らしい。かく言う俺はまだ生後半年だけどね。
で、そんなシェルフィールズ公爵家で執事長を務めるのがレン・ヘルナー。彼は長年この家に務めているらしい。
そして、侍女長がシュミナ・ヴェルン。彼女も長年この家に務めている。因みに、1度だけ他の侍女さんを叱責しているところを見たのだけど、怒らせてはいけない。その一言に尽きる。
まあ、今のところはこんなものかな。
で、今、俺は母親に抱かれております。
「シルフィちゃん、ママですよ~♪」
うん。知ってるよ。て言うか、めっちゃ顔近い。
俺の母親。遠目に見てもスッゴい美人。しかも胸もデカイ。何カップだよ。
まあ、あやされて悪い気はしないので、一応笑っておく。と、言ってもまだ顔の筋肉が発達しきっていなくてぎこちなくしか笑えないけど、それでもミリーアには伝わったようで
「あらぁ、笑ったわ♪」
と、本人も嬉しそうにしている。うん、赤子って言うのもまあ、悪くないと思う。だが、こうして誰かに相手してもらって無いときはかなり暇だ。ベビーベッドから抜け出せる訳でもないし。
それに、まだ赤子だから殆ど寝る時間に費やしてるから、こうやって起きている時間は少ない。
それから俺はしばらく母親にあやされていた。
■■■■
「ママ。」
ようやく喋れた。転生してから一年くらい経った。だって、何か誕生日を祝われたからね。だから、俺は一歳になった。
それで、余りにも暇なのでしゃべる訓練をしてたら、現在やっと喋れた訳だ。まあ、訓練と言っても口を動かしたり、声を出そうとしたり、そんなことしか出来ないけど。
で、今のは回りに誰も居なかったから聞こえていない。つまり、俺が喋れるようになったことはまだ、誰も知らない。
しばらく俺は他にも何か喋る練習をしていると、ドアが開く音がした。生憎とまだ、首は動かせないのでその人が近くに来るまで誰なのか分からない。
段々とその足音が近づくと、ようやくその姿を見ることが出来た。それは、俺の父親のベルフォードだった。
父親もミリーアと揃ってとんでもない美形で、二人が一緒に居るときはまるで一枚の絵画だ。
「シルフィちゃん、パパだよ~♪」
そして俺は父親に抱き上げられた。久し振りに触れる父の身体は、服の布越しでも分かるほどに筋肉が付いていた。所謂細マッチョと言うやつだ。まあ、何はともあれ折角父親が来たのだ。少し驚かしてやるか。と思い、俺は一言
「パパ」
と言った。
すると父親はとても驚いたような顔をして、大声でミリーアを呼んだ。
「ミリーア!!ミリーア!!急いでシルフィの部屋に来てくれ!!」
うん。本当に大きな声だ。鼓膜が破れるかと言う大音量だった。
だからだろう。そんな父親の大きな声に気が付いたのだろうミリーアはドタドタと、普段の姿からは想像も出来ないくらいに走って俺の部屋に駆け込んできた。
「ベル!!シルフィに何かあったの!?」
「ああ!シルフィが喋ったんだ!!さっき、俺の事をパパって呼んだんだ!!」
父親ことベルからそれを聞いたミリーアはその焦った表情を一変させて、見てるこっちが幸せになりそうな、そんな幸せそうな笑顔を浮かべた。
「あらぁ。それは本当なのぉ?それなら私のこともママって読んで欲しいわぁ。」
うん。いつものミリーアだ。いつもの間延びした口調に戻っている。まあ、ベルにもパパって言ったし、ミリーアにもママって言って上げようと思い
「ママ」
と言ってやった。
そうするとやっぱりミリーアはその幸せそうな表情をより一層深めて、本当に女神と遜色の無い、そんな慈愛の笑みを浮かべた。
「あらあらぁ。ねぇ、聞いた?私のこと、ママって呼んでくれたわぁ。シルフィちゃん、もう喋れるようになったんだぁ。」
まあ、喋れるって言っても本当に短くて簡単な言葉だけだけどね。
なので、
「うん。」
と、返事してやった。
それで、返信しただけなのに、両親は再び驚愕の表情になった。
「何!?シルフィはもう言葉の意味を理解しているのか!?」
「あらぁ、シルフィちゃんったら天才ねぇ!これは将来が楽しみだわぁ。」
と言っている。
まあ、いいんだけどね。褒められて、嬉しくない何てことはない。普通に嬉しいよ。
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