命集めの乱闘〈コスモコレクトロワイアル〉
第18話 謎の観察者と妹(仮)
異質体の生態パターン記録完了。
解析…………完了。
″精神の狭間,,からの帰還 なかなか興味深い。
異質体の遺伝子及び生命として存在するための必須情報、コピー完了。
…………不明瞭。
不可解、説明不能項目一件検出。
データベースより類似案件を検索…………検索結果0件。
「No.031から図書館へ伝達。当機のみでの解決不可能案件発生。【図書館の本棚】での検索が必要。」
『図書館よりNo.031へ。現在図書館で発生中の案件の解決のため機能の約80%を使用中。貴機の問題よりも図書館の問題の方が優先度は上。よって貴機の要求を受け入れることは不可能。』
「エラーコード999。早急な解決が必要。」
『…………、了解。【図書館の本棚】のアクセス権限を一時的に貴機、No.031に付与。』
「感謝。ところで図書館で起きている問題とは?」
…………
「図書館?」
『……………………通信回線アクセス権限取得。』
「図書館……ではない!? 図書館をハッキング? 有り得ない。貴様何者!」
『No.031。貴機の質問には回答できない。なぜならそれを知る必要はないのだから。』
『図書館より各機へ。全ての任務を放棄し帰還せよ。これは命令だ。』
『こう言ってしまえば例え誰かが図書館を乗っ取っていたとしても図書館以上の権限を持たぬもの、つまり貴様等は抗うことができない。』
『さあ!偽りの主の元へ戻れ!抗うこともできないひ弱な人形どもよ!』
その声は果たして通信機から流れる声なのか、
はたまた図書館を乗っ取ったときのようにすでに我々の中にあるプログラムから発せられたものなのか
人形達はそんな疑問を抱く時間すら与えられずただ上位の個体の命令に従い個々の足でのろのろと歩き始めていた。
ただ一つの、それも奇跡としか呼べないような例外を除いて。
※※※
えーっとごめん。いろいろ追いついてない。
脳みそが悲鳴をあげているのがわかる。
目の前の少女はつい先ほど他人に関する記憶と他人の自分に関する記憶がすべて消えた少年に向かって、あなたは兄ですかと聞いたのだ。聞き間違えとも考えたがこの快適空間でずっと過ごしていたのだからあるはずh……訂正訂正。冷たすぎる部屋で食事もろくにとらず遅寝早起き(寝落ち→浅い眠り&寒すぎて目が覚める)×2日は幻聴を生み出すには十分だ。
これだけのことを考えるのに3分かかっているあたり蒼太の脳はかなり重傷なのだろう。その証拠に彼は自分がカップヌードルタイマーになっていたことに気づいていない。
「ごめん、俺ちょっと疲れてるみたいで幻聴聞いてるかもしれないからもう一度お願いできる?」
自分が話しかけた途端突然黙り込んだせいで緊張の表情のまま固まってしまった蒼太の妹雪乃ちゃん(仮)は疲れを通り越して若干笑顔にすら見える表情を浮かべしゃべりだした彼に驚きビクッとなっていた。
「えっとですね。なんか色々と年上の兄弟がいないと説明が付かないことがあってですね。それで昨日コンビニから出てくるあなたをみてなんかビビっときたんです。あと名字も同じだし。それであなたが私の兄じゃないかなって思ったんです。」
雪乃ちゃんは ″おかしな話ですよね、兄のことを忘れてしまうなんて,, と付け加えて微笑んだ。もし仮にこの人が妹だとしたら矛盾を嫌うこの世界はどうするのだろう。数分前にも考えたことだがやはり気になるのはそれだろう。
それとなぜリーシャさんは妹のことを俺に話してくれなかったんだろう。前の蒼太が言ってなかったとしてもリーシャさんは1度俺の家に荷物を取りに行っているから知らないはずはない。しかしこればかりは例の魔法の紙を探さないと何ともいえない。
ちらっと雪乃ちゃんの顔を見るとまた黙り込んでしまった蒼太をみて固まっていた。
「あ、ごめんごめん。俺、昔の他人に関する記憶がほとんどないから……なんて言ったらいいかわからなくて……。」
雪乃ちゃんは驚いたようだったがこの島にいる人のことを考えると多少の不思議は説明が付く。
すなわち自分の知らない特殊な力なのだろう、と。
「あ!!ご、ごめんなさい。夏期講習が入ってるんでした。えとえと……ま、また来てもいいですか?」
驚いた顔はもしかしたら玄関から見える大きな時計のせいだったのかもしれない。家の中はあまり人に見せられる状態ではないので家の中には入れられず、かといって外だと暑いので家の中から吹く冷たい風(人工)で我慢してもらっていた。正直寒い。
「あ、うん、また来て。色々と聞きたいこともあるから。」
笑顔で言ってみる。せっかく女子の友達ができそうなのだ。このチャンス逃すわけにはいかない。変な顔してないか不安だが雪乃ちゃんの顔を見る限り大丈夫そうだった。
「じゃ、じゃあ失礼します!また今度。」
雪乃ちゃんが後ろを向く少し前、こちらを向いて微笑む。緊張が解けた笑顔はかなりかわいい……。ハッ!だめだだめだどんどんロリコンの方面に行っちゃってるうぅぅぅ……。
「あ、じゃあそんな感じでまた来るね~。」
雪乃ちゃんに続いて今までずっと黙っていたシャーさんも微笑む。大人の笑顔だ。しかしなぜだろう。ときめきが少ない……。というかほとんどときめかない。
だめだ忘れよう。ロリのことは忘れて上半身裸のおじさん見ながら登山しよう。
2人の後ろ姿を横目に家の中に入る。ちょうど太陽が当たる時間帯だけど結界のせいで日焼けはしないはず。なのに首のあたりが妙にヒリヒリしていた。
