命集めの乱闘〈コスモコレクトロワイアル〉

風宮 詩音

第4話 新たな力と動き出した人々

けて………  すけて………  たすけて………助けて………


私を……助けて………   助けて!


「うがぁ!……はぁ、はぁ、はぁ……」


「悪夢でも見たのか?」


「リーシャ…さん…  はぁ、はぁ、」


「とりあえず、ほれ、水じゃ」


「ありがとうございます…」


「最近、顔色が悪いと思って様子を見にきて正解じゃったな。言ってくれればよかったのに。あまり無理はするなよ?」


「ありがとうございます、だいぶ落ち着いてきました。」


「そうか、ならいいが。本当に無理はするんじゃないぞ?」


「は、はい」


「ではな」


最近よく悪夢を見る。それも未来のこと。そうしてうなされ目覚めるたびにあの時のこと。未来に関する最後の記憶が蘇る。いつか未来を殺したあのショットガン使いに復讐もしなくちゃ。  とりあえず明日の修行のためにも早く寝なくては。


※※※


たすけて……… 蒼太そうた、私は…待ってるよ……ずっと…ここで…………私が…死んだこと……自分のせいだなんて…思わないで…… 私は蒼太のk……


「はぁっ! はぁ、はぁ、はぁ。  未来…絶対に……俺が、俺の手で、助け出す。待ってて…くれ!」


※※※


7月29日
蒼太は最近よく悪夢にうなされているようだ。修行に支障が出るんじゃないかとヒヤヒヤしていた。今日だって心配で覗いてみてよかった。今日は今までで1番うなされていたかもしれない。これ以上続くようならば対策を考えねばな。さてそろそろ蒼太を起こさなくてはな。


「ん?なんじゃ蒼太、今日はやけに早起きじゃな。もしかして眠れなかったか?」


「いや、だいじょぶです。目覚めはいいとは言えないけど、今までに比べたらいいほうです。」


「そうか、なら早速始めるか?」


「はい! もちろん!」


いつも通り軽く朝の修行をして朝飯を食った。蒼太は元気そうだった。午前中の修行も無事終わった。昼食もいつも通り、いやそれ以上食っていたかもしれない。午後の修行も無事終えた。
「蒼太!今日は随分と伸びたな!この調子でいったらあと5日から10日あれば飛行も基礎魔術も完璧にできるかもしれん」


「た、確かに、今日は随分調子が良かった気がします。」


「自分の成長を感じるのは楽しいじゃろ?」


「はい!」
うむ、元気になったようでなにより。


※※※


8月1日。島内全ての学校が夏休みになった。リーシャさんはあと5日から10日、なんて言っていたけど。5日もかからずに自由自在にそれも飛べるようになったし、基礎的な魔術も一通り使えるようになった。それどころか、上位の魔術や固有魔術、なんてのも使えるようになった。リーシャさんも認める立派な魔法t、おっと魔術師だった。気を取り直して立派な魔術師になることができた。やっとこれで未来を生き返らせるための第一段階クリア!あとはひたすら命を集めるだけ。


※※※


「どう?できた?金子ちゃん」


「う〜ん、やっぱ動力なんすよね〜。あとは動力さえあれば完成なんすよ。龍郎たつろうさん。」


「ここはやっぱりあれを集めなくちゃならないみたいね。アタシのこの筋肉さえあれば平民の10や20容易いわよ。」


「いや、それが10とか20って単位じゃないんすよね〜。最低でも軽く万は超えるっすね〜」


「ま、万んん!無理よ、そんなに殺せないわ。そうだ軍隊雇いましょ。」


「そんな金どこにあるんすか?」


「冗談よ、冗談。だいたい軍隊が民間の金で動くとは思わないけどね。」


薄暗く大きな倉庫の中で1人の青年と…たくましい肉体と乙女の心を持つ大男が話していた。彼らの近くにはとても大きな物体があった。シートが被せられたそれは世界を滅ぼしかねない兵器だった。


※※※


「 私の魔法は誰にも止められない。」


のんびりとした幼い声。


「ほぉう、なら私はいらないかな?」
ニヤニヤしながら発せられた声は女子高校生のよう。


「だめ、さきはいなくちゃだめ。」


「1人じゃ怖い?」


「別に怖くなんかない。」


「全く〜。素直になりなよ〜。そら〜」


幼く見える少女と高校生くらいの少女。並んでいると姉妹どころか、親子と言っても怪しまれないかもしれない。幼女の背が低いのか高校生くらいの少女の背が大きいのかはわからない。


「空の魔法はあれをたくさん使って強くなれる。集める時は大人数の方がいい。よね?だから咲も来て。」


「わかったわかった。やっぱり空は私がいないとだめか〜」


「むぅぅぅ〜〜」
幼女は頬を膨らませている。


「うぅぅ〜ん!かわいい。」


「むぅぅぅぅぅぅぅ〜」
幼女はさらに頬を膨らませている。


※※※


「この波動、誰かが使ったようだね。」


「心当たりはあるのですか?」


「これを使えるような魔力と理由があるのはあいつくらいだよ。あいつを止めに行ってくるよ。」


「おともします!デルカ様。」
デルカと呼ばれたまだ若い女性は首を横に振る。


「ううん。ボクだけで十分だよ。それよりもここを見張っててくれるかい?レンタ?」
レンタと呼ばれた少年は少し大きな声で。


「は、はい!」
と叫んだ。


※※※


世界中で人々が動き始めた。幼馴染のため、兵器のため、自身の強化のため、それを引き起こした張本人を止めるため。それぞれの目的のために何千何万の個人や団体、有名会社や軍隊までもが動き始めようとしている。



月に向かってリーシャ・アルバスは家の中にいる少年に聞こえないギリギリの大声で叫んだ。


「もう 誰にも止められない!」

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