庭には、

古宮半月

2話 分からないことだらけ

眩しい光で目を覚ますと、見慣れぬ天井が。

上半身を起こして見ると、周りはバーのような場所だった。
その端にあるソファーで寝ていたようだ。いつの間にか、靴まで履いて。
「ふぁ~。全く次はどこだ?バー?なんで…。そういえば、あの女どこ行った?」
ソファーから立ち上がって改めて周りを見回すが、誰もいない。

その代わりに扉を見つけた。単なる店の入り口だが、そこは出口でもある。何故か、その扉を開くと元の世界に戻れると思った。足が吸い込まれるように扉へ向かった。早く帰りたい。
ドアノブに手を掛け、そこで初めて右手に見知らぬミサンガが着いているのを見つけた。が、それはどうでもよかった。
そのまま扉を開くと…。
どこかの繁華街に出た。普通に通行人がいて、普通に店が並んでいる、その光景がとても懐かしく思えた。
しかし、目の前を通る人々は通行人というより、何かから逃げているようだった。
逃げ惑う人々の後方には、半透明で目だけが赤く光るトラックサイズの虎がいた。しかも空中を歩行している。品定めするような目で逃げる人を見ていた、実際捕食対象を選んでいるのかもしれない。
「まじかよ。」

「あぁ、まじだ。」

「うわ!ビックリした。いつから居たんですか?」
例の女がいた。

「いつでもいるぞ。」

「なにそれ、ストーカーですか?いや、そうじゃなくて、いろいろ聞きたいことがあるんですが、まずアレはなんですか?」

「アレは別世界の住人、私達はアレらを総称してフレンカーパーと呼んでいるが、簡単に言うと外来生物であり、人類の天敵になりうる存在だ。」

「すみません、言ってることは解らなくないんですけど、なに言ってるか分かりません。あと、この人達含め、俺達危ない状況じゃないですか?」

「うん、まぁそうだな。
しかしお前案外、あっさり現実を受け入れられるタイプなんだな。」

「うん、まぁそうだな。じゃ、ないでしょ!
死んじゃいますよ!って、どこいくんですか?」

「ついてきな。」

そう言うと女は店の中へ入った。
俺も続けて入ろうとして
そういえばあの時の喫茶店もこんなお店だったなと思った。

そして、店へ入ると女はスタスタと先へ進み。さっき寝ていたソファーの近くにある扉の前まで来た。ここにも扉があったのか。

「ここは裏口だ。」

「はぁ、なんで今裏口を紹介してるんですか?どこへ行くつもりですか?この距離じゃ、もう逃げられない。この先に何があるっていうんですか?」

「言い忘れていたが、そのミサンガ、外すな
よ。」

「?」

「そして、この先は」
そう言って、扉は開かれた。
「もう一つの世界(向こう側)に繋がっているんだよ。」

扉の向こうにはあの荒廃した世界が広がっていた。
もう何が何だか、分からない。

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