命集めの乱闘〈コスモコレクトロワイアル〉
第19話 従順な伝言者と涙の別れ
時空・次元を超えるというのはゲームで例えれば新たなマップをロードするのと一緒だ。
直接つながれていないが確かに隣に存在している場所に移動する。ただそれだけのこと。
違うところといえばどれだけ読み込めたかのメータがないとかアドバイスが書かれていないとかそんなくらいだ。宇宙のような場所を遠い遠い光目指してものすごい速さで飛んでいるようなもの。
意識を共有し遠隔操作もできるよう術式をかけた鳩は何も考えることなく転移完了を待っている。
この世界で使われている原始的だが一番楽で、ある程度安定している連絡方法。すなわち伝書鳩。使い魔用魔術のあれやこれやはかなり収得しやすい部類の魔術で毎年10歳になる子の2割くらいが収得できている。
この鳩は主人に仕えてもう10年。インフィピジョンという種類の鳩だ。特徴は人間と同等がそれ以上の知能と人間を優に越える寿命。人間に仕えることはほとんどなく稀に認めた人間に仕えることがあるくらいだ。
ここまで長い付き合いだと意志疎通もかなり楽にできるようになってくる。
遠隔操作などほとんど使わない。
世の中には使い魔を奴隷のように扱う人間もいるが彼は違う。
彼はこの鳩と兄弟か双子のように接している。
きっと鳩の方も同じなのだろう。
だからこそこの鳩はここまで従順に任務を遂行していた。
※※※
冷えた体はぬくもりを求めている、ような気がする。とりあえずトーストとココアを温めた、が……
「トーストかった!!」
予想できなかったこともないことだか解けかけた冷凍の食パンくらい硬い。とにかく急いで口に入れココアで流し込む。なんやかんやあって現在時刻は午前10時。壺のおじさんには1時間くらい待たせてしまったがやっと、やっと この鉄の塔から飛び立つときg
「ガンガンガンガンガン、ドンドンドンドンドン。」
「ひぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
2度目となるともう頭は1周回って冴えていた。インターフォンをならさないってことは
①急いでる。
or
②インターフォンの場所がわからない。
しかしシャーさんがいないとここへは来れないから②の可能性は低い。
つまり相手は急いでいる可能性が高い。
雪乃ちゃんは確かに急いでいてもし今すぐに俺に用事があるならば扉を叩くかもしれない。しかしあの叩き方はそれなりの力がないと無理な音。小柄な雪乃ちゃんには不可能。シャーさんはそもそも急いで慌てて扉を叩くようなキャラじゃない。
相手は男か?しかしシャーさんがいっしょなら男だろうがインターフォンをならすはず……。
ヒリリ……。首がヒリヒリする。無意識に首を人差し指でかいていた。
そういえば前にリーシャさんが「この結界がある限りは絶対絶対絶ッッ対に日焼けはしないはずじゃ。もし日焼けしたらたぶんそれは結界が破れてる合図だから教えてくれよ?」
って言っていた気が……。
「リプテダイトの襲撃か!?……あ、いやあいつ等ならわざわざ扉を叩くなんてことしなくても上から爆撃してあとはうまいこと事故とでも処理できるほどの力があるはず……」
考えるほどにわからない
悩んでる間にもドンドンドンと乱暴な音が耳に届く。
「おいゴラァ、リーシャ・アルバス!! いるんだロォ!シカトすんじゃネェ!」
野太い……男の声!
侵入者? やっぱり結界に穴が!?
と、そのときドンドンドンと机の上の小物が揺れるほどの乱暴なノックに耐えられなくなった山積みの本が崩れてしまった。
片付けが面倒だとか言ってずっと積んである本はもともとかなりバランス悪く適当に積み上げられていたからいつか崩れるだろうとは思っていたがまさかこんな時に……。
本は薄いものでもそこまで厚くない国語辞典の1.5倍は軽く越しているだろう。しかし落ちてきたのは厚めの辞典の2倍をさらに軽く超えそうな本。
あれに当たればかなり痛い!半ば本能というか反射的に急いで後ろにさがる。少し遅ければきっと震えながら床を転がりまくる羽目になっていただろう。後ろに下がったとき飲み干したココアのカップにぶつかりひやっとしたが………。
そんなことよりも大変なことが起こってしまったかもしれない……。
我がノートパソコン。コンセントにつないで床に置いていたため逃げ遅れてしまった。
奇跡など起こらず。
分厚い本はキーボードの上で静止。
液晶画面は光を失ってゆく。
静かな部屋に響くのは不規則なノックの音。
パソコンからは一切の音が聞こえない。
この状況から推測できることはただひとつ。
本が……落ちてきた本が角で………パソコンの…………
「で、電源を切った……だと……!?」
一瞬だが起動中のアプリケーションを強制終了とかそんな文章が見えた気がする……。
この状況で再びパソコンを起動させてもちょくちょくやっては電源つけっぱなしで放置し消えることを免れていたここまでの登山記録が蘇ることは多分無いだろう……。
……………………………………………………………………………………………………
「どこのどいつだぁ!朝っぱらから騒いで挙げ句の果てに人様の努力を台無しにしてくれたのはぁ!」
思考が停止したかと思ったら次の瞬間には半ば涙目で叫びながら玄関へと足音たて歩き出していた。
