死にたいと願ったら叶いました。転生したけど・・・

蛇に足

2話 魔法の先生







私が転生してから3年が経ちまして、私ももう3歳です。あ、口調は女の子として遜色の無いように矯正しましたよ。どこでボロが出るとも限らないので。でも、時々元の言葉遣いも思わず出てしまいますけどね。


まあ、そうですよね。たった二年間の女口調よりも、十数年使ってきた男口調の方が身に染み着いているものですから。でも、それでも、親の前で男口調をしたらなんと言われるか、と考えると怖くて・・・・


でも、あの両親なら逆に面白がるかも知れませんね。なんと言ってもこの二年で親バカが更に進行してしまいましたから。このまま行ってしまうと、いずれ過保護になってしまうのではと危惧しているのですが、私の早とちりでしょうか?まあ、どちらにしても、とっても幸せなのでいいんですけどね。


ただ、一つ不満があるとすればまだ外に出たことが無いこと位ですかね。でも、それでもこの屋敷が広すぎるので飽きることは無いですよ。庭園にも季節によっていろんな草花が咲いているので綺麗ですから。他にも、この屋敷の使用人さん達が使っている魔法も見れますしね。


そう。魔法です、魔法。主に使用人さんが使う魔法は生活魔法と言う体系の魔法だそうです。生活魔法とは、まあ、生活する上で必要な全般を魔法で代替出来るものです。例えば、指先からろうそく程度の火を出したり、指先から蛇口を捻って出てくる程度の水を出したり、洗濯物を一瞬で乾かしたり、ホコリやゴミを魔法で1ヶ所に集めたりと、本当に便利なものです。何でも、生活魔法と言うのはお父様曰く、このアイレス王国の民、と言うかこの世界の人間は全員少なくとも一つは使えるらしいですね。家の使用人は優秀らしく、一人一人がほぼ全ての生活魔法を使えるらしく、中世レベルの文化水準ながら、何一つ不自由に思うことはありません。ただ、一つ挙げるとするならば、やはり貴族なので私くらいの小さな時から、食事マナーや礼儀作法等を仕込まれる。でも、特段それを不満に思うことはない。貴族になった以上、食事マナーや礼儀作法を求められることは承知だったし、何より前世とは違い楽しく学べるので苦に思うことは全く無い。それに、出来たらお母様が褒めてくれますから。まあ、甘やかしすぎとはたまに思いますが・・・・でも、だからとっても幸せですよ。


さて、魔法と言えば私も最近使ってみたく思います。だって、折角エルフィーネから魔法の才能を貰いましたから、やはり1度だけでも使ってみたいと言うのはありますね。何より、礼儀作法とかのお稽古をしていない間はやはり暇ですし。まあ、その間に本とか読んだりしてこの世界の知識や魔法の知識を蓄えていますよ。それに、この頭、一度見たものはすぐ覚えられるし、しかも理解力も高いですね。これもエルフィーネからの贈り物だと思っています。それで、やっぱり魔法の本を見ていると、実際に使いたくなってしまいますからね。


だからこうして今、お父様の書斎に向かっているのです。魔法を練習する許可を貰うためにです。




「お父様、シルフィです。失礼しても良いですか?」


「ん、ああ、大丈夫だぞ。」


「ありがとうございます。それで、今日来たのはお父様に魔法の練習をする許可を貰いに来たのです。」


「そうか、魔法か・・・・うーん。まあ、良いだろうな。シルフィは賢いからな。但し、教えてくれる先生の言うことはちゃんと聞くんだぞ。」


「はい。分かりました。ありがとう、お父様。」


「なに、可愛いシルフィの為さ。何かあったらまた俺かミリーアに言ってくれ。」


「分かってます。」


「ふ、やはりシルフィと話していると何故だか子供と話しているようには思えないな。」


「ふふ、お褒めの言葉として受け取っておきますね。」




そのあと、少しお父様と雑談をして私は書斎を後にした。








■■■■








一週間後。




今日は魔法を教えてくれる先生が来る日だ。私は朝からワクワクしていて、いつもよりも早く起きたものだ。


私がしばらく本とかを読んで待っていると私の専属侍女のラフィが入ってきた。


「お嬢様、魔法の先生の方がお着きになりましたよ。今は応接室におられますので、ご案内します。」


「ありがとう、ラフィ。それじゃ、案内してくれる?」


「はい。畏まりました。」




そうして、ラフィに着いていって応接室まで来た。そして入ってみると、お父様とお母様と一緒にいかにもなローブを着ている女性が一人居た。多分、その人が先生の人だろう。




「おお、来たか、シルフィ。紹介しよう、今回シルフィに魔法を教えてくれるのがこのマルシェ・オルボ殿だ。この人は宮廷魔導師の人で、この国でもトップクラスの魔法使いだ。ほら、挨拶して。」


お父様に挨拶を促されたので、私はオルボさんに挨拶した。


「初めまして、私がシェルフィールズ公爵家長女のシルフィ・フォン・シェルフィールズです。本日からよろしくお願いします。」


私が自己紹介すると、マルシェさんは驚いた顔をした。まあ、そりゃそうか。と思った。だって、どこの世界にこんなに礼儀正しく大人びた自己紹介をする3歳児が居るのかと思う。


「こ、これはご丁寧に。私、今回シルフィ様に魔法をお教えします、アイレス王国宮廷魔導師のマルシェ・オルボと申します。こちらこそよろしくお願いします。」


そうして、私の魔法の練習は始まるのだ。







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