同志スターリンは美少女です!?

蛇に足

6話 赤軍の士気はトゥハチェフスキー(と私)のおかげで鰻登りです







「さて、では同志トゥハチェフスキー。クレムリンに戻りましょう。ここに何時まで居ても全く無意味ですからね。それよりは仕事をする方がよっぽど生産的と考えます。」


と、目の前の金髪美少女トゥハチェフスキーに話しかける私。その間はずっとニヤニヤしていたと思う。


「あ、そうですね、同志スターリン。それで、その、私は元に戻るのですか?」


「あれ?同志は聞いてなかった?あの薬は一度使うと元には戻らないものだぞ。それに、その姿の方が私は良い。」


「そ、そんなぁ!もしかしなくても、私!このまま一生ですか!!?」


あ、可愛い。やっぱり女の子にして正解だったな。まあ、もとを考えるとキモいけど。でも、やっぱりこれが最高です。


「もしかしなくともそうよ。同志はずっとそのままです。さて、そろそろ行きましょう。あっ、そうそう。同志には近いうちに赤軍に顔を出してもらいますよ。同志のその姿を見れば士気が最高になること間違いなしですからね。兵の士気を保つのも指揮官の役目です。だから、今の同志にはうってつけでしょう。その外見ですから。」


「無理!!無理です!!このような私の姿を兵に見せるなど出来ません!!恥ずかしいです!!」


ううん・・・・なんか、時間が経つにつれてトゥハチェフスキーの行動がどんどん幼くなってるような気がするけど・・・・・・この薬って、そんな効果もあったんだ。あっ、それか精神が容姿に引っ張られるって奴?まあ、なんにせよ可愛いからいいけど。


「まあ、そう言わずに、同志。大丈夫です。この私が保証してあげましょう。同志の人気は前よりも高くなりますよ。絶対に。」


「嫌ですぅ!!人気が出ても恥ずかしいものは恥ずかしいのです!!それなら同志スターリンが行けば良いじゃあないですか!!」


「んー、そう言われましてもねぇ。私は立場上忙しいですから、中々軍に赴くことは出来ないんですよ。それに比べて同志ならば立場上簡単に顔を出せるではありませんか。元々軍に所属しているのですから、遅かれ早かれ兵の目にする所となるでしょうからそれが多少早くなったと思っておけば良いんです。」


「し、しかし!そうは言っても・・・・その、やはり恥ずかしいのです。」


はあ、元男が聞いて呆れますね。ここは私がビシッと言っておきますか。


「同志。」


「は、はい!」


「全く!同志は元々男でしょう!今は女だろうがそんなことは関係ありません!男ならばさっさと覚悟を決めろ!!そんなうじうじしてると心まで女になるぞ!!!」


「ひ、ひゃぃ!!分かりましたぁ!!」


ありゃ?なんか怯えちゃいましたか?んん、まあ良いですか。可愛いから。・・・・・・・・・涙目可愛い////


しかし、やはりあれが元男とは思えませんね。しかもおっさんとは。かと言う私も元男なのですが・・・・・・








■■■■








とある場所の軍施設。


現在そこには施設内のすべての職員及び士官、下士官が集っていた。一同何も知らされず連れてこられており、少し混乱していた。


その時、一人の男が入ってきて、そのまま壇上に立った。すると、一同は最敬礼をし、その男も敬礼を返した。


「諸君、今回集まって貰ったのはほかでもない。これからここに同志トゥハチェフスキーと同志スターリンが来られる。」


男のまさかの発言にホールは一気にどよめく。


「静粛に!─────よし。諸君、驚くのも無理ないが、事実だ。くれぐれも失礼の無いように頼むぞ。それでは私からは以上だ。それでは、同志スターリン、同志トゥハチェフスキー、お願いします。」


と、男がそう言い、入ってきたのは我等がソビエト社会主義共和国連邦共産党書記長のヨシフ・ヴィッサリオノビチ・スターリンと赤軍元帥、ミハイル・トゥハチェフスキー。


両名が入ってくるとさらに困惑が広がった。それは主に金髪美少女トゥハチェフスキーに向けられたものだった。


スターリンのその容姿はソビエト国民のみならず、世界的にも知られており有名である。ので、兵が思った事としては、『可愛いなぁ』とか『綺麗だ』とかだ。決して邪な事を考える奴は居ない。


しかし、もう一方の金髪美少女トゥハチェフスキーに関しては兵は誰も知らない。まさか、その少女がかのトゥハチェフスキー元帥だとは思うまい。




「諸君!今日はよく集まってくれた。私がロシア共産党書記長のスターリンだ。そして、おそらく大半の者が誰だ?と思っているだろう私の隣に居る者は─────トゥハチェフスキー元帥だ。」


その瞬間、空気が凍った─────気がした。


「ほら。同志、挨拶を。」


「わ、私がトゥハチェフスキーだ。と、とある事情によりこんな姿をしているが、正真正銘の本人だからな。」


と、トゥハチェフスキーは挨拶をした。


「うむ。その通りだ。この少女が同志トゥハチェフスキーだと言うことは私が保証する。────さて、トゥハチェフスキー元帥。ここからは同志がやるのだ。分かったな?」


「は、はい。同志スターリン・・・・・・」


「ではな。」


そう言い残してスターリンはこの場を退場した。


そして、残された金髪美少女トゥハチェフスキーは少しもじもじしながらこう言った。


「し、諸君!諸君らが毎日欠かさず厳しい訓練を耐え抜いて来ているのは私も存じている。しかし、中にはこれだけ訓練して意味があるのかと思うものも居るだろう。しかし、それは大いに意味のある事だ。日々の訓練で諸君らは確実に成長している。それは、肉体的にのみではない。精神的にもそうだ。そして、この訓練はこの混沌とした時代の中で、祖国を守るのに大いに役立つ。私は、元帥と言う立場を預かっている手前、兵の命は重く受け止めている。いかに膨大な人口が居ようとも、人の命は軽くはない。もし、諸君らが戦場に送られるなら────敵は容赦なく撃ち殺せ。しかし!だからと言って虐殺が許容されるわけでもない。戦死者には最大の敬意を払え。皆、祖国を守るために戦って居るのだからな。さて、私からは以上だ。」


「あっ、あと、私のことを絶対に広めるんじゃないぞ!!分かったなぁ!!」


最後にそう言い残したせいで、折角の演説が台無しになったのだが、本人がそれに気付くことはない。そして、トゥハチェフスキーの容姿が軍、いや、国内に広がるのにはそう時間はかからなかった。勿論、これも本人の知るところではなかった。







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