言葉の欠片

一榮 めぐみ

傷つけるのは嫌です。

僕は意外と強い。
胸をひと突きにされても、
小さなナイフで切り傷をたくさんつけられても、
あーあ、またやっちゃったって思って


なかなか癒えない傷口を隠すこともなく
平気な顔して歩いてる。


礼儀として、痛いフリする。
相手はそれで満足するから。
やってやった、ってさ。
でも僕には見えてる。
僕につけた傷と同じ傷を、
キミも負っているのに
興奮してわからないでいるんだ。


それはキミの心が落ち着いて、
自分の魂を見つめたときに、
気がつく傷。


だから自分の傷すら見えていない人に
僕は近づかない。


僕のせいで、その人が傷つくのは
申し訳ないから。


僕はフラフラするから、
よくあちこちで傷を作るけど
大丈夫、大丈夫…


僕は意外と強いんだ。

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