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庭には、

古宮半月

5話 幕開け

12月27日7時03分52秒起床。

7時03分55秒再び目を閉じる。
何故なら、今日から冬休みだから。
休みだから。
活動する必要はない、休みの日は休むべきだ。


「ひとな~、ちょっと出掛けてくるから留守番よろしくね。」
下から母の声が聞こえたので、それに布団の中から応える。

「はーい。」

朝の寝ぼけた頭でぼんやり考えた。
今、言っていた通り母は出掛けてて居なくなる。父は仕事。妹は部活。
つまり、今、家に一人っきり。

ぐっすり寝れる…。


すると、耳元で幽かに声が聴こえた。

「…ろ。…きろ。」

「(なんだ…)?」
うっすら目を開けると…。

目の前に、黒髪を長く垂らした、赤い浴衣を着た女がいた。
何か話しかけている。


「…ろ。…きろ。」

「…。」

「…きろ。」

「…。」

「起きろー!無視すんなー!」

そうだ、こいつが居たんだ。
「もう少し寝かせてくれよ。寝る子は育つって…。」

「9時間以上の睡眠は、むしろ死亡リスクが上がるぞ。死にたいんか?」

「死んでるやつに言われたくはない。それに、まだ7時間しか寝てない。」

「呪い殺す…。」
そんな脅しをしてくるこいつ、お菊は、死んでる。
幽霊だ。
つい300年程前に、14歳という若さで心臓の病で死んでしまった、いわゆる地縛霊というやつで、死んでからずっとここにいるらしい。
いつからか、見えるようになっていた浴衣姿の少女。
ちなみに、こいつ胸が大きい訳ではないが、下着を着けていないので、中学生の頃はいろいろと苦労したものだ。

さて、こいつに呪い殺す力なんて無いが…。
「わかった、わかった。起きるよ。で、丑三つ時でもないのに何の用だ?」

「何か…嫌な予感がするの…。」

「嫌な予感だと?」

「そう、これって一体…。」

「…、…、…。   いてっ!」

「すぐ寝ようとするな!呪うぞ!」

「嫌な予感って何だよ、隕石でも降ってくるのか?だとしたら、逃げようが無いんだが。」

「当たらずとも遠からずというか、そうなんだけど、そうとも言い切れないというか。なんか過去にも、こんなことが合ったんだけど。今回は、もっとヤバい。私の危険レーダーがそう言ってる。だから逃げなきゃ!」

「へぇ、そりゃタイヘンだ。」

お菊が、唾を飛ばしそうな勢いでまだ何か言っているが、右から左へ聞き流す。

正直、彼女の話を信じきれていない。
彼女自信を信用していない訳ではないのだけれど、まだ起きたばかりだからなのか、頭が思考を拒否してる。

幽霊と普通に会話してて、彼女の言うところの嫌な予感を信じてないのも変な話だが。
まぁ、うちの家族は全員、お菊のことは見えるんだけど。

何故、霊感もないのにお菊だけ見えるのかは未だにわからない。

「ねぇ!聞いてるの?」

「…あのな、確かに俺は非日常を望んではいるが。もし死ぬんだったら、死んだ後はしっかり異世界へ連れていってくれ!こんな風にずっと同じ所には居たくない!あと、チート能力も忘れるなよ!」

「誰に言ってるの?それに、私は、居たくてここにいる訳じゃないんだけど。」

「先に神様にお願いしといた。これで来世はウハウハだぜっ☆」

「何がウハウハだぜっ☆、よ。きっと、来世は電線に引っ掛かってるレジ袋ね。」

お菊が白い目でこっちを見ているが、気にしない。

これで、ようやくプロローグは終わったんだ。
こっからが、俺の人生本編だ!

その時
「お?揺れてる?」
部屋全体が揺れ出した。
地震の時は、とりあえず机の下。
急いで机の下に隠れた。

「…まあまあ揺れたわね。」
幽霊であるこいつは当然、隠れる必要もない。
物体をすり抜けるから。その点は、羨ましい。

「おさまったか?」

「えぇ、大丈夫みたい。」

「震度3くらいか…。おい、まさかお前の嫌な予感ってこれのことか?」

「え?え、えぇそうよ。そうに決まってるじゃない。予言のお菊と呼ばれた、この私が言ったことなんだから、当たり前じゃない。」

目がめっちゃ泳いでる。
かなづちな俺に泳ぎ方を教えてほしいレベルだ。

しかし驚いた本当に予感が的中するとは。





そう、的中していた。彼女の予感は。


同日7時05分57秒、地震と同時に日本のとある村に巨大な白い化け物が現れた。

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コメント

  • 古宮半月

    読んでいただき、ありがとうございます。不定期ですが、ご指摘などあればお願いします。

    0
  • 空空 空

    すごい好きなやつ

    0
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