解析…………完了。
″精神の狭間,,からの帰還 なかなか興味深い。
異質体の遺伝子及び生命として存在するための必須情報、コピー完了。
…………不明瞭。
不可解、説明不能項目一件検出。
データベースより類似案件を検索…………検索結果0件。
「No.031から図書館へ伝達。当機のみでの解決不可能案件発生。【図書館の本棚】での検索が必要。」
『図書館よりNo.031へ。現在図書館で発生中の案件の解決のため機能の約80%を使用中。貴機の問題よりも図書館の問題の方が優先度は上。よって貴機の要求を受け入れることは不可能。』
「エラーコード999。早急な解決が必要。」
『…………、了解。【図書館の本棚】のアクセス権限を一時的に貴機、No.031に付与。』
「感謝。ところで図書館で起きている問題とは?」
…………
「図書館?」
『……………………通信回線アクセス権限取得。』
「図書館……ではない!? 図書館をハッキング? 有り得ない。貴様何者!」
『No.031。貴機の質問には回答できない。なぜならそれを知る必要はないのだから。』
『図書館より各機へ。全ての任務を放棄し帰還せよ。これは命令だ。』
『こう言ってしまえば例え誰かが図書館を乗っ取っていたとしても図書館以上の権限を持たぬもの、つまり貴様等は抗うことができない。』
『さあ!偽りの主の元へ戻れ!抗うこともできないひ弱な人形どもよ!』
その声は果たして通信機から流れる声なのか、
はたまた図書館を乗っ取ったときのようにすでに我々の中にあるプログラムから発せられたものなのか
人形達はそんな疑問を抱く時間すら与えられずただ上位の個体の命令に従い個々の足でのろのろと歩き始めていた。
ただ一つの、それも奇跡としか呼べないような例外を除いて。
※※※
えーっとごめん。いろいろ追いついてない。
脳みそが悲鳴をあげているのがわかる。
目の前の少女はつい先ほど他人に関する記憶と他人の自分に関する記憶がすべて消えた少年に向かって、あなたは兄ですかと聞いたのだ。聞き間違えとも考えたがこの快適空間でずっと過ごしていたのだからあるはずh……訂正訂正。冷たすぎる部屋で食事もろくにとらず遅寝早起き(寝落ち→浅い眠り&寒すぎて目が覚める)×2日は幻聴を生み出すには十分だ。
これだけのことを考えるのに3分かかっているあたり蒼太の脳はかなり重傷なのだろう。その証拠に彼は自分がカップヌードルタイマーになっていたことに気づいていない。
「ごめん、俺ちょっと疲れてるみたいで幻聴聞いてるかもしれないからもう一度お願いできる?」
自分が話しかけた途端突然黙り込んだせいで緊張の表情のまま固まってしまった蒼太の妹雪乃ちゃん(仮)は疲れを通り越して若干笑顔にすら見える表情を浮かべしゃべりだした彼に驚きビクッとなっていた。
「えっとですね。なんか色々と年上の兄弟がいないと説明が付かないことがあってですね。それで昨日コンビニから出てくるあなたをみてなんかビビっときたんです。あと名字も同じだし。それであなたが私の兄じゃないかなって思ったんです。」
雪乃ちゃんは ″おかしな話ですよね、兄のことを忘れてしまうなんて,, と付け加えて微笑んだ。もし仮にこの人が妹だとしたら矛盾を嫌うこの世界はどうするのだろう。数分前にも考えたことだがやはり気になるのはそれだろう。
それとなぜリーシャさんは妹のことを俺に話してくれなかったんだろう。前の蒼太が言ってなかったとしてもリーシャさんは1度俺の家に荷物を取りに行っているから知らないはずはない。しかしこればかりは例の魔法の紙を探さないと何ともいえない。
ちらっと雪乃ちゃんの顔を見るとまた黙り込んでしまった蒼太をみて固まっていた。
「あ、ごめんごめん。俺、昔の他人に関する記憶がほとんどないから……なんて言ったらいいかわからなくて……。」
雪乃ちゃんは驚いたようだったがこの島にいる人のことを考えると多少の不思議は説明が付く。
すなわち自分の知らない特殊な力なのだろう、と。
「あ!!ご、ごめんなさい。夏期講習が入ってるんでした。えとえと……ま、また来てもいいですか?」
驚いた顔はもしかしたら玄関から見える大きな時計のせいだったのかもしれない。家の中はあまり人に見せられる状態ではないので家の中には入れられず、かといって外だと暑いので家の中から吹く冷たい風(人工)で我慢してもらっていた。正直寒い。
「あ、うん、また来て。色々と聞きたいこともあるから。」
笑顔で言ってみる。せっかく女子の友達ができそうなのだ。このチャンス逃すわけにはいかない。変な顔してないか不安だが雪乃ちゃんの顔を見る限り大丈夫そうだった。
「じゃ、じゃあ失礼します!また今度。」
雪乃ちゃんが後ろを向く少し前、こちらを向いて微笑む。緊張が解けた笑顔はかなりかわいい……。ハッ!だめだだめだどんどんロリコンの方面に行っちゃってるうぅぅぅ……。
「あ、じゃあそんな感じでまた来るね~。」
雪乃ちゃんに続いて今までずっと黙っていたシャーさんも微笑む。大人の笑顔だ。しかしなぜだろう。ときめきが少ない……。というかほとんどときめかない。
だめだ忘れよう。ロリのことは忘れて上半身裸のおじさん見ながら登山しよう。
2人の後ろ姿を横目に家の中に入る。ちょうど太陽が当たる時間帯だけど結界のせいで日焼けはしないはず。なのに首のあたりが妙にヒリヒリしていた。
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