冒険者 カイン・リヴァー
合同クエスト
東門の集合場所では大勢の人々、それにエルフやドワーフが集まっていた。それらの先頭に立っていたのは、騎士団の甲冑を来た面々であった。大剣を背負っている威厳を放つ髭面の男には見覚えがあった。他の冒険者の噂話が聞こえてくる。
「あの大きな剣を持ってる男が騎士団長ジーク・ベルストスだそうだ」
「その横に立つ若いのが、息子のギル・ベルストスだってな。親譲りの剣の腕なんだとさ」
グラントの近衛騎士団長ともなれば幾人かの冒険者から、話題に上がるのも無理はなかった。やがてそんな話を寸断するように、ジークが野太い声で全員に号令をかける。
「今日は全員で依頼を完遂し、全員で帰ることが目標である! それは騎士団や冒険者関係なく、全員が全員を仲間だと思い、協力し合って、臨んでほしい。信頼している。では、出発っ!」
総勢四十人はいよう人々が一斉に歩き出した。カインとアベルもその最後尾近くでついて行く。
目的地である城までは徒歩で半日はかかる場所に位置していた。周囲の冒険者曰くグラントの近衛騎士が警備する範囲を超えていたために、余計にモンスターが住み着きやすくなったのだという。城周辺の被害を受けた町からグラントへ、村から冒険者ギルドへ救援要請があり、今回のような合同クエストが行われる運びとなったようだ。
「あの号令は、さすが騎士団長という感じでしたね」
「ただのモンスター退治だが、まあ気合いは嫌いじゃないな」
そんな話をしている二人のもとに、先頭辺りを歩いていたはずの騎士団長の息子、ギル・ベルストスが速度を落として近寄ってきた。近くで見れば、まるで生真面目が張り付いたような仏頂面のギルは、幾度か喉を鳴らした後、カインとアベルに顔を向けた。
「すまない、最後尾はこの辺りで合っているか」
不意にギルに話しかけられたカインは若干動揺しながら頷いて見せた。
「最後尾を任されてな。誰も道を外れている者がいなさそうで良かった」
「お前の親父さん、なかなか強いんだってな?」
ギルは一瞬きょとんとした顔でカインを見下ろしたが、嬉しそうに口角を上げた。
「ああ、少なくともグラントの剣士の中では一番のはずだ。そう言う君は……」
ギルが何かを言いかけたところで黙り込み、カインをまじまじと見つめた。カインがやや不機嫌そうに見上げると、ギルはやがて少しだけ目を見開いた。
「いや、失礼。並みの鍛え方をしていないものだと思い、つい眺めてしまった。本当に、悪かった。その大斧を扱うだけはある」
「へへ、そうだろ。お前さんもなかなか見どころあるじゃねえか。なあアベル?」
「嬉しそうで何よりです」
カインは自慢げに鼻の下を指でこすった。
しかし、徐々にカインは真剣な表情になるなり、視線を前に向けながらギルへと話しかける。
「そういや、グラントの王様ってのはどんなお方なんだ。田舎の出なもんで、あんまり知らなくてよ」
「あの大きな剣を持ってる男が騎士団長ジーク・ベルストスだそうだ」
「その横に立つ若いのが、息子のギル・ベルストスだってな。親譲りの剣の腕なんだとさ」
グラントの近衛騎士団長ともなれば幾人かの冒険者から、話題に上がるのも無理はなかった。やがてそんな話を寸断するように、ジークが野太い声で全員に号令をかける。
「今日は全員で依頼を完遂し、全員で帰ることが目標である! それは騎士団や冒険者関係なく、全員が全員を仲間だと思い、協力し合って、臨んでほしい。信頼している。では、出発っ!」
総勢四十人はいよう人々が一斉に歩き出した。カインとアベルもその最後尾近くでついて行く。
目的地である城までは徒歩で半日はかかる場所に位置していた。周囲の冒険者曰くグラントの近衛騎士が警備する範囲を超えていたために、余計にモンスターが住み着きやすくなったのだという。城周辺の被害を受けた町からグラントへ、村から冒険者ギルドへ救援要請があり、今回のような合同クエストが行われる運びとなったようだ。
「あの号令は、さすが騎士団長という感じでしたね」
「ただのモンスター退治だが、まあ気合いは嫌いじゃないな」
そんな話をしている二人のもとに、先頭辺りを歩いていたはずの騎士団長の息子、ギル・ベルストスが速度を落として近寄ってきた。近くで見れば、まるで生真面目が張り付いたような仏頂面のギルは、幾度か喉を鳴らした後、カインとアベルに顔を向けた。
「すまない、最後尾はこの辺りで合っているか」
不意にギルに話しかけられたカインは若干動揺しながら頷いて見せた。
「最後尾を任されてな。誰も道を外れている者がいなさそうで良かった」
「お前の親父さん、なかなか強いんだってな?」
ギルは一瞬きょとんとした顔でカインを見下ろしたが、嬉しそうに口角を上げた。
「ああ、少なくともグラントの剣士の中では一番のはずだ。そう言う君は……」
ギルが何かを言いかけたところで黙り込み、カインをまじまじと見つめた。カインがやや不機嫌そうに見上げると、ギルはやがて少しだけ目を見開いた。
「いや、失礼。並みの鍛え方をしていないものだと思い、つい眺めてしまった。本当に、悪かった。その大斧を扱うだけはある」
「へへ、そうだろ。お前さんもなかなか見どころあるじゃねえか。なあアベル?」
「嬉しそうで何よりです」
カインは自慢げに鼻の下を指でこすった。
しかし、徐々にカインは真剣な表情になるなり、視線を前に向けながらギルへと話しかける。
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