直接つながれていないが確かに隣に存在している場所に移動する。ただそれだけのこと。
違うところといえばどれだけ読み込めたかのメータがないとかアドバイスが書かれていないとかそんなくらいだ。宇宙のような場所を遠い遠い光目指してものすごい速さで飛んでいるようなもの。
意識を共有し遠隔操作もできるよう術式をかけた鳩は何も考えることなく転移完了を待っている。
この世界で使われている原始的だが一番楽で、ある程度安定している連絡方法。すなわち伝書鳩。使い魔用魔術のあれやこれやはかなり収得しやすい部類の魔術で毎年10歳になる子の2割くらいが収得できている。
この鳩は主人に仕えてもう10年。インフィピジョンという種類の鳩だ。特徴は人間と同等がそれ以上の知能と人間を優に越える寿命。人間に仕えることはほとんどなく稀に認めた人間に仕えることがあるくらいだ。
ここまで長い付き合いだと意志疎通もかなり楽にできるようになってくる。
遠隔操作などほとんど使わない。
世の中には使い魔を奴隷のように扱う人間もいるが彼は違う。
彼はこの鳩と兄弟か双子のように接している。
きっと鳩の方も同じなのだろう。
だからこそこの鳩はここまで従順に任務を遂行していた。
※※※
冷えた体はぬくもりを求めている、ような気がする。とりあえずトーストとココアを温めた、が……
「トーストかった!!」
予想できなかったこともないことだか解けかけた冷凍の食パンくらい硬い。とにかく急いで口に入れココアで流し込む。なんやかんやあって現在時刻は午前10時。壺のおじさんには1時間くらい待たせてしまったがやっと、やっと この鉄の塔から飛び立つときg
「ガンガンガンガンガン、ドンドンドンドンドン。」
「ひぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
2度目となるともう頭は1周回って冴えていた。インターフォンをならさないってことは
①急いでる。
or
②インターフォンの場所がわからない。
しかしシャーさんがいないとここへは来れないから②の可能性は低い。
つまり相手は急いでいる可能性が高い。
雪乃ちゃんは確かに急いでいてもし今すぐに俺に用事があるならば扉を叩くかもしれない。しかしあの叩き方はそれなりの力がないと無理な音。小柄な雪乃ちゃんには不可能。シャーさんはそもそも急いで慌てて扉を叩くようなキャラじゃない。
相手は男か?しかしシャーさんがいっしょなら男だろうがインターフォンをならすはず……。
ヒリリ……。首がヒリヒリする。無意識に首を人差し指でかいていた。
そういえば前にリーシャさんが「この結界がある限りは絶対絶対絶ッッ対に日焼けはしないはずじゃ。もし日焼けしたらたぶんそれは結界が破れてる合図だから教えてくれよ?」
って言っていた気が……。
「リプテダイトの襲撃か!?……あ、いやあいつ等ならわざわざ扉を叩くなんてことしなくても上から爆撃してあとはうまいこと事故とでも処理できるほどの力があるはず……」
考えるほどにわからない
悩んでる間にもドンドンドンと乱暴な音が耳に届く。
「おいゴラァ、リーシャ・アルバス!! いるんだロォ!シカトすんじゃネェ!」
野太い……男の声!
侵入者? やっぱり結界に穴が!?
と、そのときドンドンドンと机の上の小物が揺れるほどの乱暴なノックに耐えられなくなった山積みの本が崩れてしまった。
片付けが面倒だとか言ってずっと積んである本はもともとかなりバランス悪く適当に積み上げられていたからいつか崩れるだろうとは思っていたがまさかこんな時に……。
本は薄いものでもそこまで厚くない国語辞典の1.5倍は軽く越しているだろう。しかし落ちてきたのは厚めの辞典の2倍をさらに軽く超えそうな本。
あれに当たればかなり痛い!半ば本能というか反射的に急いで後ろにさがる。少し遅ければきっと震えながら床を転がりまくる羽目になっていただろう。後ろに下がったとき飲み干したココアのカップにぶつかりひやっとしたが………。
そんなことよりも大変なことが起こってしまったかもしれない……。
我がノートパソコン。コンセントにつないで床に置いていたため逃げ遅れてしまった。
奇跡など起こらず。
分厚い本はキーボードの上で静止。
液晶画面は光を失ってゆく。
静かな部屋に響くのは不規則なノックの音。
パソコンからは一切の音が聞こえない。
この状況から推測できることはただひとつ。
本が……落ちてきた本が角で………パソコンの…………
「で、電源を切った……だと……!?」
一瞬だが起動中のアプリケーションを強制終了とかそんな文章が見えた気がする……。
この状況で再びパソコンを起動させてもちょくちょくやっては電源つけっぱなしで放置し消えることを免れていたここまでの登山記録が蘇ることは多分無いだろう……。
……………………………………………………………………………………………………
「どこのどいつだぁ!朝っぱらから騒いで挙げ句の果てに人様の努力を台無しにしてくれたのはぁ!」
思考が停止したかと思ったら次の瞬間には半ば涙目で叫びながら玄関へと足音たて歩き出していた。
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