悪役令嬢は奮闘する

しましま

転生(1)

異世界転生の儀式が終わり、転生が始まる直前、

「あ、そうだ。私からのささやかなプレゼントを用意しましたので、転生後、ステータスオープンと仰ってみてくださいね。」

そう言って金髪のイケメンはまたもや営業スマイルをうかべる。

心臓が止まりそうになった時、私は白い光に包まれ、そして飛ばされた。

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顔に光が当たるのを感じて、私は目を覚ました。

キングサイズのベッドの周囲には、高級感漂う家具の数々が置かれている。
どうやら、私が転生したのはお金持ちのお嬢様だったらしい。

正直、貧しい平民だった時のことを心配していたのだが、その心配は無用だったようだ。

「ディアナお嬢様、おはようございます。」

がチャリとおもそうなドアが開き、外から使用人らしき人が入ってくる。
本人の記憶によると、ヴィオロというお付のメイドらしい。

「あら、ヴィオロ。おはよう。」

違和感を悟られないように、精一杯貴族らしく挨拶をし、にこっと微笑んでみせる。

よし、最初としてはまずまずの出来の、はず、、?

何故か、ヴィオロは地べたに座り込んでしまい、こちらを驚いた表情で見つめていた。

...あら、私さっそく何かやらかしたかしら。

「ど、どうしたの、ヴィオロ。」

「あ、、も、申し訳ありませんお嬢様っ!!
何分お嬢様が朝の挨拶を返してくれたものですから、驚いて、、誠に申し訳ありませんっ!!」

そう言って深々と頭を下げるヴィオロに、私は困惑する。

まさか、これくらいで驚くなんて、ディアナ本人はなんていやな奴だったんだろうか。

「あ、確かにそうだったわね。今まで、迷惑をかけてごめんなさい。これからはもっと気楽でいいのよ。」

今までのヴィオロの苦労を少しでも減らしてあげようと、声をかける。
たったそれだけなのに、ヴィオロは泣き出してしまった。

「うぅ、お、お嬢ざまあ。」

それから30分間、ヴィオロは泣き続けた。


どんだけ悪人だったんだ、ディアナお嬢様って。


って、ん?

ちょっと待って。

ディアナ?

ディアナ・サフィラス・アトランティス?

この名前、どっかで聞いたことあるような、




、、、、、あ、思い出した。



そう、確か、あれは、、


私が課金して無理やり全クリした乙女ゲームの悪役令嬢の名前だ、、。

そうだ、ディアナが国王を殺害しようとしたり、魔王の封印をといて自分に従わせようとしたり、そんな事件もあったはず、。


まじか、よりにもよって悪役令嬢か。


ま、気にしててもしょうがない。
私は楽観主義だからね。
嫌なことは直ぐに忘れるのが1番!!

それより、この世界には魔法なんかもあるんだよね。

あの金髪イケメンのプレゼントって、そういう系じゃないのかな。

ステータスオープンって言ってって言われたし、そうだよね?

ま、やって見るか。


「ステータス、オープン。」




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